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救出部隊到着。
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【ダーク視点】
俺たちがまた馬を走らせること約1時間。
人家の明かりもたまにしか見えない寂しい地域に来ていた。
ルーシーが迷子キャッチャーに目をやり、手を上げた。止まれという合図だ。
俺とアレックは馬を止めた。
ルーシーが背中に背負ったリュックから、はみ出した熊のぬいぐるみの頭がこっちを見ていた。
アレを知らなければ可愛いと言えるのだが、何しろ下半身は亀甲縛りである。
何となく気恥ずかしくなり視線を逸らす。
リーシャは恥ずかしがるポイントが人とかなりずれている気がする。
まあ若干………かなり変わっているが、それがまた可愛い。更にはそのお陰ですぐにリーシャの形跡だと分かったのだから御の字だ。
よその人間には、あの女神のような美貌からは想像すらつかないだろう。
リーシャの中身は結構ビックリ箱みたいな意外性の塊なのである。
もちろん誰にも教えるつもりもないし、一生俺や家族だけが知っていればいい。
「ルーシー、この辺なのか?」
俺はまだ画面を見つめているルーシーに近づいた。
「ええ、恐らくこの近くで間違いないかと。ただ、近くなると却ってシグナルが滲む感じになるのがデメリットですわねこの商品も」
ルーシーは舌打ちすると辺りを見回した。
「周囲には建物が4軒、と。
1つは除外ですわね、かなり屋根もボロボロで人の気配もないですし」
「そうだな。後は………割と大きな屋敷と、倉庫みたいなところと民家か。民家は明かりが漏れてるな………」
俺たちは馬を近くの木に繋ぎ、ヒソヒソと囁き声で会話する。
「複数で動くと音が目立ちますので、旦那様とアレックはここで少々お待ちを。すぐ戻ります」
俺たちは熊のぬいぐるみの頭を出したリュックを背負ったまま、足音もさせずに倉庫へ向かうルーシーを見送る。
「………ルーシーって、普通のメイドじゃないんすか?」
アレックが囁いた。
「メイドなんだが、リーシャを護る為に、小さな頃から護衛術や格闘術など必要となるものを片っ端から習得したらしい」
「あー………リーシャ様って、気さくですけど人とは思えないほどお綺麗ですし、巻き込まれ系っすもんね。
なるほどねー、ルーシーが側にいて護ってたから、あんな人を疑う事を知らない素直な方にスクスクと育ったんですねえ」
アレックが頷いた。
「ああ。ルーシーは敵に回したら一番怖いタイプだ。リーシャの守護者としてこれ以上頼もしい奴も居ないんだが」
「………それは身に余る光栄でございます」
「っうぉっ!」
いきなり背後からルーシーの声がして俺は思わず少し大きな声が出た。
「脅かすなよルーシー!………で、どうだった?」
「民家は両親と子供と思われる家族が住んでいるようで、会話も聞いてみましたがごく普通で特筆すべき内容もなく、無関係と思われます。
倉庫は荷物が大量に入ってるだけで人の気配なし。
そして、そこの屋敷ですが、裏門のところに馬の足跡と馬車の車輪の跡がございました」
「んじゃここか………でもこんな大きな屋敷の人間が誘拐なんかするのかな?」
アレックが首を傾げる。
「庭なども荒れ放題ですし、余り手入れされているようには思えませんので、空き家を勝手に利用してる可能性もございます。
まあこちらにリーシャ様がいるのは間違いないとわたくしの勘が告げております」
「そうか。なら行くか」
ルーシーの勘が告げてるなら確実だ。
早くリーシャを助けなければ、あの美貌だ、男に襲われるかも知れない。
そんなことになったら問答無用で相手を殺してしまう自信がある。
「賊がまだどの程度の人数かも分かりませんので、くれぐれもお静かに行動願います。
身軽なわたくしが先頭に立ちます」
そう言うと、裏門の塀をひらりと飛び越え、内側から門の鍵を開けて俺たちを引き入れた。
