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第二百二話 次の休みの計画をというもの
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「さあさあ、みんな食べてちょうだいね」
「「「「いただきまーす!」」」」
ということでアニーの料理を待ってから屋敷へと戻って来た。三人とも豪華な食事を前に色めき立つ。
「アニーの料理も出そうよ」
「うう……」
「どうしたんだい?」
僕がアニーに声をかけると、もじもじしながらそっぽを向いた。父さんも首をかしげて尋ねる。
「アニーが作ったやつはこんなに美味しくないの……」
「え、そんなことないよ!? 卵焼き美味しかったし、僕は食べたいけど」
「むー」
珍しく口を尖らせているアニー。どうも親父さんの料理と並べるなら良かったらしい。屋敷だと明らかに豪華なのが並ぶからねえ。しかも僕が帰っているからだし。
するとジュースを飲みながらフォルドが口を開いた。
「別にまずくてもウルカは怒ったりしねえって」
「そう。ウルカ君は優しい」
「そうだけどー! ……わかった」
拳を握ってステラに返すアニーは観念したようで、トートバッグらしきカバンからガラス容器を取り出した。タッパーとかないし。タッパー……売れるかな……?
「今日はこれなの」
「おや、これは……ポトフかな?」
「う、うん。ちょっとじゃがいもが崩れちゃったの」
「いい匂い」
「そうだね」
ステラの話に乗る。多分見た目があまり良くないことを気にしていたのかな?
しかし料理はまず味が良いことが望ましい。
「私が分けましょうね」
「お願い」
「おねがいしますー!」
そこへエマリーさんがサッと現れてポトフをアニーから受け取っていた。出したのならまた躊躇する前に一気に攻めるべきだ。
程なくして僕達四人にポトフのお皿が並べられ、一口食べてみる。
「どきどき」
「む! こ、これは……!」
「おお」
「うん」
「どうかな……!」
一言ずつ呟くとアニーが大きな声で確認をしてきた。なので僕が一番最初に答えるべきだと親指を立てて言う。
「美味しいよ!」
「……!」
その瞬間、アニーが満面の笑みになる。
実際、嘘ではなく、じゃがいもが崩れているけど味はとてもしっかりしたものだった。
「それはお母さんに手伝ってもらってないから良かったのー」
「マジか……!?」
「そうだよー! アニーは勉強をしているのだー!」
フォルドが二口、三口と食べながら驚愕の表情を浮かべる。そんなフォルドを見てアニーがようやくいつもの調子に戻った。
そこでステラもキャベツをもしゃもしゃ食べながら言う。
「これは本当に美味しい。私も料理を覚えるべきだと思っているけど、アニーに任せてもいいかもしれない」
「そう?」
「ステラは逃げようとしているだけだろ……」
「ふっ」
何故かニヤリと笑うステラ。
まあステラも両親と色々やっているようだし、それはフリだと思うけどね。
「んふふ、アニーちゃんは偉いわね。これはいいお嫁さんになるわあ」
「まずはギルバードとロイドだけど、確かに楽しみだな」
「えっへん!」
アニーがすっかり調子を戻したのでそのまま晩御飯を続ける。
「そういえばまた向こうに戻ったら次はいつ帰れるんだ?」
「んー、本来ならここに戻ってくるのは駄目だからしばらくは帰らないよ。ハリヤーがいよいよとなったら呼びに来ると思うけど」
「そう……」
ステラが残念そうに眉を顰めるけど、いま言った通り僕は罰で向こうに居る。
緊急時だとしてもバレたらちょっと怪しいからね。
「ステラ達が遊びに来る分には問題ないんだけど、かなりかかるからなあ」
「さすがに学校があるからそれはできねえよな」
「うん」
「ウルカ君のパッと行ってサッと帰るやつを覚えるのー」
「気持ちは嬉しいけど、あれは本当に難しいし、失敗すると命の危険があるから止めておいてよ」
やる気のアニーにそう返しておく。
転移魔法を誰でも……ん? モノに触れたら一緒に転移できるんだよね? もしかして――
「まあ、ハリヤーの時は必ず呼んでくれよ? あいつには屋敷から町に送ってもらったりして世話になったからな」
「そうね。でも、一度でいいから領地へ行ってみたい」
「うーん、学校が休みの日なら……いいのかな……?」
――僕が考え事をしているとフォルドにそんな提案を受ける。だけどまたこっちに来てみたいなことを何度もしているのは良くないと思うのだ。
そこで母さんがポンと手を打って口を開く。
「なら近くの町まで私が連れて行くのはどうかしら。そしてウルカちゃんがみんなを迎えに行くの」
「ああ、いいかもしれないね。ママなら三人を抱えて飛ぶくらいはできるし」
「おおー」
「そうだ、ウチのママに頼むのもいいかもしれない」
「まあ、リンダもありね。私は陛下との約束で領地まで行けないけど、リンダなら行けるし」
ほう、そういう手もあるか。
リンダさんは忙しいから難しいとは思うけど、来れるなら見てみたいものである。
「なら次の休みは三日後だから、その日にお願いしたいかな」
「いいわよ。ウルカちゃんも大丈夫?」
「僕は概ね暇しているしね。オオグレさんとかボルカノは喜ぶんじゃないかな? フォルテも紹介しないとね」
「フォルテふさふさなんだよー!」
「ふさふさ?」
「そう、ふさふさ!」
そこからアニーの動物達がいかに可愛かったかの話が始まる。するとますますステラとフォルドが領地に行きたいと笑っていた。
そんな今日の夜は三人が家に帰るまで話をするのだった。
「「「「いただきまーす!」」」」
ということでアニーの料理を待ってから屋敷へと戻って来た。三人とも豪華な食事を前に色めき立つ。
「アニーの料理も出そうよ」
「うう……」
「どうしたんだい?」
僕がアニーに声をかけると、もじもじしながらそっぽを向いた。父さんも首をかしげて尋ねる。
「アニーが作ったやつはこんなに美味しくないの……」
「え、そんなことないよ!? 卵焼き美味しかったし、僕は食べたいけど」
「むー」
珍しく口を尖らせているアニー。どうも親父さんの料理と並べるなら良かったらしい。屋敷だと明らかに豪華なのが並ぶからねえ。しかも僕が帰っているからだし。
するとジュースを飲みながらフォルドが口を開いた。
「別にまずくてもウルカは怒ったりしねえって」
「そう。ウルカ君は優しい」
「そうだけどー! ……わかった」
拳を握ってステラに返すアニーは観念したようで、トートバッグらしきカバンからガラス容器を取り出した。タッパーとかないし。タッパー……売れるかな……?
