もう恋なんてしない

第13話 簡単でもあんたにしかできないこと

「簡単で合法なことだが、ここに3人いてもあんたにしかできないことだ」

飛鷹はそう言うと
「白藤拓人に貢がされたせいで返済もそろそろキツいんじゃないのか？」
相師のスマホを操作しながら呆れた顔で沙那を見つめる。

ど…、どうしてそれを…？
私、誰にも言ってない。

彼氏に強請られて嫌われるのが嫌だからって、ずっとお金を出し続けていたなんて。
しかも借金までしてそんな関係を続けていたとか。
恥ずかしくて誰にも言えなかった。

それなのにどうして？

「そんなに青ざめなくても大丈夫だ。俺たちはあんたには興味がない。知り得た秘密をバラすこともないから安心しろ。そして協力してくれるなら50万円を即金で支払う。どうだ？協力したくなってきただろう」

ズイっと迫る飛鷹には怪しさしかない。
でも、お金は喉から手が出るほど欲しいというのが本音。

どうして拓人をお金で繋ぎとめておくようなことをしたのか？
返済に息詰まって拓人もいなくなってしまったいまはそう思えるけど…。

あのまま拓人が傍にいたら、やっぱりまだ借金を重ねていたんじゃないかと怖くなる。

少し間が空いて冷静になったとき
「…え？い、いま、すごい金額を言いませんでした？」
沙那は驚いて飛鷹を二度見した。

「50万円か？まぁ打倒な金額だろう。なぁ相師？」
「そうだね。香村さんにしかできないことだし」

相師が言うなり飛鷹は
「なら決まりだ。行くぞ」
沙那の返事も聞かずに腕を掴む。

「え、ちょ、ちょっと待って！私、まだ揚力するって言ってない！」
「嫌ならいいが、あんたはどうやって今月末の返済をするつもりなんだ？」