もう恋なんてしない

竹柏凪紗

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第15話 ちゃんと説明してください

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「ちょっと強引すぎます!ちゃ、ちゃんと説明してくれないときちんと対応できないかもしれないし…」
警察署の建物内へと連れて行こうとした飛鷹に沙那。

「そうだよね。さすがにちょっと説明したほうがいいんじゃない?」

相師の言葉に軽く溜め息をつきながら
「そんなことあるか?行方不明者届を出すだけだぞ」
飛鷹は呆れた。

「でも、どうしてそれが香村さんじゃなきゃダメなのかはしっかり説明しておくべきじゃない?変に“事件性ナシ”とでも判断されれば50万円は支払い損だからね」

「相師はやさしそうな顔をしてズバっと言うなぁ。いつものことだけど」
「まぁねぇ。俺は正直者なんで」

2人のやり取りについていけず戸惑う沙那をチラリと見て飛鷹が口を開いた。

「行方不明者届…昔でいうところの捜索願は、家族…たとえば親権者や配偶者、後見人や監護者それから同居人や雇用主、それから恋人のように服絵不明者と親密な関係にあった人物であれば出すことができるとされている。ただ…」

ひと呼吸おいてから飛鷹が続ける。

「雇用主や同居人、それから恋人などの場合は行方不明者届が受理されないこともある。たとえば雇用主であれば雇ってからの期間、同居人であれば同居しはじめてから、恋人であれば恋人となった期間。根掘り葉掘り聞かれるし、そんなにあっさりと出せるものじゃない」

へぇ…。
行方不明者届って、恋人でも出せるのか。
知らなかった。

家族とかきょうだいとか、そういった血縁者じゃないとダメなのかと思ってたし、こういった公的機関で拓人を探そうとかいう頭もなかったかも。

「でも、香村さんの場合はパーフェクトなんだよね」
説明した飛鷹をフォローする形で相師が口を開いた。
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