蛇と刺青 〜対価の交わりに堕ちていく〜

寺原しんまる

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マッサージ機能付きの椅子

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 火曜日にジェイが店を閉めて居住エリアに戻ってくると、ソファーの前にあるテーブルにノートパソコンを置いた鈴子が、カチカチと忙しそうに何かを打ち込んでいる。


 ソファーには座らずに床に座っているのだが、カーペットの無いフローリングの床は少し固そうで、快適ではなさそうだった。その様子を暫く眺めていたジェイが「そうしていると本当にOLに見えてくるな」と笑い出す。


「はあ? 失礼よ! これでも立派なOLです……」


 鈴子の側に来たジェイがヒョイっと鈴子を持ち上げて、床に胡座をかいた自分の上に座らせる。

「これで少しは座り心地も良いんじゃないか?」


 いきなりの事に慌てる鈴子だったが、床に直座りよりも心地よく、顔を赤らめながら「悪くない……」と呟き座り続ける。


「辞めることはできそうなのか?」


 鈴子の頭に顎を乗せたジェイが鈴子に尋ねた。鈴子は「私は顎置きじゃない!」と言いながらも、ジェイの顎を払いのけたりはしなかった。


「うん。何だかあっさりと……。余っ程邪魔者だったみたい。今週いっぱい働いて、来週はお盆休みで、その後は有給と病欠で月末まで消化。だから、会社へは今週いっぱい出社するだけよ」


 寂しそうな表情で語る鈴子だったが、ジェイは「お、じゃあずっと一緒に居れる」等と嬉しそうだった。
 
 
「あれ? 鈴子、そういえばパソコンなんて持ってたっけ?」

「これは会社のパソコン。辞める事になったから、引き継ぎマニュアルを今週中に作らないといけないの。だから許可を貰って会社から持って帰ってきたのよ」


「へ~」と生返事のジェイがゴクリと缶ビールを飲む。右手に缶ビールを持って飲んでいるが、空いている左手が鈴子の胸を触り出す。下から包み込むように動くジェイの手をジッと見つめる鈴子。


「ねえ、この手は何?」

「この椅子にはマッサージ機能が付いております」


 右手の缶ビールをテーブルの上に載せたジェイが、両方の手を使って鈴子の胸を揉みしだく。鈴子の大きな胸が形を変えて薄手のオーバーサイズシャツの下で動いている。


「んっ……、こ、こんな、機能いらない……。やめ……」


 鈴子の項に噛みついたジェイは、フフフと笑いながら鈴子に問いかける。


「いらないって言いながら、腰が浮いてきてるぞ。本当にいらないのか?」


 ジェイの手がゆっくりと鈴子が着ているジャージ素材のハーフパンツの中に入っていく。中をもぞもぞしながら、ゆっくりと出てきたジェイの指先はしっとりと濡れていた。


「おいおい……。もう濡らしたのか?」


 濡れた指をわざと鈴子に見せたジェイは、その指をいやらしく舐め出す。その様子を間近で見た鈴子は、自身の身体がドクドクと音を立てているのに気が付いた。


「鈴子の番だ。舐めて」


 ジェイの濡れた指が鈴子の口の中に優しく押し込まれ、鈴子はモゴモゴしながらもチュプチュプと音を立てて舐め出す。


 十分に濡れそぼった指を鈴子の口から抜き出したジェイは、その指で鈴子の身体をツーッとゆっくりと撫ぜながら、もう一度ショーツの中に潜り込ませた。


「あぁ……、入って行くの……」


 既に濡れている鈴子の蜜壺はすんなりとジェイの指を受け入れてしまう。簡単に根元まで入った二本の指を、ジェイはグチョグチョと音を立てながら抜き差ししだした。


 すっかりとパソコンの存在を忘れてしまった鈴子は、ジェイにもたれ掛かり脚をはしたなく開いて快楽を貪っている。ジェイの指の動きに合わして腰を振る姿は、ジェイの下半身をグッと熱くするのだ。直ぐさま押し倒して自身の剛直を鈴子に突き刺したい衝動に駆られたジェイだったが、グッと力を入れて堪えるのだ。「まだだ……」と。


