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第273話 竜、本当の両親に告げる
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「な……なんだ……!?」
「げほ……き、気味の悪い人形……」
『……』
『……』
動く埴輪と土偶を見て驚愕するダニー達。キーラが咳き込みながら睨みつけると、物言わぬ人形はカタカタと揺れた。
すると埴輪は手に剣と盾を作り出し、攻撃を始めた。
「うお!? なんなんだ本当に!? くそ、やめろ! ……ぐあ、か、硬い……!?」
『……!』
埴輪は信じられないスピードでキーラへ剣を繰り出し、頬や振り払おうとした手をバシバシと叩く。
「あーい!」
「リヒトが物凄く喜んでいるわ。どうしたのかしら」
「あー!」
「ライル様も目を輝かせています」
埴輪の雄姿を見たリヒトは立ち上がり、飛び跳ねながら大喜びだった。
ライルは立てないがリヒトの足を掴んで目を輝かせていた。
「ええい、なにをしているキーラ! こんな小さなゴミに! 魔法を――」
『……』
「うおわ!? なんだと!?」
埴輪へ攻撃魔法を使おうとしたダニーに、土偶が目から魔法を放ち阻止した。
ダニーは慌てて魔法を回避し、床を転がった。
「あれはライトアロー……!」
「きゃーう♪」
「ぴよー♪」
「リコットはあっちのドグウの方がいいのか?」
土偶が放った魔法を見てヒューシが目を丸くしていた。難しい魔法のようで彼は使えないそうだ。
リコットは土偶の雄姿を見て手を叩いて喜ぶ。
「あれはもしや?」
「ああ。ソルとエレノアの魂が入り込んでいる。生前、二人とも魔力が高かったようだね。普通ならあそこまで動けないんだけど」
「やっぱり……多分、恨みとかそういうのでも動いているのよ」
ディランが成り行きを見守っていた。
ゾンネアも少し驚いた様子で暴れる埴輪と土偶を見て感想を呟く。トワイトは悲しそうな顔で首を振る。
「そうかもしれないですね……息子を利用しようとして、一人は捨てるように脅迫したんですよ? わたしなら絶対許しません」
「ソルは病弱だったけど、僕と同じくらい剣の腕があった。もしかしたら僕以上だったかもしれないんだ。あのハニワだっけ? あの剣筋はそれらしい感じがする」
「エレノアさんは面識が無いけど、もしかしたら強かったのかも」
ユリやアトレオン、ミルザも怒りや懐かしさ、母としての強さを見て拳を握る。
『……!!』
「なんだソルだというのか!? 死んでも俺の邪魔をする!」
「キーラ! ええい、不甲斐ない息子が父に牙を剝くとは!」
『……!!』
「ぐあ!?」
とにかく埴輪ソルの剣が鋭く、捕まえようとしても攻撃をしても右手の剣であしらわれる。土偶エレノアを先に壊そうと思っていても、ソルが庇いに来る。
そして魔法で反撃をされていた。
「強いわね……小さいというのもあるけど、前衛と後衛がハッキリしているからあれは戦いにくいわ」
「生前に会ってみたかったのう。リヒトが物おじしないのは父親似かもしれんな」
「き、貴様等……! こいつらをなんとかしろ! 絶対に許さんからな……!」
「まあ、その中にソルとエレノアさんが居るなら止められないよ。少なくとも、僕はその二人に謝罪をするまで止める気はない」
「謝る……!? なぜ俺がこいつらに……がはっ!?」
魔法で火傷を負い、剣でぼこぼこにされた二人がディラン達へ文句へ言うが、埴輪ソルの怒りの一撃は止まらない。
『……』
「くそ……くそ……!! どいつもこいつも……!」
土偶エレノアもサッと移動しながら目から魔法を放ち続ける。命を奪うような強力なものでは無いが、ダメージは大きい。
『……』
『……』
「あーい♪」
「あうー♪」
時間にしておよそ数十分。
誰も手助けすることはなく、ソルとエレノアの攻撃が続いた。そして床に倒れた二人が動かなくなったところで埴輪と土偶がゆっくりとリヒトとライルの下へ戻っていく。
「かっこいい……」
「満足したかい? まさかここまで動けるとは興味深い」
『……』
二体の人形は頷き、リヒトとライルがそれぞれ掴んで喜んでいた。
