私がガチなのは内緒である

ありきた

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4章 高校最初の夏休み

13話 筋肉痛から始まる素敵な体験②

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 萌恵ちゃんの方から誘ってくれることは、いままでもなかったわけじゃない。
 割合で言えば年中発情期の私から声をかけることの方が圧倒的に多いけど、萌恵ちゃんだって私のことを求めてくれている。
 突然のことで心の準備ができておらず、ドキドキしながら床に横たわる。
 汗臭くないかな? 筋肉痛で体が思うように動かないけど、萌恵ちゃんに満足してもらえるかな?
 若干の不安と緊張を抱きつつも、えっちへの期待はどんどん強まっていく。
 そんな私の心境を悟ったかのように、萌恵ちゃんが私のそばで跪いた。

「真菜の筋肉痛が少しでも和らぐように、マッサージしてあげる~!」

「ほぇ?」

 想定外の申し出に、素っ頓狂な声が出た。

「え、えっちのお誘いじゃなかったの……?」

 勢い余って、心の声がそのまま漏れる。

「ちっ、違うよ! そう言われるとその気になっちゃうけど、いまは体を休ませることに専念しないと! ほらほら、うつ伏せになって!」

 萌恵ちゃんは顔を真っ赤にしてまくし立てた。
 少し残念ではあるけれど、『そう言われるとその気になる』という発言を聞けたので、本番は次の機会を待つとしよう。
 ただ予想と違ったというだけで、マッサージも素直に嬉しい。
 萌恵ちゃんの照れた顔をしっかり目に焼き付けてから、クッションを手繰り寄せてうつ伏せになる。

「お客さん、痛かったら言ってくださいね~」

「はーい」

 なんてやり取りを交わしつつ、萌恵ちゃんが私の右足に手を添える。
 足裏を親指でグッ、グッ、と力強く押してくれて、痛気持ちよさが癖になりそう。

「あっ❤ んっ❤ ぁはっ❤ くぅっ❤ あんっ❤」

 指圧のタイミングに合わせて、自分の口から出ているとは思えない卑猥な喘ぎが部屋に響く。
 故意ではない。むしろ声を抑えているつもりだ。
 まだマッサージは始まったばかりだというのに、昇天しそうなほど気持ちいい。

「ま、真菜、声がえっちすぎるよ~」

「ご、ごめんっ、あぁんっ❤ き、気持ちよく、てっ、んはぁっ❤」

 迂闊にしゃべると危険だと判断し、慌てて口を閉じる。
 喘ぎ声を最小限に抑え、力を抜いて萌恵ちゃんに身を委ねる。
 足裏から肩にかけて、実に二時間近くもマッサージしてもらった。

「ありがとう、すごく楽になったよっ」

 体を起こして萌恵ちゃんの前に座る。
 痛みが完全に消えたわけではないけど、さっきまでと比べて明らかに体が軽い。

「んふふっ、それはよかった。ご褒美にキスしてもらおっかな~」

「キスだけでいいの?」

 私が意地悪な質問をぶつけると、萌恵ちゃんの頬が再び熱を帯びる。
 この日の夜、私たちは翌朝まで愛し合った。
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