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CHAPTER.2 燥ぐ鈍色(ハシャグニビイロ)【天体衝突9ヶ月前(梅雨)】
§ 2ー3 6月21日 モノクロームの雨
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--神奈川県・梅ヶ丘家--
恵みの雨。折角整えた髪は、意に反して天からの祝福にはしゃいでいるようにあっちこっちで跳ね回る。少し伸びたかな? と鏡に映る梅ヶ丘彩と目が合う。
洗面所の立派な鏡の横に貼られた小さなカレンダーには、2日後に『▲』マークが記されている。毎月馴染みの美容院へ行く日。家から歩いて5分の赤を基調とした花の手入れが行き届いた店は、お母さんも昔からお世話になっていた。
お母さんと一緒に髪を切った帰りに、いつも色とりどりの飴玉が入った缶カラの葢を開けて「彩ちゃん、好きなのをどうぞ」と取った赤い苺味の飴は今でもとっても美味しくて大好きで、喜ぶ私を見て美容院のおばさんも優しく微笑む。
そんな私の頭を撫でて嬉しそうな顔をしてたお母さん。今では、当時より柔らかく鮮明な記憶として大事に大事に心にしまってある。
木曜は2限からの講義で、少し遅めの準備。颯太のお母さんがくれたタッパーに入ったサラダに胡麻ドレッシングをかけて軽めに朝食を済ませる。
2階建ての一軒家で静寂の中、微かに打ちつける雨の音に寂しさを覚え、それを紛らわそうとTVをつける。
夏のボーナスの上げ幅が記録的なことに喜んでいるサラリーマンへのインタビューの後、すっかり見慣れた核ミサイルが映し出されていた。別世界の全く関係ない、関心も抱かないニュースを漠然と眺める。しかし、切り替わった映像の天体パンドラは、氷白な衣の上に透明で瑞々しいミカンの薄い皮が覆われている。
陽気な妖精たちが、無垢な踊りを繰り広げているような六花の女王は彩の心を少しまろやかにする。再度切り替わって映される人類最大の破壊兵器。無機質で想像すら及ばない威力で、あの星を破壊してしまうのだろうか……
朝食の片付けをし、TVを消したリモコンをいつもの位置に戻す。大学の講義の持ち物を入れた鞄と、使い慣れた大きなバッグ。颯太のお母さんが作った唐揚げを持って行ってあげたら、きっと喜んでくれるよね、お母さん?
着替えやタオルの上にお弁当をそっと大切に入れ、そのバッグを持つ。キッチンの壁のコルクボードに張られたあの日より前の写真に少し頬を緩ませる。その緩みは玄関でパンプスを履く頃には消えていた。
モノクロームの雨の中へドアを開ける。
今日も罪と向き合いに。
♦ ♦ ♦ ♦
この日、鹿児島県で日本初の核ミサイルが搭載されたシャトルが打ち上げられる。それはアメリカ、ロシア、中国、フランスに継ぐ5番目の早さで、打ち上げ可能な国は続々とこれに続く予定になっている。
ルートヴィヒ作戦と名付けられた発現天体破砕計画では、地表から衛星軌道上に打ち上げられた計10,000発もの核弾頭ミサイルを1000発ずつ天体パンドラに向けて発射し、破壊または軌道修正するものである。
地球上にある13,000発の核の75%以上にあたる物量。順次打ち上げられた核を載せたシャトルは衛星軌道上の10ヶ所でそれぞれ集結し、1日ずつ10日に分けてパンドラに向かう。スイングバイで月の引力を利用するため、人類が達していない月の裏側を遊覧した後、氷の女王めがけて直進する。
衛星軌道から3ヶ月弱の道程、人類のため、地球のためにただただ無慈悲に突き進む……
♦ ♦ ♦ ♦
--神奈川県・某駅--
夜の帷は、降り止んでも残り続ける水の精が入り込み、30度を下回っても蒸し暑さが街を包んでいる。
