もう恋なんてしない

第109話 億も出せる参加者

「あんたらは数百万～数千万円、場合によっては億も出せる参加者だからな。さすがのアンさんもこってり絞られるんじゃないか？」

クククと嗤いながら、成金に命じられたとおりVIPルームへと案内するシュウ。

「シュウ、お前はアンに従って俺に何かを混入したワインを飲ませようとしておきながら、怒り狂うとわかっている成金を呼びに行ったのか？」

怪訝な顔をしながら聞いた飛鷹に
「あぁ。アンさんからは前払いで協力する報酬を受け取っていたからな。成金さんをあの場に連れて行けば、成金さんからも報酬がもらえてウハウハよ」
平然と答えるシュウ。

「まぁリスクはあったから、ワインに入れた睡眠薬を極上イケメンのあんたがサッと飲んでくれたほうが、俺的にはスムーズだった。沙那ちゃんがアンさんにおとなしく襲われて服従するところまでいってくれてれば、下手に成金さんを呼びつけなくてもよかたんだぜ？」

さらに得意気な表情で悪びれる様子もなく続けたシュウが言い終わった瞬間…。
飛鷹はものすごい勢いでシュウを壁際まで追いやって胸倉を掴んだ。

「ふざけるな！お前らのせいで沙那は怖い思いをしたんだぞ」

「わ、悪かったよ…」
両手をバンザイして完全降伏を伝え、飛鷹に解放してもらったシュウが続ける。

「まぁ、丸くおさまったんだからヨシとしようぜ。極上イケメンだってブチ切れ気味で何をするかわからなかっただろ？それに成金さんだって、参加者が傷モノにされたと気づいたらあんなもんじゃ済まなかったはず。警察はご法度だし、これぞ円満解決だろ？」

勝手に話をいい方向にまとめようとするシュウを飛鷹が睨んで言う。

「さすがはクズホストだな」