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第367話 竜、果実を求める
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「実は今、竜玉の実を育てることを制限されているんですよ」
「まあ、どうしてかしら」
「最近……といってもここ五年くらいですが、お大名様が交代されたのです。その方があまり竜を好んでおられないので、実はあまり作らなくて良いとのお触れが」
「そうなのね。でも国としてはドラゴンに助けられたから敬っているはずですよね」
「よくご存知ですね! そうなのです。だから廃止ではなく生産を少なく、という形になっています」
若い女性の言葉で大名が制限をかけたとのことだった。
理由は単純にドラゴンが好きでないため、必要にかられないと判断したからだそうだ。
トワイトが知る限り、国としてはドラゴンに助けられた経緯があるためないがしろにはしないはずだと首を傾げた。
だが、そこは上手くやっているようで出荷量が減ったという事実のみを伝えているようだ。
「ええっと、ダイミョウって国王様じゃないの?」
「そうね。シスちゃんに分かりやすく言うと、大名は貴族で領主様って感じかしら?
場合によっては範囲が広いかもしれないわね」
「そうなんですね。じゃあさっきのタケマル家ってのは領主様なんだ」
「……出会ったんですね? 若い方でしたか?」
「え? うん、そうね」
「では息子のエイジ様ですね。大名様は父親なので」
あまりいい印象が無いのか、エイジ・タケマルの名を口にしながら眉間に皺が寄っていた。
「なんだか嫌そうな感じですね」
「はっ!? い、いいえ、そんなことは……それより、田楽はどうですか?」
ケイレブが尋ねると、女性はハッとしてから取り繕った。
慌てて田楽について聞き返すと、ギーラが最後の一口を食べてから答えた。
「なんか伸びるし、ついていた味のするやつも美味かったぜ! もう一本食べたいくらいだ」
「それは良かったです! 坊やは食べられないけど持っているのね?」
「あいー」
「とらねえからな? あ、外にいる爺さんの分か?」
「あう♪」
「じゃあ届けてやろうぜ。すぐそこだしいいだろ」
「あーい♪」
ギーラは美味しいと感想を述べた。
リヒトとライルは食べられないが、手にずっと持っていたりする。
そこでギーラがピンと来て外へ行こうかと提案した。
すると今回は喜んでお店の玄関へと走って行った。
「良かったわね、構ってもらえて」
「そうじゃねえよ……ほら開けてやるから――」
シスがようやく双子に受け入れられてもらえたことを笑うと、ギーラは口を尖らせてリヒトとライルと一緒に外へ出て行った。
「それじゃ、お願いね。お買い物を済ませるわ」
「お茶もどうぞ! お外にも誰かいらっしゃるんですか?」
「夫が居ますのよ。それじゃあ、赤と白を五十キロずつとお醤油を百キロ、白だし三十キロをもらおうかしら」
「ありがとうございます! それじゃあお味噌各種五十キロ……五十キロ!? お醬油も百って物凄いんですけど!? 馬を一杯連れてきているんですか……?」
「いいえ、でも私と夫が持てば全然大丈夫だからお願いいたします♪」
「は、はあ……では、裏へ行ってきますので少々お待ちを」
圧倒的物量に女性は目を丸くして驚いていた。
受注し、裏へ移動しながら「どうやって運ぶんだろう……」とぶつぶつ言いながら去っていく。
「まあ、ドラゴンの姿なら余裕よね」
「ええ♪」
「それにしてもたくさん買いますね」
「黒竜達に残してあげたいから。気にいれば、ケイレブ君と一緒に買いに来ればいいしね」
「あはは……僕かあ……」
矢面に立つのは苦手そうなケイレブが頭を搔きながら冷や汗をかく。
「昔からここで買っているんですか?」
「ええ。お金は持っていなかったから物々交換ばかりだったわね。今思えば、里を出た時、お金を持っていれば楽だったかも」
「お金……やっぱりここが問題になるな……物々交換ありなら鱗でもいいのかな……」
お店はこの後にも行くところがあり、知っているところは多いという。そして物々交換でもいいと聞いたケイレブは鱗を材料にしようと考えているようだった。
「ありゃ、考え始めると周りが見えなくなるタイプねケイレブ。それにしてもドラゴンフルーツは残念だったなあ。私も食べてみたかった」
「品薄というだけならどこかにあると思うし、探してみましょう。リヒトとライルにも食べさせてあげたいし」
「喜ぶ顔が目に浮かぶわ」
ドラゴンフルーツを食べた双子を思い、シスが笑顔でそう語る。トワイトも笑顔で頷いていた。
すると――
「待たせたのう! まさかあんた達が来ているとは思わなんだわい!」
「あら、こっちへ来られたんですね! お元気そうでなによりです」
そこで小柄なおじいさんがダミ声を響かせながら店舗へやってきた。
短髪白髪のおじいさんはトワイトのことを知っているようで片手を上げながら話を続ける。
「孫が注文内容を伝えにきて気づいたんだよ。こんな買い方をするのは他にいねえからな! おう、旦那はどうした?」
「今は子供たちと外にいますよ」
「そうか! 後で品物を渡すときに顔を見れそうだな。いやあ二十年も来ねえから、もう来ないかと思ったぜ。神社には行ったか? ノブヒコの奴は喜んだろ」
「ええ、会ってきましたよ。なんだか病気と言っていた割には元気でしたけど」
「実際、体調は悪かったんだがな。まあ、お前さん達にあって元気になったんだろ。……というか、面倒な時期に来ちまったなあ」
「え?」
「大名だよ。竜が嫌いなあいつに知られたらうっとおしいんだよな」
「詳しく聞かせてもらえる?」
おじいさんの話にトワイトは詳しく聞くことにしたのだった――
「まあ、どうしてかしら」
「最近……といってもここ五年くらいですが、お大名様が交代されたのです。その方があまり竜を好んでおられないので、実はあまり作らなくて良いとのお触れが」
「そうなのね。でも国としてはドラゴンに助けられたから敬っているはずですよね」
「よくご存知ですね! そうなのです。だから廃止ではなく生産を少なく、という形になっています」
若い女性の言葉で大名が制限をかけたとのことだった。
理由は単純にドラゴンが好きでないため、必要にかられないと判断したからだそうだ。
トワイトが知る限り、国としてはドラゴンに助けられた経緯があるためないがしろにはしないはずだと首を傾げた。
だが、そこは上手くやっているようで出荷量が減ったという事実のみを伝えているようだ。
「ええっと、ダイミョウって国王様じゃないの?」
「そうね。シスちゃんに分かりやすく言うと、大名は貴族で領主様って感じかしら?
