老竜は死なず、ただ去る……こともなく人間の子を育てる

八神 凪

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第55話 竜、成長に喜ぶ

「い、いや、流石にそこまでしてもらうわけにはいかないって」
「娘にいいところを見せたいのじゃろ? ワシも昔はそうであったし、父として気持ちはわかる」

 急な申し出にギリアムが困惑した声をあげた。迷惑をかけただけなのに酒まで用意してもらい、これ以上はもらえないだろうと言う。
 しかしトーニャは特に気にした風もなく目をぱちぱちさせた後、口を開いた。
 
「え? あ、うん。いいわよ! ちょっと寝ててね、リヒト」
「わほぉん」
「あ、ダル?」
「あーう?」

 トーニャがリヒトを寝かせると、ダルがユリの手を離れて近くで寝そべっていた。
 なにかあった際、ダルはリヒトの襟を咥えて移動することも考えていたりする。

「ぴよっ!」

 そんな中、トーニャの頭にひよこ達が頭から飛んで上手く着地。
 リヒトと少し離れていたのだが、そこでとあることが起きた。

「あー♪」
「あ、あれ? リヒト君が今、寝返りをしたわ……!」
「え? リヒトが?」

 ひよこを見てリヒトがもぞもぞと動き、うつぶせになっていた。
 レイカがリヒトを見てそう言うとトワイトがパタパタと駆けつけて来た。

「ぴおー♪」
「ぴよぴー♪」
「あーい♪」

 まだハイハイは出来ないが、正面からひよこ達を見て手を伸ばすことができるようになった。
 リヒトはトコトを手にして、いつもトワイトが彼にするように頬ずりをする。

「あら、いつの間に首が座ったのかしら。うふふ、少し大きくなったのね♪」
「リヒト君、可愛いなあもう」
「うー?」

 首が動くようになって見上げることができ、リヒトはひよこ達を手に『どうしたの?』といった感じだった。
 レイカがその様子にメロメロとなり、微笑みながら背中をさすってあげていた。

「おお、リヒトがついにうつぶせになったか!」

 そこへ話を聞きつけたディランもやってきて顔を綻ばせた。先ほどギリアムに見せていた冷徹な表情はどこへやら。

「子供の成長は早いからなあ。ウチのヴァールは騎士や従者に囲まれるとよく泣いていたが、この子は全然泣かないな」
「捨て子とは酷いことをしやがる。だけど良かったな、ドラゴンが親なら強くなれるぜお前は」

 モルゲンロートが自分の時はと目を細め、ギリアムは歯を見せて笑う。
 リヒトの成長に皆が喜んでいる中、トーニャが叫んだ。

「あたしの鱗はどうなったのよ!?」
「おお、すまんなトーニャ。腕の一枚でもあれば良かろう」
「パパは許します♪」
「露骨……!」

 ひと仕事するところだったが、いいところを全部リヒトに取られたため不貞腐れるトーニャ。しかし、ディランが頭を撫でてやると機嫌を直して笑顔になる。

「部屋の中で変身していいの?」
「腕だけやるのよ。でも部分変身って難しいのよね」

 ダルがリヒトのところへ行ったのでユリがトーニャのところへ来ていた。
 大きくなるのかと思っていた一同だったが、部分変身をすると告げた。

「ふん!」
「おお……!」

 瞬間、トーニャの右腕が膨れ上がり、巨大なピンク色をしたドラゴンの腕がになっていく。

「ディラン殿の時にも思ったが服は破れないんだな……」
「パンツは破れたのに……」
「うるさいわね!? 上手くやれば魔力で服も拡張できるの。あの時は酔っていたから破れちゃったのよ」
「へえ、そういうことも出来るのか」

 モルゲンロート、レイカ、ギリアムがそれぞれ感想を言う。その間にトーニャは腕の鱗を一枚剝がした。

「……大丈夫なのか?」
「わん……」
「え? うん、表面を覆っている鱗は痛みを感じないの。でも同じ鱗だから強度は間違いないわ! はい、ギリアムさん」

 ベキン! という何かを折るような音が響き、ヒューシがトーニャに声をかける。
 音が音だけにルミナスの耳と尻尾が垂れていた。
 しかし本人は痛くないといい、そのままギリアムへ手渡していた。

「お、おお……なるほど、キレイなもんだ」
「まあ、娘さんには適当に言っておいてくれ。ワシはバレても構わんが、モルゲンロート殿が困るからな」
「すまない。ったく、あわよくば倒そうと考えていたのがアホらしいぜ」
「話せば案外なんとかなる。私はそう思っているよ」

 ギリアムが困惑しながら苦笑する中、モルゲンロートはドヤ顔で彼の背中を叩いていた。
 ギリアムがそれに対して『お前はそうだよな』と言い、二人で笑う。

「あなた、リヒトを撫でてあげてくださいな」
「おお、そうじゃな! 偉いぞー」
「あーい♪ ……ふあ……」
「あら、おねむみたいですね」

 ディランが撫でてやるとリヒトは嬉しそうに声を出す。しかし、今日はお昼寝をしていないため、そろそろ限界が来たようだった。
 トワイトが抱き上げるとトコトは手から飛んでダルの頭に着地した。

