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2話 財政再建策
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結局ろくな案が出ないまま時間だけが過ぎ、俺とリーリンは領内を見て回ることにした。もしかしたら屋敷で話しているだけでは見えてこない起死回生の一手が見つかるかもしれないと期待してのことだった。俺とリーリンは旅の行商人という設定で話を聞いてまわる。こういう時には酒場に行くのがセオリーだ。酒が入れば人は口が軽くなる。普段なら周りの目を気にして言えないようなこともついついポロっと言ってしまいがちだ。しかしこの日は客も少なかったし、あまり有益そうな話も聞けなかった。あと話を聞けそうなのは給仕がひと段落ついて暇そうにしている女主人だけだ。
「どうだい、おかみさん。儲かっているかい?」
酒を飲みながら女主人に話しかける。
「んーや。全然だめさ。この町で儲かっている店なんてほとんどないさ。あんたたち、見ない顔だけど行商人かい?」
「そうなんだよ。新規の行商ルートを探しているのさ。」
そういうと女主人はすごい勢いで止めてきた。
「ならこの町はやめときな。利益なんて出るわけないよ。」
「なぜこんなに廃れているんだい?昔はそこそこ栄えていたと聞いたけれど」
「この国の南西に行ったところビュンヘルン騎士団領があるだろう?そこで出るショーセキとかいうのが王都で高値で取引されているらしく、商人たちはこぞってそっちの方に行っちまったというわけさ」
硝石、それは火薬の原料となる。硝石が産出されるのは王国の南部の国々で、王国ではほとんど産出されない。王国は火薬を使って新しい兵器を作成しているらしい。その兵器を作成しているのは王国中枢の貴族だけで、当家のような貧乏貴族には全く縁がない話だが。
「そうなのか、では私たちもそちらに行商に行くことにしようかな」
「あんたたちそんなことも知らなくて大丈夫かい?」
「この辺りは初めて来たから中々情報がなかったんだよ。親切にありがとう」
そういって店を出る。
「新しい情報はなかったね」
残念そうにリーリンが言う。
「そう残念がるな。俺はいい案を思いつけたぞ」
「えっ、本当ですか、兄さん!!」
「急いで屋敷に戻るぞ」
屋敷に戻るとグスタフとエボルバを再度招集した。
「よし、では当家の財政再建の案を発表する。」
三人が固唾をのんで俺の案を待つ。
「ずばり、硝石だ。」
そういうとリーリンがすぐさま疑問を投げかける。
「兄さんどういうこと?ビュンヘルン騎士団領と取引するってこと?ビュンヘルン騎士団領とはかなり距離が離れているし、何より今から新規参入できるとは思えないよ。」
「硝石の取引相手はビュンヘルン騎士団領じゃない。ガブスだ。」
全員があっけにとられる。無理もない。そもそも当家の仮想敵国はガブスだ。よもやそんな国と取引しようなどとは誰も思うまい。
「まあ落ち着け。順を追って説明する。まずガブス。ガブスは建国以来王国と対立してきた。それはガブスが選挙で選ばれた者によって統治されるからだ。王家が統治する王国に悪影響を及ぼしかねないから王国はカブスを攻撃した。そしてカブスはそれに対抗して軍拡を進めた。しかし、今王国は西の大国インタスと覇権争いをしている。カブスは王国には及ばないが、決して小国ではない。今カブスと対立するのは王国にとってもよろしくないだろう。次に硝石。硝石はカブスでも産出されている。ビュンヘルン騎士団領よりカブスの方が近く、輸送料が安く済むため商人たちはこぞって領内の街道を通るようになるだろう。」
「なるほど。」「確かにそれなら…!」「さすが兄さん!」
三人とも納得してくれたようだ。
それから四人で詳細を詰めていき、一週間後俺は王にカブスとの関係を改善する案を提案すべく、王都へ向かった。
「どうだい、おかみさん。儲かっているかい?」
酒を飲みながら女主人に話しかける。
「んーや。全然だめさ。この町で儲かっている店なんてほとんどないさ。あんたたち、見ない顔だけど行商人かい?」
「そうなんだよ。新規の行商ルートを探しているのさ。」
そういうと女主人はすごい勢いで止めてきた。
「ならこの町はやめときな。利益なんて出るわけないよ。」
「なぜこんなに廃れているんだい?昔はそこそこ栄えていたと聞いたけれど」
「この国の南西に行ったところビュンヘルン騎士団領があるだろう?そこで出るショーセキとかいうのが王都で高値で取引されているらしく、商人たちはこぞってそっちの方に行っちまったというわけさ」
硝石、それは火薬の原料となる。硝石が産出されるのは王国の南部の国々で、王国ではほとんど産出されない。王国は火薬を使って新しい兵器を作成しているらしい。その兵器を作成しているのは王国中枢の貴族だけで、当家のような貧乏貴族には全く縁がない話だが。
「そうなのか、では私たちもそちらに行商に行くことにしようかな」
「あんたたちそんなことも知らなくて大丈夫かい?」
「この辺りは初めて来たから中々情報がなかったんだよ。親切にありがとう」
そういって店を出る。
「新しい情報はなかったね」
残念そうにリーリンが言う。
「そう残念がるな。俺はいい案を思いつけたぞ」
「えっ、本当ですか、兄さん!!」
「急いで屋敷に戻るぞ」
屋敷に戻るとグスタフとエボルバを再度招集した。
「よし、では当家の財政再建の案を発表する。」
三人が固唾をのんで俺の案を待つ。
「ずばり、硝石だ。」
そういうとリーリンがすぐさま疑問を投げかける。
「兄さんどういうこと?ビュンヘルン騎士団領と取引するってこと?ビュンヘルン騎士団領とはかなり距離が離れているし、何より今から新規参入できるとは思えないよ。」
「硝石の取引相手はビュンヘルン騎士団領じゃない。ガブスだ。」
全員があっけにとられる。無理もない。そもそも当家の仮想敵国はガブスだ。よもやそんな国と取引しようなどとは誰も思うまい。
「まあ落ち着け。順を追って説明する。まずガブス。ガブスは建国以来王国と対立してきた。それはガブスが選挙で選ばれた者によって統治されるからだ。王家が統治する王国に悪影響を及ぼしかねないから王国はカブスを攻撃した。そしてカブスはそれに対抗して軍拡を進めた。しかし、今王国は西の大国インタスと覇権争いをしている。カブスは王国には及ばないが、決して小国ではない。今カブスと対立するのは王国にとってもよろしくないだろう。次に硝石。硝石はカブスでも産出されている。ビュンヘルン騎士団領よりカブスの方が近く、輸送料が安く済むため商人たちはこぞって領内の街道を通るようになるだろう。」
「なるほど。」「確かにそれなら…!」「さすが兄さん!」
三人とも納得してくれたようだ。
それから四人で詳細を詰めていき、一週間後俺は王にカブスとの関係を改善する案を提案すべく、王都へ向かった。
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