蛇と刺青 〜対価の交わりに堕ちていく〜

寺原しんまる

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独占欲

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「ジェイ、どうして? まだ食べてる途中だったし……」


 早足のジェイに引きずられるように歩く鈴子は、ジェイに向かって抗議する。しかしジェイは全く取り合わないで無言のまま歩き続ける。痺れを切らした鈴子は「やぁ!」とジェイの手を振りほどき、ジェイから数歩離れたのだった。


「お前なあ。今、どんな顔をしているのか分かっているのか? そんな顔を他の奴らに見せるなよ」


 鈴子は通りのショーウインドーに映る自分の姿を見てみる。そこに映るのは火照った顔で物欲しそうにしている自分の姿だった。知らない者が見れば鈴子が男を物色しているのかと勘違いしそうな程に、ムワッと色気を漂わしていたのだ。


「え……、やぁだ。何この顔……。こんなの私じゃない」


 フェロモンとは一番遠い場所にいた筈の鈴子は、ジェイの手腕ですっかりと色気を漂わす女へと変化を遂げていたのだ。


「まさか鈴子が人前でこんな顔をするようになるとは……。気をつけないと」


 ボソリと呟くジェイは、再度鈴子の腕を掴み早足で帰路につく。


(こんな鈴子は誰にも見せたくない。俺だけの鈴子だ!)


 ジェイの店のあるビルに到着し、薄暗い階段を急いで上がり、ジェイは店のドアの鍵を開ける。中に鈴子を引きずり込みガチャリと入り口の鍵を閉めた。


「鈴子、その顔は俺にしか見せるなよ。そんな顔を他の男に見せて見ろ、襲われてしまうからな……」


 その時に鈴子は徹也の事を思い出す。数日前、様子がおかしかった徹也に事務所に連れ込まれたのだ。あの時と今の自分は似たような身体の様子だった。


「あ、あの時も……?」


 鈴子の呟きに鋭く反応したジェイは、鈴子の両肩を掴み「誰だ、相手は!」と声を荒らげる。その声に驚いた鈴子は思わず「徹也さん」と漏らしてしまうのだ。


「アイツに何かされたのか?」

「な、何もされてない……。ただ、キスマークがって事務所で首元を触られて……」

「何だと!」


 表情がみるみる変わるジェイは、鈴子が今まで見たこともないような恐ろしい顔で、顔を歪ませギリギリと歯ぎしりをしていた。握られた拳からもメキメキと音が聞こえそうな程で、間近で見た鈴子は恐怖からブルブルと震え出す。


「……どうして直ぐに俺に言わなかった」

「そ、そんな事、べ、別に言うほど、の……ことじゃ……ない」


 恐怖でシドロモドロの鈴子は、ハッキリと思いを口にすることが出来ずに、余計にジェイを苛立たせていた。


やましいことがあるから言えなかったのか? ……アイツの方がいいのか?」


 ジェイの問いかけにも答えられない鈴子は、ブルブルと震えるしかなかったのだ。


 その様子を見たジェイの表情は氷の様に冷たくなり、碧眼の瞳の色はシルバーブルーへと変化する。


「十分教え込んだつもりだった。けど鈴子はまだ分かっていなかったのか……。なあ、お前は誰の物か、もっと身体に教え込まないとダメなようだな……」


 ジェイは鈴子の着ているシンプルなTシャツに手を掛け、ビリッと左右に乱暴に引き裂く。下着に収まりきらない豊満な胸が、衝撃のせいかブルンとはみ出た。


 そのはみ出た鈴子の胸を鷲掴みにしたジェイは、激しく形が変わる程に揉み出す。下着の意味を持たなくなったブラジャーは、ジェイに無残に投げ捨てられたのだった。


 プックリと直立する小さな二つの突起を口に同時に咥え込んだジェイは、器用に両方の突起を舌を使って刺激する。それだけでは足りないと、同時に吸い付きチュウチュウと大きな音を立て出すのだ。


「あぁ……、やぁ……ジェイ。止めて、怖い……」


 優しげな筈のジェイ。しかし目の前の男は優しさの欠片も感じない。怯える鈴子は、ジェイを突き飛ばそうとした。しかしジェイがグイッと鈴子の両腕を真上に引っ張り上げる。


「抵抗しようなんて思うなよ。もう、こうするしか方法がないんだからな……」


 ジェイは震える鈴子を軽々と担ぎ上げて居住エリアへと移動するのだった。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 鈴子をベッドの上に載せたジェイは、鈴子の穿いているジーンズを一気に脱がす。既に上半身は何も着ていない状態だったので、ショーツ一枚の姿になった鈴子は涙目でジェイを見つめる。