帰宅ラッシュの満員電車。電車が止まり開いたドアから、表情を忘れた人々が流れ出る。そんな群れの中、真新しい紺のスーツに新調したばかりの大きめの黒いリュックを手に持つ就活帰りの玉川匡毅がいた。
擦り抜ける隙間もない人混みを掻き分け早足で改札へ向かう。その心模様は9ヶ月前となんら変わらない。
玉川匡毅は生田颯太と梅ヶ丘彩のバイトする喫茶ル・シャ・ブランの先輩。年は2つ上で学年は1つ上の大学4年生で、九州・熊本から進学のため上京している。
小学1年生から始めた野球は、高校3年で県大会準優勝で一応の幕を閉じた。大学では勉学優先で野球は同好会で軽く汗を流すぐらいだ。
それで時間と体力に余裕ができたところを、大学の友人である成城紗良に誘われて喫茶店でバイトを始めたというあらましだ。
「はぁはぁ、ごめん、ごめん」
「あ、匡毅さん!」
「はぁはぁ、ふぅー、おまたせ、彩」
「ううん、全然待ってないよ。わたしも今着いたところ。それより大丈夫?」
「大丈夫、大丈夫! 最近、身体動かしてなかったからかな」
「年のせい?」
「歳って! 2つしか変わらないんだからさ」
「スーツなんて着てるから、だいぶ大人に感じちゃうよー」
「まー、来年には社会人だからさ。似合うだろ?」
「うん。匡毅さんは背が高いから、スーツ良く似合うよね」
「そうかな、はは、ありがとう。彩もそのワンピース。なんか大人っぽくていいよ」
「エヘヘ♪ ありがとう」
改札の出口の券売機の脇でポツンと彼女は待っていた。雑踏に咲いた名もない白い花のように。
白をベースにしたところどころに小さく黒い蝶が描かれた長袖のワンピースを着て、左肩に大きめなバッグをかけ、黒髪を後ろで黒猫がデザインされたバレッタで束ねた姿。白い肌に薄く施されたメイク。右手の甲にある絆創膏。
こちらに気がつき小さく細い腕を振り、目が合うとニコッと微笑む顔。9ヶ月前に付き合い出してから、その姿・しぐさ・佇まいに会うたびに瞳孔が反射的に広がってしまう。
ようやく目処が立った就職活動の打ち上げを兼ねて、彩を食事に誘った。普段より雰囲気が良い和食ダイニング。
土日以外の木曜に会う約束をしてしまったことに悪い気はしたが、就職活動の緊張からの解放感と忙しくてゆっくりと会えなかった欲求不満が積もりに積もって自身の都合を優先してしまった。
暫くして落ち着いてから電話で「ごめん、違う日にするよ」と伝えても、彩は「ううん、大丈夫だよ」と一層穏やかで安心させるような声色で返事を返すので予定は変更できなかった。
駅から歩き出す2人。自分のバッグを背負い、彩のバッグをいつものように右肩に掛けて、歩いて5分の予約した店に並んで歩く。
喧騒の繁華街。その一角の雑居ビルの2階にある落ち着いたトーンの看板は、実際に店内のムードと一致していた。
4人席に2人で座り事前に調べておいたメニューを注文すると、イワシのつみれ汁やカツオの刺身など旬の食材の料理が席に並べられていく。
「おいしいね~♪」と彩も喜んでくれている。その中でも、シンプルな鮎の塩焼きは、ついつい追加でもう1つ頼んでしまったぐらいの絶品だった。
「ホントに内々定決まってよかったね、匡毅さん。お疲れ様です」
乾杯と同時に笑顔で労ってくれる彩。
「かなり有名だよね、○○食品って。すごいなぁー。あのメーカーのカレーとか好きだよー。美味しいものいっぱい食べれるね♪」
食後に笑顔で喜んでくれる彩。
「そのネクタイ、どう? ちょっと子供っぽかったかなー? もっと大人っぽいネクタイ着ければいいのにー」
違うネクタイをしようとは思わなかった。大切なものだから。
…………
場所を変えた部屋のソファー。触れ合う感触。細めた目で見つめる彩。5月の誕生日にプレゼントされた紺とグレーの斜めストライプに白い猫の足跡がワンポイントで入ったネクタイは、就職活動中欠かさず着けていた。
慣れない研修が終わり、責任への安堵に加え、久しぶりの心底惹かれた人との時間。そのタイをようやく緩めることができる。
