28 / 47
帰宅
しおりを挟む
「朱鷺さーん!」
大きな木の下に立っていた見慣れた銀髪を見つけた私は、思わず声を上げ手を振った。
「これナノハ、そんなに大声出さなくても聞こえるよ。
まだそこまで年寄りじゃないんだからね」
椅子車が木の下に到着すると、何故か黒須さんが拗ねたように文句を言う常磐様に持ち手を渡した。
「……ちょ、何やってるんですか!」
私を乗せた椅子車を引いて、和宝国の方へ向かって歩き出した常磐様を止めた。
「何って……妻を長屋に連れ帰る夫なのだけど」
「……国王ですよ? 常磐様にそんなことさせられませんよ。ちょっと黒須さんっ!」
和宝国へ向かう人が殆ど居なかったので、つい本名で呼んでしまった。慌てて声を押さえる。
椅子車と並ぶようにのんびり歩いている黒須さんに助けを求めると、
「……まあご自身でやると仰ってるのだから良いんじゃないか? 往きは私が運んだんだし」
大体、今日は本当なら山積みの決裁書類を半分は片づけられる予定だったんだ、と私に愚痴をこぼして来た。
「すみません、とんだご迷惑を……」
「いや。ナノハのせいじゃないからな。
……常磐様、そんなにトロトロしてたら夕方までに戻れませんよ」
「分かってるよ。ほら、だけど坂道なんだからさ、ねぇ……」
常磐様、既に若干息が上がってるんですが。
何百年と寝るのを趣味にしていると、ここ1ヶ月や2ヶ月のスポーツライフ程度では基礎体力が上がる筈もない。恐らく元気な時の私の方が体力は上だろう。
「あの大分痛みは引いてますから、歩きましょうか?」
申し訳なくなってそう提案すると、
「駄目だよ! ナノハは妖しの血も入ってないんだから、傷が悪化して寝たきりになってしまうよ」
と却下された。
足首の捻挫位で死んでたまるか。
人間のしぶとさを舐めたらいかんぞ。
でも、坂道なのもあるけれど確かにペースはゆっくりで、2時間弱の道のりが倍近くはかかりそうである。
黙って私たちの会話を聞いていた黒須さんが、ふう、と溜め息をついて、
「常磐様、詰めればナノハの隣に乗れるでしょう。
時間が勿体ないので私が引きます」
しっし、という手つきで常磐様を私の隣に座らせると、かなりの速さで椅子車を引き出した。
このスペックの高さは、きっと常磐様が国王になってから培われたんだろうなあ。
涙なしには語れない苦労が山ほどありそうだ。
「ごめんよ黒須。これから頑張って体力つけるからね。本当だから。嘘じゃないよ」
済まなそうに謝る常磐様を見ながら、妖力の高さと体力って関係ないのね、と改めて勉強になった。
「はいはいお願いします」
息を切らすこともないまま棒読みで応えた黒須さんが思い出したように、
「……そう言えばナノハ。さっきナミさんが言ってた【先日の件】ってのは一体何の話だ?」
と尋ねた。
「ああ、私の国には別の球技なんかもあるのかと聞かれて野球の話をしたら、何だか商売になりそうだとチカさんが乗り気でして」
私は野球について説明した。
「ほう……それは色々と道具が要るんだな」
「そうなんです。だから、和宝国ですぐやるのは難しいだろうとドッジボールとゴルフにしたんですけどね。
野球は大勢で見て楽しめたり、味方のチームを応援したりと違った楽しみもあるんですよ。
コツを掴むまで練習が必要だと思いますけど」
「……和宝国でもやきゅう場を作るよ。
洋華国だけにやらせる訳には行かない」
じっと聞いていた常磐様が急にそう宣言すると、
「ナノハ、私もやきゅうをやるからね。早く上手くなれるコツを教えておくれよ」
と真剣な顔で私の方を見た。
「……まずは、体力をつけてからですかね。
あれかなり体力必要なので」
私も真顔で返すと、黒須さんが堪えきれずに吹き出した。
「──その気になれば、私はやる男だよ。ごるふもどっちぼーるもやきゅうも、私はテッペンを取るよ。
決めたからね、ナノハ」
「……では、仕事もその気になって頂けますかね」
黒須さんが訴えた。
「黒須、しっかりおしよ。仕事は運動じゃないだろう? 今私に必要なのは体力なんだよ体力。
それには運動をしないといけないじゃあないか」