「こけー」
「あー……」

 ジェニファーが羽を振るとリヒトはうとうとしながら手を振り、そのまま寝入った。

「あらら、寝ちゃった」
「少し静かにするぞお前達」
「「「はっ!」」」

 リヒトが寝息を立てたのでギリアムは騎士達に命令を下すと、すぐに喧騒が終わった。

「赤ちゃんは寝て育つもんね。そういえばトーニャってディランさんとトワイトさんの子供よね? なんで髪の色とかドラゴンの鱗は二人に似てないの? ダル達みたいに毛並みが一緒とかでもないし」
「うぉふ」
「あー、そっか。そういうの知らないわよね」
「そういえばそうだな。なにか理由があるのか?」

 バーリオが興味深いと顎に手を当てて尋ねていた。そこでトーニャが指を立てて話を始める。

「えっと、間違いなくあたしはパパとママの子供なんだけど、ドラゴンって生まれた時は属性は決まってないの。パパはアークドラゴンで、ママはストームドラゴンだけど、あたしはクォーツドラゴンって属性よ」
「どういう能力なんだ……? フレイムドラゴンとか分かりやすい感じじゃないのか」
「ドラゴンって基本的に火を吐けるんだけどね。ただフレイムドラゴンだと威力が変わるわ。で、あたしの能力は水晶を操ることが出来るわ」
「水晶……どう使うの?」
「こんな感じかな?」

 そういってトーニャは手のひらに水晶を生み出した。その場に居た全員が目を見開いて驚く。

「すごっ!?」
「魔力で硬さを変えられるのよ! 地面から生やすと結構キレイよ? それに地上を這う昆虫系の魔物とか一網打尽にできるし」
「あ、そうか範囲があれば周囲に群がってきたところをズドンか……」
「そうそう♪」

 本気になれば騎士達も地面から串刺しになっていたかも……と、バーリオが冷や汗を掻いてそんなことを呟き、騎士達も顔を見合わせて震えていた。
 そこでリヒトを抱っこしてゆりかごのように揺らしているトワイトが微笑みながら言う。

「それとトーニャちゃんのピンクは珍しいの。クォーツドラゴンは白い鱗なんだけど、娘はピンクなの」
「ふふん、実はレアいのよ。だからあの冒険者に狙われたんだけど……」
「トーニャがレアねえ……」

 腰に手を当ててドヤ顔をするが、酔っぱらって尻尾を出したりしているところを見ているのでユリは肩を竦めていた。

「人間もやるやつはおるからのう。まあ、行くところが無いならここに住めばええ。リヒトも喜ぶじゃろ」
「うん! レイカ達もよろしくね! ……ってガルフは寝てるのね」
「ま、ガルフも分かってるって」
「しかし、ドラゴンは不思議な生態をしているのだな」
「そうじゃのう。昔からこうだから気にはならん。というか親の特徴を持って生まれるだけであればどこかで必ず属性が偏るだろうから、ある意味、神の采配と思っておるわい。突然変異種もいるんじゃぞ」
「へえ、面白いなあ」

 ふとドラゴンの生態を聞いて皆が関心を示して頷いていた。様々な属性のドラゴンが居るらしく、ディランもきちんと把握はしていないと答えた。

「ではリヒトも寝たし、ベッドへ連れて行かねばならん。申し訳ないが宴はお開きじゃ」
「ああ、もちろんだ。赤ちゃんは可愛いよなあ。ウチの娘は大きくなっても可愛いけど、嫁いじまったらと考えたら寂しいもんだ……」
「婿を取ればいいではないかギリアム」
「なかなか王になれる器が――」
「その話はまた今度にしましょうお二方。後はこちらで片付けておきます。トワイトさんとディランさんは自宅へ戻ってください」

 また長話になりそうだとバーリオが咳ばらいをして中断させると、国王二人は顔を見合わせてバツが悪いといった顔になる。
 後片付けは任せてくれと続けたところ、トワイトが返す。

「あら、戻ってきますよ」
「これくらいさせてください。水を引いたキッチンもありますしね」 
「うんうん、トワイトさんはたまに楽をしよう?」
「こけー!」
「ぴよ……」
「ぴ……」
「ぴよー……」

 ユリもバーリオに加担し、戻るように言う。ジェニファーが元気に肯定し、ひよこ達は船を漕ぎながら鳴く。

「ならお言葉に甘えようかしら」
「たまにはええかもしれん。では、なにかあれば呼んでくれ、ワシはしばらく起きておるのでな」
「承知しました。ガルフを運ぶか……」
「わん」

 そうして騎士達も片付けに入り、手分けしてそれぞれやることをやっていく。
 夫婦は先に出ていき、人間とトーニャが残された。

「いやあ、ディランさんもトワイトさんもいい人よね」
「ウチの両親は優しすぎるけどね。多くはないけど悪いドラゴンも居るよ」

 だからあまり少人数で追ったりはしない方がいいとトーニャは真面目な顔で語り、話を聞いていた人間達は深く頷くのだった。
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