ボロボロになったダニーが身を起こしてリヒトを睨みつける。
「やはり……忌み子、あそこで出会わなければこんなことには……」
「まだ言うか。お主は最初から間違えていたのじゃ。ソルを見下さず、同じように育て、キーラが悪いことをすれば叱る。親の役目はそれだけで良かったのじゃ」
「人間もドラゴンも、この世界に産まれてきたことがまず結果なのです。後は産んだ親次第。あなたがそこで床に這いつくばっているのは自分のせいだと思いなさいな」
「ぐぬ……」
「ディランさんとトワイトさんらしいよね。厳しいけど、その通りだと思う」
「わほぉん」
「うぉふ」
「わん」
親に守られて生きながらえ、仇を取ったアッシュウルフ達も賛同するように吠えた。キーラは床を殴りつけながら涙を流す。
「なんで俺ばかり……!! ソルは病弱だからとちやほやされて俺は敬遠されるんだ!」
「いや、それこそ自分のせいだぞ。貴族だからと横柄な態度を取っていたら嫌われる。だから私は家を出たのだし」
「ミルザ……!」
「さて、ひとまずこれで今後の話が出来る。後から陛下には通達するけど、クルメノス家は降格。子爵にし、領主権限は剥奪だ」
「そ、そんな馬鹿な……! 幸運の子が居るのになぜこんなことに……」
アトレオンが言い渡すと、ダニーが崩れ落ちる。そこでディランがソルとエレノアへ話しかけていた。
「ふむ。リヒトとライル。どっちが先に出て来たのじゃ?」
『……!』
「リヒトが先みたいね。なら、恐らく0時で産まれた伝承に当てはまるのはリヒトよ」
「そんな汚い痣があるのに……」
「あーう?」
「汚いかしら? この痣、よく見るとウサギに見えるけどね? 可愛いわ」
ディランの言葉にエレノアがライルの手から飛んでリヒトの肩に乗った。トワイトはそれを見て伝承はリヒトの方だと微笑んでいた。
痣の件をダニーが口にすると、トーニャが痣を見て幸運の象徴である動物のウサギに似ていると笑っていた。
「本当に最初から間違っていたんだな……」
「そんな……」
ヒューシが眼鏡を直しながらそう言うと、キーラがそのまま糸が切れたように床に突っ伏した。
「あーい♪」
「あうー♪」
そして後には両親の宿った人形を持って喜ぶ双子の姿が、あった。
「げほ……き、気味の悪い人形……」
『……』
『……』
動く埴輪と土偶を見て驚愕するダニー達。キーラが咳き込みながら睨みつけると、物言わぬ人形はカタカタと揺れた。
すると埴輪は手に剣と盾を作り出し、攻撃を始めた。
「うお!? なんなんだ本当に!? くそ、やめろ! ……ぐあ、か、硬い……!?」
『……!』
埴輪は信じられないスピードでキーラへ剣を繰り出し、頬や振り払おうとした手をバシバシと叩く。
「あーい!」
「リヒトが物凄く喜んでいるわ。どうしたのかしら」
「あー!」
「ライル様も目を輝かせています」
埴輪の雄姿を見たリヒトは立ち上がり、飛び跳ねながら大喜びだった。
ライルは立てないがリヒトの足を掴んで目を輝かせていた。
「ええい、なにをしているキーラ! こんな小さなゴミに! 魔法を――」
『……』
「うおわ!? なんだと!?」
埴輪へ攻撃魔法を使おうとしたダニーに、土偶が目から魔法を放ち阻止した。
ダニーは慌てて魔法を回避し、床を転がった。
「あれはライトアロー……!」
「きゃーう♪」
「ぴよー♪」
「リコットはあっちのドグウの方がいいのか?」
土偶が放った魔法を見てヒューシが目を丸くしていた。難しい魔法のようで彼は使えないそうだ。
リコットは土偶の雄姿を見て手を叩いて喜ぶ。
「あれはもしや?」
「ああ。ソルとエレノアの魂が入り込んでいる。生前、二人とも魔力が高かったようだね。普通ならあそこまで動けないんだけど」
「やっぱり……多分、恨みとかそういうのでも動いているのよ」
ディランが成り行きを見守っていた。
ゾンネアも少し驚いた様子で暴れる埴輪と土偶を見て感想を呟く。トワイトは悲しそうな顔で首を振る。
「そうかもしれないですね……息子を利用しようとして、一人は捨てるように脅迫したんですよ? わたしなら絶対許しません」