「仕事の合間にすればよろしいんじゃないですか?」
「割合が違うだろう? 運動の合間に仕事だよ。
仕事はちゃんとやるよ。
……でもね、今日みたいに女性1人乗せた椅子車もまともに運べないような国王に、下の者は付いて来たいだろうか? 私はそうは思わないよ。
運動をすることは、この先の治世をするに相応しい強い王である為に必要だとは思わないかい?」
このおじいちゃんは自分の行動を正当化する為に、無駄に妖力とカリスマ性を発揮しているんじゃなかろうか。
すっごく目力溢れてキラッキラしてるんですけど。
「そうですね……私が浅慮でした。
申し訳ございません」
そして、ハイスペックの黒須さんが必ず丸め込まれている。ねえ黒須さん、今さっき息切れしてたおじいちゃん見たでしょ?
どうしてまた尊敬の眼差ししちゃってるの。
騙されてるんだよおじいちゃんに。
「黒須なら分かってくれると思っていたよ。
じゃあ、やきゅうの道具とやきゅう場の建設はなるべく早く頼むね」
「かしこまりました」
……常磐様が国王になったのは、この特化した人たらしの才能なんじゃないだろうか。
和宝国は、絶対に黒須さんが回している気がする。
家に戻る直前にまた常磐様が入れ替わり、黒須さんは仕事が残っているから、と王宮へ戻っていった。
「あらまあナノハ先生! 足は大丈夫なんですか?」
椅子車で戻ると、井戸で水を汲んでいた美弥さんが桶を放り出して走ってきた。
「すみません、稽古も出来ずに。あと数日は見るだけになると思いますが、よろしくお願いします」
「そんなことは良いんですよう。
でも、東の国は妖しの血が薄いんですかねえ? 私らなら次の日にはすぐ治りますのに」
「そうみたいですねえ。だから自衛の意味で合気道とかが広まったのかも知れません」
まあ妖しの血は一滴も入ってないもので。
私が異界の民である事は、王宮の一部の人間しか知らない。これからは怪我をするのも気をつけないと。
「それじゃ、家で休ませたいので。すみませんねえ」
常磐様が椅子車を家の横に立てかけて、私をひょいと抱き上げた。
「あらごめんなさいね朱鷺さん。それじゃ先生、また稽古の時に。お大事に」
「はい、ありがとうございます」
家に入って草履を脱がし、包帯が濡れないように足を洗ってくれた常磐様が、私を布団に運んだ。
「とりあえずお手洗いとかね、必要な時以外はなるべく足を使わない事だよ。
明日から治るまでは椅子車で移動するから」
「……え? 誰が引くんですか?」
「私に決まっているだろう? 山道とかでなければ平気だよ。どうせ道場か王宮しか行かないだろう暫くは」
「……申し訳ありません。朱鷺さんにそんなことをお願いする事になるとは……」
国王をアッシーに使う女。
自分がとても酷い女に思えて落ち込む。
「……何を気にしてるんだいナノハ?」
「いや、いくら夫婦として暮らしているからといっても、国王に椅子車を引いて頂くのはどうにも……」
「……既に国王のお手製の食事をパクパク食べているじゃあないか。今さらじゃないかい?」
「……ああ、そうですね。言われてみれば」
「私も楽しく長屋生活を送っているんだし、気にする必要はないよ。あ、キノコも山菜もちゃんと残してあるからね。今夜はキノコの炊き込みご飯と山菜のお浸しにしようかね。魚は煮付けと焼いたのとどちらがいい?」
「……焼いたのが食べたいです」
「じゃ、ちょっと買い物に行ってくるから大人しくしておいでよ? みそ汁は豆腐でいいかい?」
籠を持つと、常磐様は急ぎ足で町へ買い物に行ってしまった。
早く足を治さねば、国王を顎で使っているとまた黒須さんにこめかみをグリグリされてしまう。
私はふう、と息をついた。
相変わらずの手際のよさで大変美味な夕食を頂き、銭湯はまだ危なそうなので、ナミさんの所でやっていたように手拭いで体を拭き、頭だけは常磐様が洗ってくれた。
「やっぱり汗は流してすっきりしていた方が、寝るときも気持ちいいだろう?」
「はい。ほんと重ね重ねありがとうございます」
「さ、それじゃ眠ろうか」
……え、もう?
