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25.ロイがゴルドを嫌わない理由
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「お、鐘だ。よし、今日はここまで! 皆、お疲れさん! 次は魔法の授業だな? 魔法授業のグラウンドはあっちになる。また次の授業で会おう!」
「う、おお……ここから魔法の授業、だと……?」
「し、死ぬ……」
素振りが終わり、ちょっとした話の後に授業の終了を告げる鐘が鳴った。
クラスメイト達は型の説明で休憩をしていたものの、素振りもがっつりとやらされたので体力はほぼ尽きていた。
初日からこのペースなのか、午前中の平和な勉学はなんだったのかと誰もが思っていた。
「ほら、ミトラ立てるかー?」
「フィーシア、大丈夫?」
「うう……元気だ……」
「あんた達、体力お化け過ぎない……?」
ミトラはともかく、フィーシアも体力が空になってしまったようで、足を投げ出してロイとリアムの二人を呆れた目で見ていた。
そんな中、次の剣術の授業であるクラスが来たのが見えた。
「おお!? Aクラスのみんなが死んでいる……」
「一体なにが……?」
「よう、なにクラスだい?」
「俺達はDだな。お前は元気みたいだけど、なにがあったんだ?」
「えっと……」
ロイに話しかけてきたDクラスの子に応えようとしたが、そこでライナーがサッと近づいてきた。
「はっはっは! 楽しみは後にとっておくんだ! さ、Aクラスは移動だ!」
「はーい……」
「グッドラック……」
「なんだよ!?」
ゾンビのように立ち上がり、よろよろと肩を支え合って移動するAクラスの面々。
サムズアップをしながらフッと笑う彼等にDクラスは驚愕していた。
「ゴルド様……!?」
「む!?」
するとゴルドの取りまきであるサダの声が聞こえてきた。倒れているゴルドに駆け寄っていく。
ゴルドはその瞬間、倒れていた身体をシャキッと起こして腕組みをして立った。
「おお」
「立ったわね」
ロイとリアムがそれを見て手を叩く。ゴルドは型をしながら打ち込みをしていたため、消耗は他の子より高かったはずなのだ。
故に、足は生まれたての小鹿のようにプルプルしていた。
「だ、大丈夫ですか!?」
「も、問題ないぞサダ。次はお前達のクラスか……頑張って鍛えてオレの役に立つのだ」
「はい! もちろんです!」
「で、ではな!」
ヨロヨロと踵を返し、片手を上げてサダの前から立ち去る。二人の前に差し掛かった時にミトラを左に抱えていたロイが右にゴルドを抱えた。
「うお!? な、なんだ村人!?」
「いや、倒れそうだなって」
「構うな……!」
「でも、あいつに格好悪いところは見せたくないんだろ?」
「……ふん、お前には負けんからな」
「あはは……」
ロイの言葉にゴルドはチラリと後ろを見た。その後、不遜な態度を見せたが支えてもらうことを拒否しなかった。
「見栄っ張りだよなあ。まあ、ゴルドはみたいな奴はたくさんいるから気にならないけど」
「達観し過ぎじゃない……?」
「貴様、馬鹿にしているのか!?」
「いやいや、昔の貴族って、こう、偉そうな奴が多かったんだよ。ゴルドの態度なんて可愛いもんって奴もいたし」
「なに……?」
「ああ、いや、なんでもない。行こうぜ。ミトラは魔法を使えるのか?」
「えっと――」
ロイ達はそんな話をしながら魔法の授業があるというグラウンドの場所へと歩き出していく。
それを後ろから見ていたリアムがフィーシアに手を貸しながら呆れた顔で見ていた。
「まったく。貴族から罠に嵌められた記憶があるヤツが言うことじゃ無いでしょうに」
「え? なに? ロイがどうかしたの?」
「……なんでもないわ。私達も行きましょう」
リアムがフィーシアを連れて歩きだすと「そっか」と短く言ってから笑顔でついてきた。
「なにも聞かないのね?」
「んー、聞いても教えてくれ無さそうだしねー。もうちょっと仲良くなったら聞くわ♪」
「あ、ちょ! 抱き着かないでよ!」
「疲れたから連れて行ってよー。リアム力持ちでしょ?」
「暑苦しいのよ……!」
疲れたとじゃれてくるフィーシアを引き剥がそうとしながら先を歩く。
「なんかエッチだなあの二人……」
「ああ……」
横を歩くクラスメイトにそんなことを言われていたが、聞こえていなかった。
しばらく歩くと地面の色が違うフィールドに出た。
「この辺かな?」
「き、来ましたね……Aクラスのみなさん……」
「おう!? びっくりした!? 人が居たのか……」
ロイが見渡しながら言うと、どこからか陰気な雰囲気の黒い服を着た女性が出てきた。
「少し休憩したら……授業をします、からね……」
「せ、先生、なのか?」
「……? はい、どこからどう見てもそうだと思いますが……」
「……」
