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離別のとき
迷子の風
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大海原を見下ろす遥か上空。
大気を緩やかに漂いながらアニタは海上を彷徨っていた。
わずかに開いた時空の歪み穴から、運良くイマジェニスタに入国できたのは、つい今しがた。
ご主人様とはぐれ、狐火やジルもどうやらこの一帯にはいないようだ。
イマジェニスタの、どこか別の場所へ飛ばされたに違いない。
すぐさま探索の呪文を唱えようとして、護り部はあることに気づいた。
半径五メートル圏内にご主人様がいない場合、アニタはリアラルで魔法を使えない。
そういう取り決めだ。
正確には、使うことは可能だが、使えば罰せられてしまう。
では、イマジェニスタでは?
こっちの世界では、どうなのだろう。
ひょっとして、魔法が使えないのではないかしら。
故郷のイマジェニスタで自由に魔法を行使できるストレーガをアニタは羨ましく思う。
護り部は彼らとはまるで異質だ。
巨大な念の塊。
地球上のどこにも存在しているそれは
…風であり
…空気であり
…木漏れ日であり
…道端の野草であり
…石ころであり
…赤子の笑い声であり
…川のせせらぎであり
万物に宿るもの、それらすべてはまとめて精霊と呼ばれる。
護り部は、地球全土に広がるその巨大な精霊の魂の、ほんのごくごく一部を拝借して、個として命を与えられた存在なのだ。
アニタの存在意義は、カイを守ること。
アニタの予感は的中した。
カイがいなければ
魔法が一切
つ、か、え、な、い、
ご主人様。
わたくしは今、とても無力です。
あなた無しには、なに一つ出来ないわたくしなのです…
アニタの意識は空に溶けていく。
魔法も使えず、ただそこにあるだけの精霊の欠片。
死ぬこともなく、嘆くことも悲しむことも、喜ぶこともなく。
漂うだけ。
波のない穏やかな海。
遠くに陸が見える。
建造物もあるようだ。
とりあえず、あそこに向かうことにしましょうか。
わたくしにも…
こなせることが見つかるかもしれません、ご主人様。
また逢う日まで、お元気で。
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すぐさま探索の呪文を唱えようとして、護り部はあることに気づいた。
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そういう取り決めだ。
正確には、使うことは可能だが、使えば罰せられてしまう。
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万物に宿るもの、それらすべてはまとめて精霊と呼ばれる。
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カイがいなければ
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つ、か、え、な、い、
ご主人様。
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あなた無しには、なに一つ出来ないわたくしなのです…
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死ぬこともなく、嘆くことも悲しむことも、喜ぶこともなく。
漂うだけ。
波のない穏やかな海。
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とりあえず、あそこに向かうことにしましょうか。
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また逢う日まで、お元気で。
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