「いぁくぅーーーー! いくぅーーーー!」


 鈴子の両足がピーンと伸びて絶頂が訪れた事をジェイに知らす。絶頂の最中も指での刺激を止めることなく続けるジェイ。これでもかと更に中を刺激し、グラインドを加えていく。


「やぁ……、イってるの! だめぇーーーー!」


 鈴子の嬌声が響きビチャーと派手に潮が噴き出る。


「もう……、おふ……ろ、はいった……のに」


 肩で息をしている鈴子が涙目でジェイに訴える。するとジェイは笑顔で答えるのだ。


「ん? そうだな、一緒に入るか」


 軽々と鈴子を持ち上げたジェイはそのままバスルームへと向かい、中で存分に鈴子を弄り、「舐める治療」も施したのだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 


「鈴子ちゃん、お疲れなのかい? 仕事との両立で無理をさせているのかな?」


 今日は午後6時半からカフェの勤務を始めた鈴子は、何度かオーダーを聞き間違えていた。しかも平日の水曜日だというのに今日は少し混んでいたのだ。バイトの女子大生が今日は出勤していたので、フォローをしてもらいつつ何とか閉店まで持ちこたえた鈴子だったが、明らかに疲れた様子の鈴子を徹也は心配そうに見つめる。


「すいません。少し寝不足だったんです……。以後気をつけますので」


 鈴子が頭を下げて謝るのを、「気にしないで」と慰める徹也だったが、鈴子のボブの髪からチラチラ見え隠れする首元のキスマークに目が行く。


 ギー カランカラン


 CLOSEDの看板が掛けられているドアが開き、バイトの女子大生が「あ、閉店して……。外人さん?」と声を上げた。


「鈴子、帰るぞ!」


 背の高い目立つ容姿で外国人風、半袖のTシャツから伸びる刺青だらけの腕が目を引く男が鈴子を呼ぶのだ。店内に残っていた田中に徹也、バイトの女子大生も目をまん丸にして驚いている。


「え、ジェイ……。なんで、ここに居るのよ」

「夜道は危ないから迎えに来たんだ」

「頼んでない……」


 恥ずかしそうにむくれる鈴子の側に近づき、頭をポンポンと叩くジェイが「行くぞ」と鈴子の腕を引っ張る。


「ちょ、待ってよ! まだ片付けが終わってないから」

「あ、だ、大丈夫。鈴子ちゃん今日はもう上がりでいいよ」


 笑顔の引きつった徹也が鈴子に告げる。それを横目にジッと見つめるジェイが「だってさ。帰るぞ!」と鈴子に告げる。鈴子は「もう!」とジェイの背中をドンドンと叩き、「すいません、お先に失礼します……」と徹也達に告げて店を出て行った。


 二人が出て行った後は暫く店内に沈黙が続く。黙って何も言わない3人だったが、バイトの大学生が口火を切った。


「鈴子さんって、真面目そうっていうか、興味ないって顔しとるのに、えらい相手と付き合ってるんやね……。びっくりしたわ」

「……ああ、何ていうか、アレは住む世界のちがう人種というか……。ちぐはぐな感じだな」


 バイトの女子大生に田中が同意した。それを黙って聞いていた徹也が「……俺たちがとやかく言うことじゃないよ」と二人を諫める。しかし徹也の表情は暗く、鈴子とジェイが出て行ったドアをジッと見つめているのだった。




「ねえ、どうして今日は迎えに来たのよ……」

「今日は店を早く閉めたんだ。月曜日の帰りが遅かったし、心配になったから」


 鈴子はジェイに念のためにとカフェの名前と住所は告げていたが、迎えに来て貰うつもりなどなかったのだ。それに目立つジェイが現れれば、事情の知らない知り合って日の浅い徹也達が、ジェイを変に思うのじゃないかとの懸念もあったのだった。


「ジェイ、心配してくれて嬉しいけど、そんなに遠くもないし、道は明るいから大丈夫よ」


 鈴子をジッと見つめるジェイは何も言わない。ただ、黙って鈴子の手を握り、無言で家路につくのだった。
 
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