時計をみるとまだ9時にもなっていない。
そういえば、黒須さんが『常磐様が寝不足で』とか言っていた。灯りの下で良く見ると、目の下がうっすら黒ずんでいる。
「朱鷺さん、寒いなら私の部屋使えば良かったじゃないですか。寒かったんですか?」
「勿論使ったよ。でも何だか眠れなくてねえ」
モゾモゾと布団にもぐり込んで私を抱き締めると、
「……ああ、これこれ。
この感触と温かさに慣れてしまったからねえ。
足首の方はぶつけないように気をつけるからね」
すりすりと嬉しそうに顔を寄せてくる常磐様が、本当におじいちゃんワンコに思えてしまって、つい頭を撫でてしまった。
「……」
「あ、すいません。私も久しぶりだったのでつい」
「いや、気持ちいいから、出来たらもっと撫でててくれないかい?」
「いいですよ」
頭を撫でている内に、常磐様の寝息が聞こえてきた。
(……本当に寝不足だったんだなあ)
それなのに、色々と迷惑をかけてしまってごめんねおじいちゃん。
私は寝入った常磐様のやたらと整った顔立ちを見ながら、自分が眠るまでそっと頭を撫でていた。
大きな木の下に立っていた見慣れた銀髪を見つけた私は、思わず声を上げ手を振った。
「これナノハ、そんなに大声出さなくても聞こえるよ。
まだそこまで年寄りじゃないんだからね」
椅子車が木の下に到着すると、何故か黒須さんが拗ねたように文句を言う常磐様に持ち手を渡した。
「……ちょ、何やってるんですか!」
私を乗せた椅子車を引いて、和宝国の方へ向かって歩き出した常磐様を止めた。
「何って……妻を長屋に連れ帰る夫なのだけど」
「……国王ですよ? 常磐様にそんなことさせられませんよ。ちょっと黒須さんっ!」
和宝国へ向かう人が殆ど居なかったので、つい本名で呼んでしまった。慌てて声を押さえる。
椅子車と並ぶようにのんびり歩いている黒須さんに助けを求めると、
「……まあご自身でやると仰ってるのだから良いんじゃないか? 往きは私が運んだんだし」
大体、今日は本当なら山積みの決裁書類を半分は片づけられる予定だったんだ、と私に愚痴をこぼして来た。
「すみません、とんだご迷惑を……」
「いや。ナノハのせいじゃないからな。
……常磐様、そんなにトロトロしてたら夕方までに戻れませんよ」
「分かってるよ。ほら、だけど坂道なんだからさ、ねぇ……」
常磐様、既に若干息が上がってるんですが。
何百年と寝るのを趣味にしていると、ここ1ヶ月や2ヶ月のスポーツライフ程度では基礎体力が上がる筈もない。恐らく元気な時の私の方が体力は上だろう。
「あの大分痛みは引いてますから、歩きましょうか?」
申し訳なくなってそう提案すると、
「駄目だよ! ナノハは妖しの血も入ってないんだから、傷が悪化して寝たきりになってしまうよ」
と却下された。
足首の捻挫位で死んでたまるか。
人間のしぶとさを舐めたらいかんぞ。
でも、坂道なのもあるけれど確かにペースはゆっくりで、2時間弱の道のりが倍近くはかかりそうである。
