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2章 私と萌恵ちゃんは恋仲である
14話 悪夢の後
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――真菜なんて大嫌い。あたしの前から消えて――
「っ!」
最悪の気分で目を覚まし、飛び跳ねるように上体を起こす。
気温はそれほど高くないのに、パジャマは汗でびしょびしょだった。
隣ですやすやと眠る萌恵ちゃんの寝顔を見て、幸せな気持ちになると共に心の底から安堵する。
私はついさっきまで、悪夢の中にいた。
萌恵ちゃんに嫌われ、延々と私の嫌なところを述懐され、フラれた挙句にいつの間にか荷造りを終えて家を去られ、学校に行っても無視される。
あまりにも衝撃的な内容だったせいか、映像として脳裏にこびりついている。
目を閉じると萌恵ちゃんの嫌悪感に満ちた表情が浮かんでしまい、気軽に瞬きもできない。
耳を塞いでも、萌恵ちゃんの声で紡がれた「嫌い」という言葉が痛いほど頭に響く。
忘れたい夢に限って、なかなか頭から消えてくれない。
パジャマに染み込んだ汗が冷たい。このままだと風邪を引いてしまう。
汗を流し少しでも気分を晴らすため、私はシャワーを浴びることにした。
***
汗を流しても、気分はスッキリしない。
一抹の不安を抱きながら布団に戻り、さっきと変わらず就寝中の萌恵ちゃんを見て胸を撫で下ろす。
よかった。夢だと分かっていても、シャワーから戻ったら私の前からいなくなっているんじゃないかと怖くてたまらなかった。
布団に潜り、身を寄せる。
「まなぁ、おはよ~」
どうやら起こしてしまったらしい。
「萌恵ちゃんっ」
考えるよりも先に、体が動いていた。
「んむぅっ!?」
寝起きで困惑する萌恵ちゃんを強く抱きしめ、唇を奪う。
朝のあいさつにしてはいささか激しいキスは、逆に私の心を落ち着かせてくれた。
「ごめんね、萌恵ちゃん。急にこんな……ビックリしたよね」
ムードもなにもない不意打ちの口付けについて、素直に謝罪する。
「確かにビックリしたけど、それ以上に嬉しかったよ~。でも、なにかあったの?」
「実は――」
隠すことでもないので、私は説明のため口を開いた。
悪夢を見たこと。
シャワーを浴びている最中に堪え切れず泣いてしまったこと。
悲しみを上書きするようにキスをしたこと。
途中で声を詰まらせながらも、ゆっくりと、すべて伝える。
萌恵ちゃんは冷やかしたりバカにしたりせず、真剣に聞いてくれた。
「そっか……大丈夫だよ、真菜。現実のあたしは絶対に真菜のそばから離れないし、どんなことがあっても嫌いになんてならないから」
「も、萌恵ちゃん……」
「真菜、大好き。世界で一番好き。優しいところが好き。一緒にいるだけで幸せで、なにをしても楽しいから好き。温かな笑顔が好き。ちょっと変わった性癖も好き。サラサラの銀髪も、愛らしい顔も、華奢な体も、甘い匂いも、かわいらしい声も、全部好き。嫌いなところなんて一つもない。もしまた怖い夢を見ても、それを忘れるまでギュッてしてあげる」
萌恵ちゃんは私を抱きしめ、言い聞かせるように優しく囁いてくれた。
「……うん……うんっ。ありがとう。私も、萌恵ちゃんのこと大好きっ」
吐息を鼻に感じる距離で発された言葉の一つ一つが、耳から全身に伝わり、心の奥にまで浸透していく。
気付けばもう、悪夢の残滓は跡形もなく消えていた。
「っ!」
最悪の気分で目を覚まし、飛び跳ねるように上体を起こす。
気温はそれほど高くないのに、パジャマは汗でびしょびしょだった。
隣ですやすやと眠る萌恵ちゃんの寝顔を見て、幸せな気持ちになると共に心の底から安堵する。
私はついさっきまで、悪夢の中にいた。
萌恵ちゃんに嫌われ、延々と私の嫌なところを述懐され、フラれた挙句にいつの間にか荷造りを終えて家を去られ、学校に行っても無視される。
あまりにも衝撃的な内容だったせいか、映像として脳裏にこびりついている。
目を閉じると萌恵ちゃんの嫌悪感に満ちた表情が浮かんでしまい、気軽に瞬きもできない。
耳を塞いでも、萌恵ちゃんの声で紡がれた「嫌い」という言葉が痛いほど頭に響く。
忘れたい夢に限って、なかなか頭から消えてくれない。
パジャマに染み込んだ汗が冷たい。このままだと風邪を引いてしまう。
汗を流し少しでも気分を晴らすため、私はシャワーを浴びることにした。
***
汗を流しても、気分はスッキリしない。
一抹の不安を抱きながら布団に戻り、さっきと変わらず就寝中の萌恵ちゃんを見て胸を撫で下ろす。
よかった。夢だと分かっていても、シャワーから戻ったら私の前からいなくなっているんじゃないかと怖くてたまらなかった。
布団に潜り、身を寄せる。
「まなぁ、おはよ~」
どうやら起こしてしまったらしい。
「萌恵ちゃんっ」
考えるよりも先に、体が動いていた。
「んむぅっ!?」
寝起きで困惑する萌恵ちゃんを強く抱きしめ、唇を奪う。
朝のあいさつにしてはいささか激しいキスは、逆に私の心を落ち着かせてくれた。
「ごめんね、萌恵ちゃん。急にこんな……ビックリしたよね」
ムードもなにもない不意打ちの口付けについて、素直に謝罪する。
「確かにビックリしたけど、それ以上に嬉しかったよ~。でも、なにかあったの?」
「実は――」
隠すことでもないので、私は説明のため口を開いた。
悪夢を見たこと。
シャワーを浴びている最中に堪え切れず泣いてしまったこと。
悲しみを上書きするようにキスをしたこと。
途中で声を詰まらせながらも、ゆっくりと、すべて伝える。
萌恵ちゃんは冷やかしたりバカにしたりせず、真剣に聞いてくれた。
「そっか……大丈夫だよ、真菜。現実のあたしは絶対に真菜のそばから離れないし、どんなことがあっても嫌いになんてならないから」
「も、萌恵ちゃん……」
「真菜、大好き。世界で一番好き。優しいところが好き。一緒にいるだけで幸せで、なにをしても楽しいから好き。温かな笑顔が好き。ちょっと変わった性癖も好き。サラサラの銀髪も、愛らしい顔も、華奢な体も、甘い匂いも、かわいらしい声も、全部好き。嫌いなところなんて一つもない。もしまた怖い夢を見ても、それを忘れるまでギュッてしてあげる」
萌恵ちゃんは私を抱きしめ、言い聞かせるように優しく囁いてくれた。
「……うん……うんっ。ありがとう。私も、萌恵ちゃんのこと大好きっ」
吐息を鼻に感じる距離で発された言葉の一つ一つが、耳から全身に伝わり、心の奥にまで浸透していく。
気付けばもう、悪夢の残滓は跡形もなく消えていた。
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