(リーシャ、今行くから待ってろ)
俺はリーシャに心の中で呼び掛けていた。
俺たちがまた馬を走らせること約1時間。
人家の明かりもたまにしか見えない寂しい地域に来ていた。
ルーシーが迷子キャッチャーに目をやり、手を上げた。止まれという合図だ。
俺とアレックは馬を止めた。
ルーシーが背中に背負ったリュックから、はみ出した熊のぬいぐるみの頭がこっちを見ていた。
アレを知らなければ可愛いと言えるのだが、何しろ下半身は亀甲縛りである。
何となく気恥ずかしくなり視線を逸らす。
リーシャは恥ずかしがるポイントが人とかなりずれている気がする。
まあ若干………かなり変わっているが、それがまた可愛い。更にはそのお陰ですぐにリーシャの形跡だと分かったのだから御の字だ。
よその人間には、あの女神のような美貌からは想像すらつかないだろう。
リーシャの中身は結構ビックリ箱みたいな意外性の塊なのである。
もちろん誰にも教えるつもりもないし、一生俺や家族だけが知っていればいい。
「ルーシー、この辺なのか?」
俺はまだ画面を見つめているルーシーに近づいた。
「ええ、恐らくこの近くで間違いないかと。ただ、近くなると却ってシグナルが滲む感じになるのがデメリットですわねこの商品も」
ルーシーは舌打ちすると辺りを見回した。
「周囲には建物が4軒、と。
1つは除外ですわね、かなり屋根もボロボロで人の気配もないですし」
「そうだな。後は………割と大きな屋敷と、倉庫みたいなところと民家か。民家は明かりが漏れてるな………」
俺たちは馬を近くの木に繋ぎ、ヒソヒソと囁き声で会話する。
「複数で動くと音が目立ちますので、旦那様とアレックはここで少々お待ちを。すぐ戻ります」
俺たちは熊のぬいぐるみの頭を出したリュックを背負ったまま、足音もさせずに倉庫へ向かうルーシーを見送る。
「………ルーシーって、普通のメイドじゃないんすか?」
アレックが囁いた。
「メイドなんだが、リーシャを護る為に、小さな頃から護衛術や格闘術など必要となるものを片っ端から習得したらしい」
「あー………リーシャ様って、気さくですけど人とは思えないほどお綺麗ですし、巻き込まれ系っすもんね。
なるほどねー、ルーシーが側にいて護ってたから、あんな人を疑う事を知らない素直な方にスクスクと育ったんですねえ」
アレックが頷いた。
「ああ。ルーシーは敵に回したら一番怖いタイプだ。リーシャの守護者としてこれ以上頼もしい奴も居ないんだが」
「………それは身に余る光栄でございます」
「っうぉっ!」
いきなり背後からルーシーの声がして俺は思わず少し大きな声が出た。
「脅かすなよルーシー!………で、どうだった?」
「民家は両親と子供と思われる家族が住んでいるようで、会話も聞いてみましたがごく普通で特筆すべき内容もなく、無関係と思われます。
倉庫は荷物が大量に入ってるだけで人の気配なし。
そして、そこの屋敷ですが、裏門のところに馬の足跡と馬車の車輪の跡がございました」
「んじゃここか………でもこんな大きな屋敷の人間が誘拐なんかするのかな?」
アレックが首を傾げる。
「庭なども荒れ放題ですし、余り手入れされているようには思えませんので、空き家を勝手に利用してる可能性もございます。
まあこちらにリーシャ様がいるのは間違いないとわたくしの勘が告げております」
「そうか。なら行くか」
ルーシーの勘が告げてるなら確実だ。
早くリーシャを助けなければ、あの美貌だ、男に襲われるかも知れない。
そんなことになったら問答無用で相手を殺してしまう自信がある。
「賊がまだどの程度の人数かも分かりませんので、くれぐれもお静かに行動願います。
身軽なわたくしが先頭に立ちます」
そう言うと、裏門の塀をひらりと飛び越え、内側から門の鍵を開けて俺たちを引き入れた。
(リーシャ、今行くから待ってろ)
俺はリーシャに心の中で呼び掛けていた。
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