黙って私たちの会話を聞いていた黒須さんが、ふう、と溜め息をついて、
「常磐様、詰めればナノハの隣に乗れるでしょう。
時間が勿体ないので私が引きます」
しっし、という手つきで常磐様を私の隣に座らせると、かなりの速さで椅子車を引き出した。
このスペックの高さは、きっと常磐様が国王になってから培われたんだろうなあ。
涙なしには語れない苦労が山ほどありそうだ。
「ごめんよ黒須。これから頑張って体力つけるからね。本当だから。嘘じゃないよ」
済まなそうに謝る常磐様を見ながら、妖力の高さと体力って関係ないのね、と改めて勉強になった。
「はいはいお願いします」
息を切らすこともないまま棒読みで応えた黒須さんが思い出したように、
「……そう言えばナノハ。さっきナミさんが言ってた【先日の件】ってのは一体何の話だ?」
と尋ねた。
「ああ、私の国には別の球技なんかもあるのかと聞かれて野球の話をしたら、何だか商売になりそうだとチカさんが乗り気でして」
私は野球について説明した。
「ほう……それは色々と道具が要るんだな」
「そうなんです。だから、和宝国ですぐやるのは難しいだろうとドッジボールとゴルフにしたんですけどね。
野球は大勢で見て楽しめたり、味方のチームを応援したりと違った楽しみもあるんですよ。
コツを掴むまで練習が必要だと思いますけど」
「……和宝国でもやきゅう場を作るよ。
洋華国だけにやらせる訳には行かない」
じっと聞いていた常磐様が急にそう宣言すると、
「ナノハ、私もやきゅうをやるからね。早く上手くなれるコツを教えておくれよ」
と真剣な顔で私の方を見た。
「……まずは、体力をつけてからですかね。
あれかなり体力必要なので」
私も真顔で返すと、黒須さんが堪えきれずに吹き出した。
「──その気になれば、私はやる男だよ。ごるふもどっちぼーるもやきゅうも、私はテッペンを取るよ。
決めたからね、ナノハ」
「……では、仕事もその気になって頂けますかね」
黒須さんが訴えた。
「黒須、しっかりおしよ。仕事は運動じゃないだろう? 今私に必要なのは体力なんだよ体力。
それには運動をしないといけないじゃあないか」
「仕事の合間にすればよろしいんじゃないですか?」
「割合が違うだろう? 運動の合間に仕事だよ。
仕事はちゃんとやるよ。
……でもね、今日みたいに女性1人乗せた椅子車もまともに運べないような国王に、下の者は付いて来たいだろうか? 私はそうは思わないよ。
運動をすることは、この先の治世をするに相応しい強い王である為に必要だとは思わないかい?」
このおじいちゃんは自分の行動を正当化する為に、無駄に妖力とカリスマ性を発揮しているんじゃなかろうか。
すっごく目力溢れてキラッキラしてるんですけど。
「そうですね……私が浅慮でした。
申し訳ございません」
そして、ハイスペックの黒須さんが必ず丸め込まれている。ねえ黒須さん、今さっき息切れしてたおじいちゃん見たでしょ?