「ソルは病弱だったけど、僕と同じくらい剣の腕があった。もしかしたら僕以上だったかもしれないんだ。あのハニワだっけ? あの剣筋はそれらしい感じがする」
「エレノアさんは面識が無いけど、もしかしたら強かったのかも」
ユリやアトレオン、ミルザも怒りや懐かしさ、母としての強さを見て拳を握る。
『……!!』
「なんだソルだというのか!? 死んでも俺の邪魔をする!」
「キーラ! ええい、不甲斐ない息子が父に牙を剝くとは!」
『……!!』
「ぐあ!?」
とにかく埴輪ソルの剣が鋭く、捕まえようとしても攻撃をしても右手の剣であしらわれる。土偶エレノアを先に壊そうと思っていても、ソルが庇いに来る。
そして魔法で反撃をされていた。
「強いわね……小さいというのもあるけど、前衛と後衛がハッキリしているからあれは戦いにくいわ」
「生前に会ってみたかったのう。リヒトが物おじしないのは父親似かもしれんな」
「き、貴様等……! こいつらをなんとかしろ! 絶対に許さんからな……!」
「まあ、その中にソルとエレノアさんが居るなら止められないよ。少なくとも、僕はその二人に謝罪をするまで止める気はない」
「謝る……!? なぜ俺がこいつらに……がはっ!?」
魔法で火傷を負い、剣でぼこぼこにされた二人がディラン達へ文句へ言うが、埴輪ソルの怒りの一撃は止まらない。
『……』
「くそ……くそ……!! どいつもこいつも……!」
土偶エレノアもサッと移動しながら目から魔法を放ち続ける。命を奪うような強力なものでは無いが、ダメージは大きい。
『……』
『……』
「あーい♪」
「あうー♪」
時間にしておよそ数十分。
誰も手助けすることはなく、ソルとエレノアの攻撃が続いた。そして床に倒れた二人が動かなくなったところで埴輪と土偶がゆっくりとリヒトとライルの下へ戻っていく。
「かっこいい……」
「満足したかい? まさかここまで動けるとは興味深い」
『……』
二体の人形は頷き、リヒトとライルがそれぞれ掴んで喜んでいた。
ボロボロになったダニーが身を起こしてリヒトを睨みつける。
「やはり……忌み子、あそこで出会わなければこんなことには……」
「まだ言うか。お主は最初から間違えていたのじゃ。ソルを見下さず、同じように育て、キーラが悪いことをすれば叱る。親の役目はそれだけで良かったのじゃ」
「人間もドラゴンも、この世界に産まれてきたことがまず結果なのです。後は産んだ親次第。あなたがそこで床に這いつくばっているのは自分のせいだと思いなさいな」
「ぐぬ……」
「ディランさんとトワイトさんらしいよね。厳しいけど、その通りだと思う」
「わほぉん」
「うぉふ」
「わん」
親に守られて生きながらえ、仇を取ったアッシュウルフ達も賛同するように吠えた。キーラは床を殴りつけながら涙を流す。
「なんで俺ばかり……!! ソルは病弱だからとちやほやされて俺は敬遠されるんだ!」
「いや、それこそ自分のせいだぞ。貴族だからと横柄な態度を取っていたら嫌われる。だから私は家を出たのだし」
「ミルザ……!」
「さて、ひとまずこれで今後の話が出来る。後から陛下には通達するけど、クルメノス家は降格。子爵にし、領主権限は剥奪だ」
「そ、そんな馬鹿な……! 幸運の子が居るのになぜこんなことに……」
アトレオンが言い渡すと、ダニーが崩れ落ちる。そこでディランがソルとエレノアへ話しかけていた。
「ふむ。リヒトとライル。どっちが先に出て来たのじゃ?」
『……!』
「リヒトが先みたいね。なら、恐らく0時で産まれた伝承に当てはまるのはリヒトよ」
「そんな汚い痣があるのに……」
「あーう?」
「汚いかしら? この痣、よく見るとウサギに見えるけどね? 可愛いわ」
ディランの言葉にエレノアがライルの手から飛んでリヒトの肩に乗った。トワイトはそれを見て伝承はリヒトの方だと微笑んでいた。
痣の件をダニーが口にすると、トーニャが痣を見て幸運の象徴である動物のウサギに似ていると笑っていた。
「本当に最初から間違っていたんだな……」
「そんな……」
ヒューシが眼鏡を直しながらそう言うと、キーラがそのまま糸が切れたように床に突っ伏した。
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