強く抱きしめたぬくもりの中、瞳に入った彩の顔はいつもように微笑んでいた。
恵みの雨。折角整えた髪は、意に反して天からの祝福にはしゃいでいるようにあっちこっちで跳ね回る。少し伸びたかな? と鏡に映る梅ヶ丘彩と目が合う。
洗面所の立派な鏡の横に貼られた小さなカレンダーには、2日後に『▲』マークが記されている。毎月馴染みの美容院へ行く日。家から歩いて5分の赤を基調とした花の手入れが行き届いた店は、お母さんも昔からお世話になっていた。
お母さんと一緒に髪を切った帰りに、いつも色とりどりの飴玉が入った缶カラの葢を開けて「彩ちゃん、好きなのをどうぞ」と取った赤い苺味の飴は今でもとっても美味しくて大好きで、喜ぶ私を見て美容院のおばさんも優しく微笑む。
そんな私の頭を撫でて嬉しそうな顔をしてたお母さん。今では、当時より柔らかく鮮明な記憶として大事に大事に心にしまってある。
木曜は2限からの講義で、少し遅めの準備。颯太のお母さんがくれたタッパーに入ったサラダに胡麻ドレッシングをかけて軽めに朝食を済ませる。
2階建ての一軒家で静寂の中、微かに打ちつける雨の音に寂しさを覚え、それを紛らわそうとTVをつける。
夏のボーナスの上げ幅が記録的なことに喜んでいるサラリーマンへのインタビューの後、すっかり見慣れた核ミサイルが映し出されていた。別世界の全く関係ない、関心も抱かないニュースを漠然と眺める。しかし、切り替わった映像の天体パンドラは、氷白な衣の上に透明で瑞々しいミカンの薄い皮が覆われている。
陽気な妖精たちが、無垢な踊りを繰り広げているような六花の女王は彩の心を少しまろやかにする。再度切り替わって映される人類最大の破壊兵器。無機質で想像すら及ばない威力で、あの星を破壊してしまうのだろうか……
朝食の片付けをし、TVを消したリモコンをいつもの位置に戻す。大学の講義の持ち物を入れた鞄と、使い慣れた大きなバッグ。颯太のお母さんが作った唐揚げを持って行ってあげたら、きっと喜んでくれるよね、お母さん?
着替えやタオルの上にお弁当をそっと大切に入れ、そのバッグを持つ。キッチンの壁のコルクボードに張られたあの日より前の写真に少し頬を緩ませる。その緩みは玄関でパンプスを履く頃には消えていた。
モノクロームの雨の中へドアを開ける。
今日も罪と向き合いに。
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この日、鹿児島県で日本初の核ミサイルが搭載されたシャトルが打ち上げられる。それはアメリカ、ロシア、中国、フランスに継ぐ5番目の早さで、打ち上げ可能な国は続々とこれに続く予定になっている。
ルートヴィヒ作戦と名付けられた発現天体破砕計画では、地表から衛星軌道上に打ち上げられた計10,000発もの核弾頭ミサイルを1000発ずつ天体パンドラに向けて発射し、破壊または軌道修正するものである。
地球上にある13,000発の核の75%以上にあたる物量。順次打ち上げられた核を載せたシャトルは衛星軌道上の10ヶ所でそれぞれ集結し、1日ずつ10日に分けてパンドラに向かう。スイングバイで月の引力を利用するため、人類が達していない月の裏側を遊覧した後、氷の女王めがけて直進する。
衛星軌道から3ヶ月弱の道程、人類のため、地球のためにただただ無慈悲に突き進む……
♦ ♦ ♦ ♦
--神奈川県・某駅--
夜の帷は、降り止んでも残り続ける水の精が入り込み、30度を下回っても蒸し暑さが街を包んでいる。
帰宅ラッシュの満員電車。電車が止まり開いたドアから、表情を忘れた人々が流れ出る。そんな群れの中、真新しい紺のスーツに新調したばかりの大きめの黒いリュックを手に持つ就活帰りの玉川匡毅がいた。
