ホール~初めてのHは冒険の始まりでした~

暗黒のみたらし団子

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勇者様 女の園へようこそ

思いでの丘。桜の涙と僕の誓い

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流星街を離れ、暫く歩いた頃
「ねぇ!二人とも連れていきたいとこがあるんだけど!」
桜が妙にはしゃいでいる。
「連れていきたいとこ?」
「何処なんだ?」
「気になる?それは行ってからのお・た・の・し・み!」
桜に言われるがままついていくことにした。

ザァーザァー
雑木林をひたすら走ると波音が聴こえてきた。
心地よいリズムを奏でている。
「お、道が開けてきた」

…薄暗い雑木林に光が差した。
「着いたよ!」
そこは開けた丘だった。
木で作られた囲いから夕焼けに染められた海が見える。
「きれいな場所だなぁ」
「でしょ!」
「桜、何でこの場所を?」
「ここはママとの思いでの場所なの!
来たのは一度だけだけど。
冒険家育成学校の入学試験で吹雪は受かったんだけど、私だけ落ちたことあったじゃない?」
「うん。あったね。」
「そのあと、私ベソかいて大泣きしちゃって。
合格者は入学式だったんだけど、その時パパしか居なかったでしょ?
あの時ママとここに来てたの。
その時もこんな大きな夕日が浮かんでた。
その光に照らされて、心が晴れたんだ。」
「そんなことが。知らなかった。」
「あとね!ここはパパがママにプロポーズした思いでの場所なんだって。
だから私も未来の旦那さんにここでプロポーズして貰いたいなぁなんて。」
俺は戸惑った。(なんて返そう。)
「桜たちの父さん、ロマンチストだな。
俺はそんなこと出来るかわかんないけど、出来る限りのことはするつもりだから。」
「期待してるね!」

暫く、海風に吹かれながら夕日を眺めた。
ふと横を見ると桜が泣いている。
夕日に照らされて光輝く一滴の雫がすぅっと頬を伝い、こぼれ落ちた。
「どうした?」
「ぐすっ、あのね。お母さんのことを思い出してたの。」
「…」
僕は返す言葉が見つからなかった。
「優しかったなぁ…お母さん…会いたいよぉ…」
何も返せなかった。
せめてもと思い、後ろからゆっくりと抱きしめた。
桜の頬を伝い、僕の腕に涙が滴り落ちる。
桜を抱きしめたことによって自然と言葉が口から出てくる。
「もう泣くな。お前のパパもママも絶対助け出してみせる。」
「どうやって?ママはもう死んでるんだよ。」
「俺を誰だと思ってんだ?『勇者様』だぞ?
「魔王ぶっ倒してその肉片から蘇生魔法でも使って生き返らせてやんよ。」
「そんなことできるの?」
「わかんねぇ、でもやってみなきゃ分かんないだろ?
死んでも、お前を、お前の家族を、いや世界中の人を守って見せる。」
桜がこちらに振り返った。
「そっちの方も期待してるよ…二階堂彼方さん♪」
笑顔だった。
僕は彼女の頬を流れる雫を親指でそっと拭うと、頭にポンッと手をのせた。
「ハハッ。やっと笑ったな」
「ごめんね。つい感傷的になっちゃって。
ありがとう。さっきのこと約束だよ。」
二人で微笑みあった。
すると、それを見ていた吹雪が
「僕も忘れないでくださいよ。」
「おう!忘れねえよ!」
再び3人で夕日を眺めた。
心が洗われるような温かい気持ちになる。
(日本に戻りたい。)
ふと、そんな気持ちが浮かんだがすぐに掻き消された。
(僕には守らなきゃいけない人がいる。
果たさなきゃいけない約束が山ほどある。
この人を絶対幸せにするんだ。)
桜を見つめながらそんなことを考えていた。
桜と目があった。
「どしたの?」
俺は微笑んで
「何でもない」
そういいながら頭に手を組み後ろを振り返り2、3歩歩いた。
「ん?」
桜は不思議そうにこちらを見る。
再び歩き出す。
「俺、食料調達に行ってくるよ。今日はもう遅い。ここに泊まろう。」
「分かりました。じゃあ、僕の魔法でニホンの「かまくら」を作っておきますので」
「ああ、頼む。頑丈なのにしてくれよ。」
「私も行こうか?」
「危ないから来なくていいよ。桜を危険な目に合わせられないからな。
桜も料理の準備とか吹雪の手伝いをしてくれ。」
「わかったぁ」
少し残念そうな声で答えたが、駄々をこねることはしなかったので良かった。
二人が見えなくなるところまで歩いて、立ち止まった。
深呼吸をして、胸に手を当て誓った。
(桜をもう二度と泣かせない。悲しませない。
桜が寂しいなら僕が心の穴を埋めてやろう。
桜が悲しいのなら思いきり抱き締めてやろう。
もう桜の涙を、悲しい顔を見たくない。
あいつを幸せにする。笑顔にする。
世界一の花嫁にする。)

ー絶対に。ー

そう誓うと、再び歩き出した。
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