「今日はこれなの」
「おや、これは……ポトフかな?」
「う、うん。ちょっとじゃがいもが崩れちゃったの」
「いい匂い」
「そうだね」
ステラの話に乗る。多分見た目があまり良くないことを気にしていたのかな?
しかし料理はまず味が良いことが望ましい。
「私が分けましょうね」
「お願い」
「おねがいしますー!」
そこへエマリーさんがサッと現れてポトフをアニーから受け取っていた。出したのならまた躊躇する前に一気に攻めるべきだ。
程なくして僕達四人にポトフのお皿が並べられ、一口食べてみる。
「どきどき」
「む! こ、これは……!」
「おお」
「うん」
「どうかな……!」
一言ずつ呟くとアニーが大きな声で確認をしてきた。なので僕が一番最初に答えるべきだと親指を立てて言う。
「美味しいよ!」
「……!」
その瞬間、アニーが満面の笑みになる。
実際、嘘ではなく、じゃがいもが崩れているけど味はとてもしっかりしたものだった。
「それはお母さんに手伝ってもらってないから良かったのー」
「マジか……!?」
「そうだよー! アニーは勉強をしているのだー!」
フォルドが二口、三口と食べながら驚愕の表情を浮かべる。そんなフォルドを見てアニーがようやくいつもの調子に戻った。
そこでステラもキャベツをもしゃもしゃ食べながら言う。
「これは本当に美味しい。私も料理を覚えるべきだと思っているけど、アニーに任せてもいいかもしれない」
「そう?」
「ステラは逃げようとしているだけだろ……」
「ふっ」
何故かニヤリと笑うステラ。
まあステラも両親と色々やっているようだし、それはフリだと思うけどね。
「んふふ、アニーちゃんは偉いわね。これはいいお嫁さんになるわあ」
「まずはギルバードとロイドだけど、確かに楽しみだな」
「えっへん!」
アニーがすっかり調子を戻したのでそのまま晩御飯を続ける。
「そういえばまた向こうに戻ったら次はいつ帰れるんだ?」
「んー、本来ならここに戻ってくるのは駄目だからしばらくは帰らないよ。ハリヤーがいよいよとなったら呼びに来ると思うけど」
「そう……」
ステラが残念そうに眉を顰めるけど、いま言った通り僕は罰で向こうに居る。
緊急時だとしてもバレたらちょっと怪しいからね。
「ステラ達が遊びに来る分には問題ないんだけど、かなりかかるからなあ」
「さすがに学校があるからそれはできねえよな」
「うん」
「ウルカ君のパッと行ってサッと帰るやつを覚えるのー」
「気持ちは嬉しいけど、あれは本当に難しいし、失敗すると命の危険があるから止めておいてよ」
やる気のアニーにそう返しておく。
転移魔法を誰でも……ん? モノに触れたら一緒に転移できるんだよね? もしかして――
「まあ、ハリヤーの時は必ず呼んでくれよ? あいつには屋敷から町に送ってもらったりして世話になったからな」
「そうね。でも、一度でいいから領地へ行ってみたい」
「うーん、学校が休みの日なら……いいのかな……?」
――僕が考え事をしているとフォルドにそんな提案を受ける。だけどまたこっちに来てみたいなことを何度もしているのは良くないと思うのだ。
そこで母さんがポンと手を打って口を開く。
「なら近くの町まで私が連れて行くのはどうかしら。そしてウルカちゃんがみんなを迎えに行くの」
「ああ、いいかもしれないね。ママなら三人を抱えて飛ぶくらいはできるし」
「おおー」
「そうだ、ウチのママに頼むのもいいかもしれない」
「まあ、リンダもありね。私は陛下との約束で領地まで行けないけど、リンダなら行けるし」
ほう、そういう手もあるか。
リンダさんは忙しいから難しいとは思うけど、来れるなら見てみたいものである。
「なら次の休みは三日後だから、その日にお願いしたいかな」
「いいわよ。ウルカちゃんも大丈夫?」
「僕は概ね暇しているしね。オオグレさんとかボルカノは喜ぶんじゃないかな? フォルテも紹介しないとね」
「フォルテふさふさなんだよー!」
「ふさふさ?」
「そう、ふさふさ!」
そこからアニーの動物達がいかに可愛かったかの話が始まる。するとますますステラとフォルドが領地に行きたいと笑っていた。
そんな今日の夜は三人が家に帰るまで話をするのだった。
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