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29.テリアと行くギルド
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「……」
「どうしたのリアム? ロイが気になるの?」
「え? いや、別に……なんでそんなことを?」
「いや、ずっと見ていたから」
「そんなはずないじゃない。私はあいつが大嫌いなんだから」
ロイが立ち去った方角を見据えていたリアムを、フィーシアとミトラが声をかけた。気にしているなら追いかければいいのにと考えていた二人だが、リアムは鼻を鳴らしてさっさと歩き出した。
「なーんかあると思うんだけどなあ」
「幼馴染で家は隣みたいなんだよね。なのに喧嘩して嫌いって言うんだ」
「うーん、まあ私はどっちでもいいけどね。ロイの顔は悪くないし、あれだけ強くて賢かったら優良物件ってやつでしょ」
「現実的だなあフィーシアさんは。平民だと親に怒られるんじゃないの?」
廊下を覗き込む二人が、見えるリアムの背中を見ながらそんな話をする。
幼馴染でも嫌いであることはあり得る。
しかし、それなのにリアムはロイの近くにいることが多いと感じていたのだ。
その件については恐らく答えてくれないだろうなと二人は今ので確信した。
「ウチは結婚相手が見つからなければお見合いなのよねー。下手をすると十歳くらい年上の相手とかあり得るから、今の内に自分がビビッときた相手を選びたいのよ。ミトラはどうなの? 好きな子とか居ないの?」
「え? 僕は今のところ居ないよ。まずは勉強に励みたいし」
フィーシアとミトラはそんな話をしながらリアムを追いかけて部活を見に行くため歩き出すのだった。
◆ ◇ ◆
「ギルドになにか用があったんですか?」
「あったというか……ってリアムさんは?」
「いや、一緒じゃないですけど。話した通り、一緒にいると戦いたい欲求にかられるし」
「あー、そうだっけ。じゃあ同じクラスはまずかったかしらねえ」
リアム達と別行動になったロイはテリアと一緒に町を歩いていた。
ギルドへ行くつもりだったというテリアはリアムのことを告げるも、例の記憶のことを再確認して渋い顔になった。
「まあ、人が多いとそうでもないですしね」
「なんだか難しいわね……それで、ギルドに行く用事だけど、ロイ君とリアムさんにに関して話に行こうかと思っていたの」
「俺達の……? あ、やっぱり先生が俺達を見る目が違ったのは……」
「うん。朝会で教員には話しておいたわ。もちろん記憶のことは言っていないけどね。ただ、ちょっと特殊に強い子がいることだけ」
ロイはそれを聞いて肩を竦めて首を振る。不満があるわけではない態度でテリアへと返す。
「俺達は別にそのつもりだったからいいけどな。絡まれてすむし、変に驚かれたりするよりは話が早い」
「そうね。クラスメイト達は、まあ、その内慣れるでしょうけど教員が知らないでいちいち驚かれたら授業にならないもの」
「だなあ」
ロイは周辺の町並みを見ながら頭で地図を作りつつ、テリアについていく。
これは勇者レオンの癖で、新しい場所に到着すると必ず脱出経路や路地がどこにあるのか、死角となりやすい場所などを見ていくのだ。
「……」
「ん? どうかしました?」
「いえ、なんでもないわ。そこの角を曲がったところがギルドよ」
ロイはテリアが自分を見ていることに気づき、視線を合わせる。しかし、テリアはフッと笑ったあと、ギルドへ案内した。
「おおー、村のよりでかいなやっぱ」
村よりも幾分大きな建物に感嘆の声を上げて見上げるロイ。そんな彼を横目にしながらギルドの扉を開けた。
中は喧騒としており、装備を整えた冒険者が各々、会話に興じていた。
「お、テリアさん。どうしたんだい?」
「相変わらずキレイね。冒険者に戻るの?」
「今の私は学院長……もう、あのころには戻れないのよ……」
「まあ60年も前の話だしな」
「50年よっ! ロイ君、こっちよ!」
「あ、ああ……」
テリアは顔見知りらしい冒険者達と適当な会話をした後、受付がある奥へと向かっていく。
「いる?」
「ええ。その子は?」
「生徒よ。ちょっと面白い、ね?」
「はあ……」
そのまま受付へ……と思ったが、その受付に『いつもの』みたいなノリで女性に声をかけると、さらに奥にある部屋の前へとやってきた。
「こんにちは、入っても大丈夫かしら?」
「んあ? テリアさんか? どうぞ」
ノックをして声をかけると、中からごつい声の男が返事をし、中へ入っていいと言う。二人が中へ入ると執務机からロイとテリアを見てくる男が居て、軽く頭を下げてきた。
「あ、こんにちは」
ロイも頭を下げると、男はにっこりと微笑みながら続けた。
「俺はギルドマスターのビョウボ。よろしくなロイ」
「ギルドマスター……!? なんでまた……」
