私がガチなのは内緒である

ありきた

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3章 一線を越えても止まらない

2話 節約家というわけではない

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 私と萌恵ちゃんへの仕送りは、同じ口座に振り込まれている。
 一緒に暮らすと決めた時点で新しく開設してもらい、名義は一応、私こと桜野真菜。
 仕送りしてもらっているだけでありがたいので文句はなにひとつないけど、事実上の話として金額は決して多くない。
 節約は意識しているだけで徹底しているわけではなく、放課後にコンビニでアイスを買ったりショッピングモールでタピオカドリンクを飲んだりもしている。
 にもかかわらず、残高に余裕がある。

「ふぃ~、やっぱりお風呂は落ち着く~」

 お風呂にて、萌恵ちゃんが気の抜けた声を漏らした。

「ホッとするよね」

 萌恵ちゃんの意見に同意しつつ、お湯を肩にかける。
 純粋に入浴を楽しみながらも、私の視線は萌恵ちゃんの胸に釘付けだ。
 ぷかぷかとお湯に浮かぶ乳房は、波を立てればそれに合わせてわずかに揺れる。
 ほのかに紅潮した肌が色っぽい。
 ひときわ鮮やかなピンク色の蕾が、まるで私を誘うかのように自己主張している。
 思わずゴクリとのどが鳴り、気を逸らすように視線を胸から外す。
 すると、うっとりした様子の萌恵ちゃんと目が合った。

「真菜って、ほんとにきれいだよね……」

 珍しく私の体を凝視しながら、しみじみとつぶやく。
 気恥ずかしいけど、好きな人に褒められるのは純粋に嬉しい。

「あ、ありがとう。萌恵ちゃんこそ、すごくきれいだよ。世界一きれいだと思う」

「んふふっ、ありがと! だけど、あたしにとっての世界一は真菜だからね。異論は認めない!」

「そんなに褒めてもなにも出ないからね」

 なんて言いつつ、お湯の中で萌恵ちゃんの方へ手を伸ばす。
 閉じられた太ももの隙間に捻じ込んで、敏感な場所に指先を当てる。

「あんっ……ま、真菜、さすがにお風呂では……」

「やめた方がいい?」

「うぅ、真菜のイジワル……続けてほしいに、決まってるじゃん」

 眦にうっすらと涙を浮かべ、照れたような、責めるような、いろいろな感情が混ざった視線を向けられた。
 以前の私なら有り得ない、大胆すぎる行為。
 受け身な自分を変えたいと思っていたけど、少しは成長できたんじゃないかな。

***

 いつもより長めの入浴を終え、私たちはいろんな意味でスッキリしていた。
 火照った体を冷ますようにパジャマの胸元をパタパタと扇ぎ、萌恵ちゃんが用意してくれた牛乳を飲み干す。
 テーブルを前にして二人で座り、お風呂上りのまったりとしたひとときを楽しむ。
 どこかへ遊びに行ったりしなくても一緒にいるだけで満足できることが、節約できている最たる要因なのかもしれない。
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