どうしてまた尊敬の眼差ししちゃってるの。
騙されてるんだよおじいちゃんに。
「黒須なら分かってくれると思っていたよ。
じゃあ、やきゅうの道具とやきゅう場の建設はなるべく早く頼むね」
「かしこまりました」
……常磐様が国王になったのは、この特化した人たらしの才能なんじゃないだろうか。
和宝国は、絶対に黒須さんが回している気がする。
家に戻る直前にまた常磐様が入れ替わり、黒須さんは仕事が残っているから、と王宮へ戻っていった。
「あらまあナノハ先生! 足は大丈夫なんですか?」
椅子車で戻ると、井戸で水を汲んでいた美弥さんが桶を放り出して走ってきた。
「すみません、稽古も出来ずに。あと数日は見るだけになると思いますが、よろしくお願いします」
「そんなことは良いんですよう。
でも、東の国は妖しの血が薄いんですかねえ? 私らなら次の日にはすぐ治りますのに」
「そうみたいですねえ。だから自衛の意味で合気道とかが広まったのかも知れません」
まあ妖しの血は一滴も入ってないもので。
私が異界の民である事は、王宮の一部の人間しか知らない。これからは怪我をするのも気をつけないと。
「それじゃ、家で休ませたいので。すみませんねえ」
常磐様が椅子車を家の横に立てかけて、私をひょいと抱き上げた。
「あらごめんなさいね朱鷺さん。それじゃ先生、また稽古の時に。お大事に」
「はい、ありがとうございます」
家に入って草履を脱がし、包帯が濡れないように足を洗ってくれた常磐様が、私を布団に運んだ。
「とりあえずお手洗いとかね、必要な時以外はなるべく足を使わない事だよ。
明日から治るまでは椅子車で移動するから」
「……え? 誰が引くんですか?」
「私に決まっているだろう? 山道とかでなければ平気だよ。どうせ道場か王宮しか行かないだろう暫くは」
「……申し訳ありません。朱鷺さんにそんなことをお願いする事になるとは……」
国王をアッシーに使う女。
自分がとても酷い女に思えて落ち込む。
「……何を気にしてるんだいナノハ?」
「いや、いくら夫婦として暮らしているからといっても、国王に椅子車を引いて頂くのはどうにも……」
「……既に国王のお手製の食事をパクパク食べているじゃあないか。今さらじゃないかい?」
「……ああ、そうですね。言われてみれば」
「私も楽しく長屋生活を送っているんだし、気にする必要はないよ。あ、キノコも山菜もちゃんと残してあるからね。今夜はキノコの炊き込みご飯と山菜のお浸しにしようかね。魚は煮付けと焼いたのとどちらがいい?」
「……焼いたのが食べたいです」
「じゃ、ちょっと買い物に行ってくるから大人しくしておいでよ? みそ汁は豆腐でいいかい?」
籠を持つと、常磐様は急ぎ足で町へ買い物に行ってしまった。
早く足を治さねば、国王を顎で使っているとまた黒須さんにこめかみをグリグリされてしまう。
私はふう、と息をついた。
相変わらずの手際のよさで大変美味な夕食を頂き、銭湯はまだ危なそうなので、ナミさんの所でやっていたように手拭いで体を拭き、頭だけは常磐様が洗ってくれた。
「やっぱり汗は流してすっきりしていた方が、寝るときも気持ちいいだろう?」
「はい。ほんと重ね重ねありがとうございます」
「さ、それじゃ眠ろうか」
……え、もう?
時計をみるとまだ9時にもなっていない。
そういえば、黒須さんが『常磐様が寝不足で』とか言っていた。灯りの下で良く見ると、目の下がうっすら黒ずんでいる。
「朱鷺さん、寒いなら私の部屋使えば良かったじゃないですか。寒かったんですか?」
「勿論使ったよ。でも何だか眠れなくてねえ」
モゾモゾと布団にもぐり込んで私を抱き締めると、
「……ああ、これこれ。
この感触と温かさに慣れてしまったからねえ。
足首の方はぶつけないように気をつけるからね」
すりすりと嬉しそうに顔を寄せてくる常磐様が、本当におじいちゃんワンコに思えてしまって、つい頭を撫でてしまった。
「……」
「あ、すいません。私も久しぶりだったのでつい」
「いや、気持ちいいから、出来たらもっと撫でててくれないかい?」
「いいですよ」
頭を撫でている内に、常磐様の寝息が聞こえてきた。
(……本当に寝不足だったんだなあ)
それなのに、色々と迷惑をかけてしまってごめんねおじいちゃん。
私は寝入った常磐様のやたらと整った顔立ちを見ながら、自分が眠るまでそっと頭を撫でていた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
花嫁召喚 〜異世界で始まる一妻多夫の婚活記〜
文月・F・アキオ
恋愛
婚活に行き詰まっていた桜井美琴(23)は、ある日突然異世界へ召喚される。そこは女性が複数の夫を迎える“一妻多夫制”の国。
花嫁として召喚された美琴は、生きるために結婚しなければならなかった。
堅実な兵士、まとめ上手な書記官、温和な医師、おしゃべりな商人、寡黙な狩人、心優しい吟遊詩人、几帳面な官僚――多彩な男性たちとの出会いが、美琴の未来を大きく動かしていく。
帰れない現実と新たな絆の狭間で、彼女が選ぶ道とは?