擦り抜ける隙間もない人混みを掻き分け早足で改札へ向かう。その心模様は9ヶ月前となんら変わらない。
玉川匡毅は生田颯太と梅ヶ丘彩のバイトする喫茶ル・シャ・ブランの先輩。年は2つ上で学年は1つ上の大学4年生で、九州・熊本から進学のため上京している。
小学1年生から始めた野球は、高校3年で県大会準優勝で一応の幕を閉じた。大学では勉学優先で野球は同好会で軽く汗を流すぐらいだ。
それで時間と体力に余裕ができたところを、大学の友人である成城紗良に誘われて喫茶店でバイトを始めたというあらましだ。
「はぁはぁ、ごめん、ごめん」
「あ、匡毅さん!」
「はぁはぁ、ふぅー、おまたせ、彩」
「ううん、全然待ってないよ。わたしも今着いたところ。それより大丈夫?」
「大丈夫、大丈夫! 最近、身体動かしてなかったからかな」
「年のせい?」
「歳って! 2つしか変わらないんだからさ」
「スーツなんて着てるから、だいぶ大人に感じちゃうよー」
「まー、来年には社会人だからさ。似合うだろ?」
「うん。匡毅さんは背が高いから、スーツ良く似合うよね」
「そうかな、はは、ありがとう。彩もそのワンピース。なんか大人っぽくていいよ」
「エヘヘ♪ ありがとう」
改札の出口の券売機の脇でポツンと彼女は待っていた。雑踏に咲いた名もない白い花のように。
白をベースにしたところどころに小さく黒い蝶が描かれた長袖のワンピースを着て、左肩に大きめなバッグをかけ、黒髪を後ろで黒猫がデザインされたバレッタで束ねた姿。白い肌に薄く施されたメイク。右手の甲にある絆創膏。
こちらに気がつき小さく細い腕を振り、目が合うとニコッと微笑む顔。9ヶ月前に付き合い出してから、その姿・しぐさ・佇まいに会うたびに瞳孔が反射的に広がってしまう。
ようやく目処が立った就職活動の打ち上げを兼ねて、彩を食事に誘った。普段より雰囲気が良い和食ダイニング。
土日以外の木曜に会う約束をしてしまったことに悪い気はしたが、就職活動の緊張からの解放感と忙しくてゆっくりと会えなかった欲求不満が積もりに積もって自身の都合を優先してしまった。
暫くして落ち着いてから電話で「ごめん、違う日にするよ」と伝えても、彩は「ううん、大丈夫だよ」と一層穏やかで安心させるような声色で返事を返すので予定は変更できなかった。
駅から歩き出す2人。自分のバッグを背負い、彩のバッグをいつものように右肩に掛けて、歩いて5分の予約した店に並んで歩く。
喧騒の繁華街。その一角の雑居ビルの2階にある落ち着いたトーンの看板は、実際に店内のムードと一致していた。
4人席に2人で座り事前に調べておいたメニューを注文すると、イワシのつみれ汁やカツオの刺身など旬の食材の料理が席に並べられていく。
「おいしいね~♪」と彩も喜んでくれている。その中でも、シンプルな鮎の塩焼きは、ついつい追加でもう1つ頼んでしまったぐらいの絶品だった。
「ホントに内々定決まってよかったね、匡毅さん。お疲れ様です」
乾杯と同時に笑顔で労ってくれる彩。
「かなり有名だよね、○○食品って。すごいなぁー。あのメーカーのカレーとか好きだよー。美味しいものいっぱい食べれるね♪」
食後に笑顔で喜んでくれる彩。
「そのネクタイ、どう? ちょっと子供っぽかったかなー? もっと大人っぽいネクタイ着ければいいのにー」
違うネクタイをしようとは思わなかった。大切なものだから。
…………
場所を変えた部屋のソファー。触れ合う感触。細めた目で見つめる彩。5月の誕生日にプレゼントされた紺とグレーの斜めストライプに白い猫の足跡がワンポイントで入ったネクタイは、就職活動中欠かさず着けていた。
慣れない研修が終わり、責任への安堵に加え、久しぶりの心底惹かれた人との時間。そのタイをようやく緩めることができる。
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