悩む少女達の家出物語

青鮫

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第一話 【普通が嫌】

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私は、いたって普通の人間だ。
通ってる高校は普通。
テストの点も普通。学力は中の中。
友達は多くもなければ少なくもない。
(特別仲の良い訳ではない)
家も普通。
親も普通に愛してくれている。


普通…普通…普通…何をやっても普通。
才能もなければ、
特別出来ない訳でもない。


…小学生まではそれで良かった、
むしろ…それが良かった、
「ノーリスク人生」
一人だけ安全地帯に居るみたいで、
それが最高に幸せだった。

しかし、
中学生になった時、
ようやく気が付いた。
私には…個性が無いのだと。
自分に何かを求めるようになった。
不幸でも幸福でもよい何か…何か
…と人生に刺激が欲しかった、
だからいろんなことをした。


好きなこと、趣味を見つけようとした…
好きでもない人に告白もした…
不思議な子と友達ごっこをしたりした…
不登校になってみたりした…
自分を物理的に傷付けたりした…

しかし全部無駄だった。

好きでもない…
嫌いでもない…
自分がピンとくるものを
みつけることが出来なかった。
何でもない人と3ヶ月付き合っても、
相手を好きにはなれなかった。
不思議な子とは仲良くなれなかった、
理解ができなかった。
不登校になっても、
学校に行くのと変わらなかった。


気がつけば、偏差値平凡
普通の高校に通うことになっていた。
一番望んでいないことだ
また同じ日々を…
繰り返さなければならない
と思うと吐き気がする。
何もかもが退屈でつまらない。

…と贅沢なことを言って。
自分が情けなくて誰よりも嫌いだ。
唯一嫌いだ。『大嫌いだ』


何かを感じるため、
感情をゆたかにするため、
私自身の物語が欲しい。
私は決心した。

愛してくれた両親に、
お世辞を言い合う仲の友達に、
ロボットのような高校の先生に、
そして平凡な自分に、
心の中でさよならを言った。






高校1年生 中田笑実(ナカタエミ)
6月10日 梅雨が始まった日
私の家出が始まった。

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