 ジェイは自身の着ているTシャツを脱ぎ捨てて上半身裸になった。鈴子の目前に現れた締まった筋肉美は、鈴子のお気に入りであり、いつもは抱きしめられて安堵する物だったのだ。


 習慣とは怖いもので、先ほどまで怯えて震えていた鈴子だったが、ジェイの身体に抱きついてしまう。抱きついてジェイの身体の匂いを嗅ぎ、ホーッと安心した顔をした鈴子の口から「ジェイ……」と漏れる。


 先ほどまでドロドロとした物を体内に所狭しと持っていたジェイだが、鈴子が自分に抱きつく様子を見て、シルバーブルーの目の色がいつもの青に変っていく。ジェイはゆっくりと我に返っていくのだった。


「ああ……鈴子。お前を独り占めしたいんだ。誰にも触らせたくない。出来るなら閉じ込めてしまいたい。誰かに奪われるなんて考えただけでも殺意が湧く……」


 鈴子を抱きしめ返すジェイは少し震えているようだ。それに気が付いた鈴子はジェイの頭を撫でながら「大丈夫だから」と告げるのだった。


 独占欲むき出しのジェイを鈴子は否定はしない。恋愛経験が豊富ではない鈴子にとって、比べるものが乏しくて否定が出来ないのだ。「こういう形もあるのかな」と寧ろ肯定してしまう。


「ジェイは私が他の人とデートしたり付き合ったら嫌なの?」

「はあ? 当たり前だろ! 鈴子は俺のだからな……」


 子供みたいだとクスクス笑う鈴子は更に問いかける。


「じゃあ、ジェイは私にそう言いながら、自分は他の人とデートしたりエッチしたりするの?」


 ピクリと震えたジェイが口を開く。


「鈴子と会ってから他の女とはヤッてない。デートなんて何年もしていない」

「これからは?」

「しない……」


 その言葉を聞いてニコッと笑う鈴子。きっとこれが今はジェイにとっての精一杯なのだろうと理解した鈴子は、もう一度ジェイをギュッと抱きしめる。


「分かった。今はこれでいいよ……。お互いにこれから学んでいこうよ、ね?」


 優しい笑顔を向ける鈴子に顔を近づけて、チュッと優しく鈴子の唇を奪うジェイは、ニヤっと妖しく微笑む。


「なあ、これで終わりにするなよ。身体に誰の物か教え込むって言っただろ?」

「え?」


 驚く鈴子をベッドに押し倒して一気にショーツを剥ぎ取ったジェイ。鈴子は「やぁ……!」と脚をバタバタとさせるが、ジェイによって両足は固定されて左右に大きく開かされる。


 大きく開かれた秘部にジェイの太い舌が触れるのと同時に、鈴子の身体がビクンと震える。物欲しそうに少しだけ口を開けた淫花は、ジェイの舌を簡単に招き入れたのだった。


 ジュブジュブ   クチュクチュ


 卑猥な音と共に鈴子の蜜壺を出入りする太いジェイの舌使いに、鈴子は言葉にならない嬌声を上げ出す。


 蜜壺の上でプックリと膨らむ赤い小さな真珠を、チロチロとピアス付きの舌で刺激していたジェイが、クククと笑って歯を立てるのだった。


「あぅーーーー! ひぎぃーーーー!」


 余りの衝撃に頭が真っ白になった鈴子は、ゼエゼエと肩で息をする。ジェイによって固定されていた両足が急に自由になり、鈴子は虚ろな視線でジェイを見つめる。するとジェイは穿いていたジーンズを脱ぎ去り、ボクサーパンツも簡単に脱ぎ捨てるのだ。


 ゴリゴリに臍まで立ち上がったジェイの男根は、時折ピクピクと震えている。何度見ても気絶しそうな程に大きいソレを、自信満々な顔で撫でているジェイは鈴子を見ながらゆっくりと口を開く。


「身体に教え込む……。中にも外にも出す。鈴子を俺に全て染めるからな……」


 ニッと妖しく笑うジェイを見つめる鈴子は、少しずつ近づいて来るジェイに何かを期待してゴクリと喉を鳴らす。そう、あの強大な杭で刺される瞬間を、内心手招きして待っているのだった。
 
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