異世界婚活ファンタジー、開幕。
異世界転移した私と極光竜(オーロラドラゴン)の秘宝
饕餮
恋愛
その日、体調を崩して会社を早退した私は、病院から帰ってくると自宅マンションで父と兄に遭遇した。
話があるというので中へと通し、彼らの話を聞いていた時だった。建物が揺れ、室内が突然光ったのだ。
混乱しているうちに身体が浮かびあがり、気づいたときには森の中にいて……。
そこで出会った人たちに保護されたけれど、彼が大事にしていた髪飾りが飛んできて私の髪にくっつくとなぜかそれが溶けて髪の色が変わっちゃったからさあ大変!
どうなっちゃうの?!
異世界トリップしたヒロインと彼女を拾ったヒーローの恋愛と、彼女の父と兄との家族再生のお話。
★掲載しているファンアートは黒杉くろん様からいただいたもので、くろんさんの許可を得て掲載しています。
★サブタイトルの後ろに★がついているものは、いただいたファンアートをページの最後に載せています。
★カクヨム、ツギクルにも掲載しています。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
私が美女??美醜逆転世界に転移した私
鍋
恋愛
私の名前は如月美夕。
27才入浴剤のメーカーの商品開発室に勤める会社員。
私は都内で独り暮らし。
風邪を拗らせ自宅で寝ていたら異世界転移したらしい。
転移した世界は美醜逆転??
こんな地味な丸顔が絶世の美女。
私の好みど真ん中のイケメンが、醜男らしい。
このお話は転生した女性が優秀な宰相補佐官(醜男/イケメン)に囲い込まれるお話です。
※ゆるゆるな設定です
※ご都合主義
※感想欄はほとんど公開してます。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
『完結・R18』公爵様は異世界転移したモブ顔の私を溺愛しているそうですが、私はそれになかなか気付きませんでした。
カヨワイさつき
恋愛
「えっ?ない?!」
なんで?!
家に帰ると出し忘れたゴミのように、ビニール袋がポツンとあるだけだった。
自分の誕生日=中学生卒業後の日、母親に捨てられた私は生活の為、年齢を偽りバイトを掛け持ちしていたが……気づいたら見知らぬ場所に。
黒は尊く神に愛された色、白は"色なし"と呼ばれ忌み嫌われる色。
しかも小柄で黒髪に黒目、さらに女性である私は、皆から狙われる存在。
10人に1人いるかないかの貴重な女性。
小柄で黒い色はこの世界では、凄くモテるそうだ。
それに対して、銀色の髪に水色の目、王子様カラーなのにこの世界では忌み嫌われる色。
独特な美醜。
やたらとモテるモブ顔の私、それに気づかない私とイケメンなのに忌み嫌われている、不器用な公爵様との恋物語。
じれったい恋物語。
登場人物、割と少なめ(作者比)
気がつけば異世界
波間柏
恋愛
芹沢 ゆら(27)は、いつものように事務仕事を終え帰宅してみれば、母に小さい段ボールの箱を渡される。
それは、つい最近亡くなった骨董屋を営んでいた叔父からの品だった。
その段ボールから最後に取り出した小さなオルゴールの箱の中には指輪が1つ。やっと合う小指にはめてみたら、部屋にいたはずが円柱のてっぺんにいた。
これは現実なのだろうか?
私は、まだ事の重大さに気づいていなかった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる