もう恋なんてしない

竹柏凪紗

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第182話 ファーストキス?

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とろけるようなキスは観客席からの大きな拍手とともに終了を迎えて
「だいぶ煽ったこと、後悔するなよ」
ステージの裾に下がる途中で飛鷹が愉しそうに囁いた。

ぶわっとセクシーな飛鷹から迫られているリアルすぎなシーンが頭に浮かんできて沙那はプルプルと頭を振る。

飛鷹は成金からステージで受け取ったシイタケファームのシイタケを渡そうとして
「相師はまだ動揺してるのか?」
普段のチャラさはどこにいったのかと呆れて溜め息をついた。

「もしかしたら、ファーストキスとかだったんですかね?」

聞いた沙那を飛鷹は笑い飛ばしたけれど
「…ここまで動揺するとなると、ありえるな」
納得した様子で相師をチラ見。

あんなに欲しがっていたシイタケも飛鷹から受け取らないまま
「…俺、帰る…」
言うと、どこかへ向かってフラフラと歩きはじめた。

「おい、相師!」

引き留めようとした飛鷹だったけれど
「最後の挨拶があるので、勝者の方々はステージへお上がりください」
アナウンスとともに近くにいたスタッフに押されるようにしてステージへ。

挨拶だけ終えるとすぐに飛鷹は相師が向かって行った方向へと急ぐ。
そのあとを追いかける沙那と美羽。

「…ステージの下が楽屋とつながっているのはわかるけど…」

相師を追いかけ、ステージ下の待機スペースに掛かっていた黒いカーテンを開けた先に出た沙那は思わず辺りを見回した。
そこにはたくさんのドアが付いていて、いろいろな場所へと行き来できそうな建物。

なにが?と聞かれるとわからないけれど、なんとなく見てはいけないものを見た気がして鳥肌が立って戸惑う。

すぐに
「あ、お客さん、そっちは立入禁止です!」
スタッフが呼び止めに来て
「どうしてカギが開いているんだ?見つかったら怒られるぞ!」
別のスタッフが怒鳴る声が聞こえた。
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