決着は来世でつけると約束した勇者と魔王はお隣さんで幼馴染になる

八神 凪

文字の大きさ
26 / 48

26.癖のある先生

しおりを挟む
「はい……というわけで、魔法学の先生をしている……ローテリア、です……」
「あ、はい」
「本当に先生……?」

 Aクラス全員が集合し、地面に座る。先生だというローテリアを前に困惑する一同。
 黒いローブに赤いカチューシャ、青い宝石が先にくっついたロッドに薄紫のマントという、どうみても「魔法使いに憧れた子供」がそこに居るからである。

「可愛いですね、先生」
「……!? フィーシアさん、先生に可愛いと言ってはいけません! 私はこれでも二十五歳ですからね……」
「おお、怒ったり沈んだり忙しいな」

 最初は憤慨していたローテリアだが、年齢と容姿を口にしだしたあたりから勢いが無くなった。本人は気にしているようだ。

「うふふ……いまだにお酒を注文すると『お嬢ちゃんにはまだ早いなあ』と言われるんですよ……この間も――」
「授業、授業を始めましょう先生!」
「……そ、そうですね……では、魔法の基礎のお話からやりましょうか」

 嫌な雰囲気になってきたと思い、リアムが慌てて授業をするように勧めていた。
 するとハッとした顔でローテリアが正気に戻り、なんとか軌道修正ができた。

「……えっと、みんなは魔法についてどれくらい……理解があるのかな? フィーシアさん」
「あ、はい!」

 差されたフィーシアが立ち上がり、基本的な四属性である火・水・風・土の話をする。攻撃魔法の多い火、補助魔法の水、攻撃と防御の両方がバランスの取れている風、守りに特化している土といった基本的なことを。
 
「で、人によって得意不得意があって、中々判明しないんですよね? 学院、もしくはギルドの適正試験で分かるとか」
「はい、よく知っていますね……それに加えて、光と闇、そして昔、勇者に倒された魔王の編みだした魔属性があります」
「そ、それは初めて聞いたわ」
「へえ、魔属性なんてあるんだ」
「……」
 
 さらに別属性の光と闇、そして魔王の開発した魔属性というものがあるとローテリアが補足した。
 そこでロイがリアムを見ると、口をへの字にして眉を顰めていた。
 恐らく、生き残った魔族……それこそフィアームあたりがそれを伝えたのだろうと推測する。
 問題はどこまで広めているか、だ。そこでローテリアが話を続けた。

「とは言っても魔属性はそこまで使える人間は居ないので覚えておく程度になるかもですね……そこの君は魔族みたいだから使えるかもしれませんね。ただ、それでも魔王がかつて使っていた強力なものはセンスと魔力が必要なので、修行しても難しい、ですが……」
「そりゃそうよね!」
「なんでリアムさんがドヤ顔をしているの?」
「な、なんでもないわ」

 訝しんでいたリアムが突然うんうんと頷き、ミトラが首を傾げる。

「……」
「……!」
「……ふむ」

 そこでローテリアは一瞬、リアムに視線を向けた。ロイとリアムは気付いたが、ローテリアはすぐに視線を逸らして話を続ける。

「(なるほど、さっき俺とリアムが元気なことに驚いていなかったのと、この先生の態度。多分テリアさんが俺達のことを話しているんだろうな)」

 ロイは勇者と魔王の記憶があることを各教員へ伝えているのだろうと予測していた。
 その件は授業が終わったあとに二人へ聞けばいいかとひとまず授業に集中することにした。

「人間では魔属性は使いにくい。しかし強力ということは魔族に勝つのはやはり難しいのでしょうか?」

 ロイとリアムが確かめるようにローテリアを見ていると、ゴルドが手を上げて質問を投げかけた。
 戦争時代、人間は魔族に押されていたことがあるためゴルドは気になっていたようだ。

「……研究の結果だけど、魔族は生まれつき魔力が高いことがわかって、います……だけど魔力は使うことで伸ばせるから、一概に難しいとは言えませんね」
「なるほど」
「もし、それを覆せないなら……勇者一行が魔王を倒すことはできなかったでしょう……?」
「あ、確かに」

 フィーシアが手をポンと打って納得した。
 ゴルドも訓練すればいけるのかと小さく呟く。

「そ、それじゃ実践していきましょう……」
しおりを挟む
感想 47

あなたにおすすめの小説

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

勇者の隣に住んでいただけの村人の話。

カモミール
ファンタジー
とある村に住んでいた英雄にあこがれて勇者を目指すレオという少年がいた。 だが、勇者に選ばれたのはレオの幼馴染である少女ソフィだった。 その事実にレオは打ちのめされ、自堕落な生活を送ることになる。 だがそんなある日、勇者となったソフィが死んだという知らせが届き…? 才能のない村びとである少年が、幼馴染で、好きな人でもあった勇者の少女を救うために勇気を出す物語。

防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました

かにくくり
ファンタジー
 魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。  しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。  しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。  勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。  そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。  相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。 ※小説家になろうにも掲載しています。

無限に進化を続けて最強に至る

お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。 ※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。 改稿したので、しばらくしたら消します

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」 「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」 許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。 許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。 上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。 言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。 絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、 「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」 何故か求婚されることに。 困りながらも巻き込まれる騒動を通じて ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。 こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。

処理中です...