現代に転生した勇者は過去の記憶を取り戻し、再び聖剣を持って戦いへ赴く

八神 凪

文字の大きさ
90 / 115

百何匹かの猫大行進?

しおりを挟む

 「にゃー」
 「みゃーん♪」
 「にー!」
 「うおお……ね、猫が押し寄せてくるっ!?」
 「おいでおいで!」

 数百匹の猫がシュネや俺達の周りを取り囲み、真理愛の手招きで寄ってくる猫たちを愛でてやると、あっという間に足下にびっしりと集まりよじ登ってくる。

 「こりゃ大変だ、スリートどうだ?」
 <ちょっと待ってくださいな、と……残念、この中には居ないみてえです>
 「そっか、これだけ居たら一匹位紛れていても――」

 と、俺がスリートを持ち上げたところでスリートの髭がとんでもない勢いで震え出し、どこかを指し示すようにへにゃりと曲がった。

 <うわあ!?>
 「髭が面白いみゃ!」
 「無様な髭にゃ」
 「こいつはまさか……こっちか! 住孝さん、いいですか!」
 「ああ、一緒に行こう。ネーラもついてきてくれ」
 「オッケー!」
 「あ、待って修ちゃん!? ごめんね、後から遊んであげるから!」

 全身猫だらけになった真理愛が慌てて追いかけてきて横に並ぶ。猫女神みたいになった真理愛にぎょっとなるが、髭も激しさを増しどこを見ていいのか分からない状況に困惑しつつ、なんとか目的地に着く。
 
 そこには――

 「ひゃあ!? ……あれ、どちらさま? スミタカさんとネーラもどうしたんですか?」
 「あれ、修君に住孝さん?」

 小柄で赤ちゃんを抱いたエルフの女の子と真弓さんが居た。周りは畑で、見事なトマトがぶら下がっているのが見える。

 「真弓にフローレか、いや、修君が連れている猫の髭が凄いことになっててな」
 「ここら辺みたいだけど……」
 「あ、マユミから聞きましたけど猫ですか? でしたら一匹ここに居ますよ」
 「本当だ、赤ちゃんの枕もと!」
 
 真理愛が指差した先には座布団の上で丸くなっているブチ猫があくびをしていた。

 <……>
 「あ、今こっち見た。スリートが反応しているのはこいつか……?」

 そっとスリートを近づけると髭がさらに激しく震え、さらには座布団猫にも波及し、共鳴を始めた。しばらく眺めていると、ブチ猫がスリートを前足ではたきながら激昂する。

 <うおおおお! 鬱陶しいわ!?>
 <へぶ!?>
 「あ、喋った! ドラ猫ちゃんだ!!」
 <し、しまった……! にゃ、にゃあん♪>
 「よし、捕獲」
 <ああああああああ!?>
 「そいつが目当ての猫かい? 最初に連れてきた中の一匹だけど、意外と居るもんだな……」

 住孝さんが顎に手を当てて感心するように頷くのを横目に、俺はブチ猫に話しかけることにした。

 「俺は修。お前は元ドラゴンの猫で合っているか? 属性は?」
 <……ああ、そうだ勇者。俺はアースドラゴンだった者だ。安住の地を見つけたと思ったらまさか同胞に会うとは>
 「お前以外にもカイザードラゴンやそこにいるアイスドラゴン、サンダードラゴンなんかも家にいるぞ」
 <マジかー。俺を探していた、ということはなにか『向こう側』関連か?>

 ブチ猫は座布団の上で丸まったまま、近づく真理愛を尻尾を振って追い払おうとしながら聡明な質問を投げかけてくる。

 「ああ、どうも魔族と俺達をお前達ドラゴンに嗾けた国王がこっちの世界を狙っているようなんだ」
 <ふむ、それで元ドラゴンの俺達にできることがある、と>
 「だな。簡単に言えば魔力を使って向こう側へ乗り込んで、止めさせるつもりだ。もしかしたらお前達も元に戻れるかもしれない」
 <なるほど。承知した、が、俺はドラゴンの姿に未練も無い。協力はするが、最後はこの世界でのんびり暮らさせてくれ>
 「おお、珍しく達観したドラゴンが現れたな。スメラギなんてドラゴンの姿に固執しているのに」
 <スメラギ?>
 <カイザードラゴンでさあ。一人だけドラゴンの姿に戻れるんですよ>

 するとブチ猫は『あいつはプライドが高いからな』と鼻で笑いながら立ち上がると背伸びをして俺に言う。

 <仕方ない、お前の家に厄介になればいいのか? ……おっと>
 「だぁー」
 「ああ、ごめんね。ウチの子が! それより喋れたんですね」
 <黙っていてすまなかった。平穏に暮らしたかったんだ>

 真弓さんの子が揺れる尻尾を掴んできゃっきゃと笑い、ブチ猫は頬をすり寄せてやると大喜びだった。

 「気に入っているんだなあ」
 <なんでかは分からんがな。それじゃ行こうか>
 「あ、折角だからお昼ご飯食べて行かない? 歓迎も兼ねて! 私達の子はそのお猫様を気に入っているからまた来てほしいしね。いいでしょスミタカ?」
 「もちろんだ。それじゃ、お姫様からもらった肉でも出そうか――」

 という訳で、異世界に居たアースドラゴン猫を見つけることができた。
 これ、運が良かったけど下手すると見つからないままだった可能性が高いことを思い、俺は背筋が寒くなった。

 ともあれ、これで残り二匹。ウインドドラゴンとアクアドラゴンもこの調子ならすぐ見つかるような気がするけど――
しおりを挟む
感想 225

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

神樹の里で暮らす創造魔法使い ~幻獣たちとののんびりライフ~

あきさけ
ファンタジー
貧乏な田舎村を追い出された少年〝シント〟は森の中をあてどなくさまよい一本の新木を発見する。 それは本当に小さな新木だったがかすかな光を帯びた不思議な木。 彼が不思議そうに新木を見つめているとそこから『私に魔法をかけてほしい』という声が聞こえた。 シントが唯一使えたのは〝創造魔法〟といういままでまともに使えた試しのないもの。 それでも森の中でこのまま死ぬよりはまだいいだろうと考え魔法をかける。 すると新木は一気に生長し、天をつくほどの巨木にまで変化しそこから新木に宿っていたという聖霊まで姿を現した。 〝この地はあなたが創造した聖地。あなたがこの地を去らない限りこの地を必要とするもの以外は誰も踏み入れませんよ〟 そんな言葉から始まるシントののんびりとした生活。 同じように行き場を失った少女や幻獣や精霊、妖精たちなど様々な面々が集まり織りなすスローライフの幕開けです。 ※この小説はカクヨム様でも連載しています。アルファポリス様とカクヨム様以外の場所では公開しておりません。

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜

沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。 数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

処理中です...