場合によっては範囲が広いかもしれないわね」
「そうなんですね。じゃあさっきのタケマル家ってのは領主様なんだ」
「……出会ったんですね? 若い方でしたか?」
「え? うん、そうね」
「では息子のエイジ様ですね。大名様は父親なので」
あまりいい印象が無いのか、エイジ・タケマルの名を口にしながら眉間に皺が寄っていた。
「なんだか嫌そうな感じですね」
「はっ!? い、いいえ、そんなことは……それより、田楽はどうですか?」
ケイレブが尋ねると、女性はハッとしてから取り繕った。
慌てて田楽について聞き返すと、ギーラが最後の一口を食べてから答えた。
「なんか伸びるし、ついていた味のするやつも美味かったぜ! もう一本食べたいくらいだ」
「それは良かったです! 坊やは食べられないけど持っているのね?」
「あいー」
「とらねえからな? あ、外にいる爺さんの分か?」
「あう♪」
「じゃあ届けてやろうぜ。すぐそこだしいいだろ」
「あーい♪」
ギーラは美味しいと感想を述べた。
リヒトとライルは食べられないが、手にずっと持っていたりする。
そこでギーラがピンと来て外へ行こうかと提案した。
すると今回は喜んでお店の玄関へと走って行った。
「良かったわね、構ってもらえて」
「そうじゃねえよ……ほら開けてやるから――」
シスがようやく双子に受け入れられてもらえたことを笑うと、ギーラは口を尖らせてリヒトとライルと一緒に外へ出て行った。
「それじゃ、お願いね。お買い物を済ませるわ」
「お茶もどうぞ! お外にも誰かいらっしゃるんですか?」
「夫が居ますのよ。それじゃあ、赤と白を五十キロずつとお醤油を百キロ、白だし三十キロをもらおうかしら」
「ありがとうございます! それじゃあお味噌各種五十キロ……五十キロ!? お醬油も百って物凄いんですけど!? 馬を一杯連れてきているんですか……?」
「いいえ、でも私と夫が持てば全然大丈夫だからお願いいたします♪」
「は、はあ……では、裏へ行ってきますので少々お待ちを」
圧倒的物量に女性は目を丸くして驚いていた。
受注し、裏へ移動しながら「どうやって運ぶんだろう……」とぶつぶつ言いながら去っていく。
「まあ、ドラゴンの姿なら余裕よね」
「ええ♪」
「それにしてもたくさん買いますね」
「黒竜達に残してあげたいから。気にいれば、ケイレブ君と一緒に買いに来ればいいしね」
「あはは……僕かあ……」
矢面に立つのは苦手そうなケイレブが頭を搔きながら冷や汗をかく。
「昔からここで買っているんですか?」
「ええ。お金は持っていなかったから物々交換ばかりだったわね。今思えば、里を出た時、お金を持っていれば楽だったかも」
「お金……やっぱりここが問題になるな……物々交換ありなら鱗でもいいのかな……」
お店はこの後にも行くところがあり、知っているところは多いという。そして物々交換でもいいと聞いたケイレブは鱗を材料にしようと考えているようだった。
「ありゃ、考え始めると周りが見えなくなるタイプねケイレブ。それにしてもドラゴンフルーツは残念だったなあ。私も食べてみたかった」
「品薄というだけならどこかにあると思うし、探してみましょう。リヒトとライルにも食べさせてあげたいし」
「喜ぶ顔が目に浮かぶわ」
ドラゴンフルーツを食べた双子を思い、シスが笑顔でそう語る。トワイトも笑顔で頷いていた。
すると――
「待たせたのう! まさかあんた達が来ているとは思わなんだわい!」
「あら、こっちへ来られたんですね! お元気そうでなによりです」
そこで小柄なおじいさんがダミ声を響かせながら店舗へやってきた。
短髪白髪のおじいさんはトワイトのことを知っているようで片手を上げながら話を続ける。
「孫が注文内容を伝えにきて気づいたんだよ。こんな買い方をするのは他にいねえからな! おう、旦那はどうした?」
「今は子供たちと外にいますよ」
「そうか! 後で品物を渡すときに顔を見れそうだな。いやあ二十年も来ねえから、もう来ないかと思ったぜ。神社には行ったか? ノブヒコの奴は喜んだろ」
「ええ、会ってきましたよ。なんだか病気と言っていた割には元気でしたけど」
「実際、体調は悪かったんだがな。まあ、お前さん達にあって元気になったんだろ。……というか、面倒な時期に来ちまったなあ」
「え?」
「大名だよ。竜が嫌いなあいつに知られたらうっとおしいんだよな」
「詳しく聞かせてもらえる?」
おじいさんの話にトワイトは詳しく聞くことにしたのだった――
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