「ま、色々あってね。ちょっと座るわね」
テリアはロイを伴いソファへ移動する。
「どうしたのリアム? ロイが気になるの?」
「え? いや、別に……なんでそんなことを?」
「いや、ずっと見ていたから」
「そんなはずないじゃない。私はあいつが大嫌いなんだから」
ロイが立ち去った方角を見据えていたリアムを、フィーシアとミトラが声をかけた。気にしているなら追いかければいいのにと考えていた二人だが、リアムは鼻を鳴らしてさっさと歩き出した。
「なーんかあると思うんだけどなあ」
「幼馴染で家は隣みたいなんだよね。なのに喧嘩して嫌いって言うんだ」
「うーん、まあ私はどっちでもいいけどね。ロイの顔は悪くないし、あれだけ強くて賢かったら優良物件ってやつでしょ」
「現実的だなあフィーシアさんは。平民だと親に怒られるんじゃないの?」
廊下を覗き込む二人が、見えるリアムの背中を見ながらそんな話をする。
幼馴染でも嫌いであることはあり得る。
しかし、それなのにリアムはロイの近くにいることが多いと感じていたのだ。
その件については恐らく答えてくれないだろうなと二人は今ので確信した。
「ウチは結婚相手が見つからなければお見合いなのよねー。下手をすると十歳くらい年上の相手とかあり得るから、今の内に自分がビビッときた相手を選びたいのよ。ミトラはどうなの? 好きな子とか居ないの?」
「え? 僕は今のところ居ないよ。まずは勉強に励みたいし」
フィーシアとミトラはそんな話をしながらリアムを追いかけて部活を見に行くため歩き出すのだった。
◆ ◇ ◆
「ギルドになにか用があったんですか?」
「あったというか……ってリアムさんは?」
「いや、一緒じゃないですけど。話した通り、一緒にいると戦いたい欲求にかられるし」
「あー、そうだっけ。じゃあ同じクラスはまずかったかしらねえ」
リアム達と別行動になったロイはテリアと一緒に町を歩いていた。
ギルドへ行くつもりだったというテリアはリアムのことを告げるも、例の記憶のことを再確認して渋い顔になった。
「まあ、人が多いとそうでもないですしね」
「なんだか難しいわね……それで、ギルドに行く用事だけど、ロイ君とリアムさんにに関して話に行こうかと思っていたの」
「俺達の……? あ、やっぱり先生が俺達を見る目が違ったのは……」
「うん。朝会で教員には話しておいたわ。もちろん記憶のことは言っていないけどね。ただ、ちょっと特殊に強い子がいることだけ」
ロイはそれを聞いて肩を竦めて首を振る。不満があるわけではない態度でテリアへと返す。
「俺達は別にそのつもりだったからいいけどな。絡まれてすむし、変に驚かれたりするよりは話が早い」
「そうね。クラスメイト達は、まあ、その内慣れるでしょうけど教員が知らないでいちいち驚かれたら授業にならないもの」
「だなあ」
ロイは周辺の町並みを見ながら頭で地図を作りつつ、テリアについていく。
これは勇者レオンの癖で、新しい場所に到着すると必ず脱出経路や路地がどこにあるのか、死角となりやすい場所などを見ていくのだ。
「……」
「ん? どうかしました?」
「いえ、なんでもないわ。そこの角を曲がったところがギルドよ」
ロイはテリアが自分を見ていることに気づき、視線を合わせる。しかし、テリアはフッと笑ったあと、ギルドへ案内した。
「おおー、村のよりでかいなやっぱ」
村よりも幾分大きな建物に感嘆の声を上げて見上げるロイ。そんな彼を横目にしながらギルドの扉を開けた。
中は喧騒としており、装備を整えた冒険者が各々、会話に興じていた。
「お、テリアさん。どうしたんだい?」
「相変わらずキレイね。冒険者に戻るの?」
「今の私は学院長……もう、あのころには戻れないのよ……」
「まあ60年も前の話だしな」
「50年よっ! ロイ君、こっちよ!」
「あ、ああ……」
テリアは顔見知りらしい冒険者達と適当な会話をした後、受付がある奥へと向かっていく。
「いる?」
「ええ。その子は?」
「生徒よ。ちょっと面白い、ね?」
「はあ……」
そのまま受付へ……と思ったが、その受付に『いつもの』みたいなノリで女性に声をかけると、さらに奥にある部屋の前へとやってきた。
「こんにちは、入っても大丈夫かしら?」
「んあ? テリアさんか? どうぞ」
ノックをして声をかけると、中からごつい声の男が返事をし、中へ入っていいと言う。二人が中へ入ると執務机からロイとテリアを見てくる男が居て、軽く頭を下げてきた。
「あ、こんにちは」
ロイも頭を下げると、男はにっこりと微笑みながら続けた。
「俺はギルドマスターのビョウボ。よろしくなロイ」
「ギルドマスター……!? なんでまた……」
「ま、色々あってね。ちょっと座るわね」
テリアはロイを伴いソファへ移動する。
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