女性が首を傾げて先生だと肯定する。
しかし、その身長は153センチのリアムより、頭一つ分、小さかった。
故に、その場に居た全員が黙り込んだ。
「う、おお……ここから魔法の授業、だと……?」
「し、死ぬ……」
素振りが終わり、ちょっとした話の後に授業の終了を告げる鐘が鳴った。
クラスメイト達は型の説明で休憩をしていたものの、素振りもがっつりとやらされたので体力はほぼ尽きていた。
初日からこのペースなのか、午前中の平和な勉学はなんだったのかと誰もが思っていた。
「ほら、ミトラ立てるかー?」
「フィーシア、大丈夫?」
「うう……元気だ……」
「あんた達、体力お化け過ぎない……?」
ミトラはともかく、フィーシアも体力が空になってしまったようで、足を投げ出してロイとリアムの二人を呆れた目で見ていた。
そんな中、次の剣術の授業であるクラスが来たのが見えた。
「おお!? Aクラスのみんなが死んでいる……」
「一体なにが……?」
「よう、なにクラスだい?」
「俺達はDだな。お前は元気みたいだけど、なにがあったんだ?」
「えっと……」
ロイに話しかけてきたDクラスの子に応えようとしたが、そこでライナーがサッと近づいてきた。
「はっはっは! 楽しみは後にとっておくんだ! さ、Aクラスは移動だ!」
「はーい……」
「グッドラック……」
「なんだよ!?」
ゾンビのように立ち上がり、よろよろと肩を支え合って移動するAクラスの面々。
サムズアップをしながらフッと笑う彼等にDクラスは驚愕していた。
「ゴルド様……!?」
「む!?」
するとゴルドの取りまきであるサダの声が聞こえてきた。倒れているゴルドに駆け寄っていく。
ゴルドはその瞬間、倒れていた身体をシャキッと起こして腕組みをして立った。
「おお」
「立ったわね」
ロイとリアムがそれを見て手を叩く。ゴルドは型をしながら打ち込みをしていたため、消耗は他の子より高かったはずなのだ。
故に、足は生まれたての小鹿のようにプルプルしていた。
「だ、大丈夫ですか!?」
「も、問題ないぞサダ。次はお前達のクラスか……頑張って鍛えてオレの役に立つのだ」
「はい! もちろんです!」
「で、ではな!」
ヨロヨロと踵を返し、片手を上げてサダの前から立ち去る。二人の前に差し掛かった時にミトラを左に抱えていたロイが右にゴルドを抱えた。
「うお!? な、なんだ村人!?」
「いや、倒れそうだなって」
「構うな……!」
「でも、あいつに格好悪いところは見せたくないんだろ?」
「……ふん、お前には負けんからな」
「あはは……」
ロイの言葉にゴルドはチラリと後ろを見た。その後、不遜な態度を見せたが支えてもらうことを拒否しなかった。
「見栄っ張りだよなあ。まあ、ゴルドはみたいな奴はたくさんいるから気にならないけど」
「達観し過ぎじゃない……?」
「貴様、馬鹿にしているのか!?」
「いやいや、昔の貴族って、こう、偉そうな奴が多かったんだよ。ゴルドの態度なんて可愛いもんって奴もいたし」
「なに……?」
「ああ、いや、なんでもない。行こうぜ。ミトラは魔法を使えるのか?」
「えっと――」
ロイ達はそんな話をしながら魔法の授業があるというグラウンドの場所へと歩き出していく。
それを後ろから見ていたリアムがフィーシアに手を貸しながら呆れた顔で見ていた。
「まったく。貴族から罠に嵌められた記憶があるヤツが言うことじゃ無いでしょうに」
「え? なに? ロイがどうかしたの?」
「……なんでもないわ。私達も行きましょう」
リアムがフィーシアを連れて歩きだすと「そっか」と短く言ってから笑顔でついてきた。
「なにも聞かないのね?」
「んー、聞いても教えてくれ無さそうだしねー。もうちょっと仲良くなったら聞くわ♪」
「あ、ちょ! 抱き着かないでよ!」
「疲れたから連れて行ってよー。リアム力持ちでしょ?」
「暑苦しいのよ……!」
疲れたとじゃれてくるフィーシアを引き剥がそうとしながら先を歩く。
「なんかエッチだなあの二人……」
「ああ……」
横を歩くクラスメイトにそんなことを言われていたが、聞こえていなかった。
しばらく歩くと地面の色が違うフィールドに出た。
「この辺かな?」
「き、来ましたね……Aクラスのみなさん……」
「おう!? びっくりした!? 人が居たのか……」
ロイが見渡しながら言うと、どこからか陰気な雰囲気の黒い服を着た女性が出てきた。
「少し休憩したら……授業をします、からね……」
「せ、先生、なのか?」
「……? はい、どこからどう見てもそうだと思いますが……」
「……」
女性が首を傾げて先生だと肯定する。
しかし、その身長は153センチのリアムより、頭一つ分、小さかった。
故に、その場に居た全員が黙り込んだ。
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