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家族旅行。【10】
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ダークの腕の中が気持ちよくて2時間も爆睡してしまった。目覚めたらもう4時を大きく回っていた。
私はまだ寝ているダークを起こさないようにベッドを抜け出し、慌ててバーベキューの支度に取りかかった。
支度といっても野菜を切ったり肉を切ったりする程度なのだが、人数が多いので量がいる。
なかなかに忙しい。
「──リーシャ様、リーシャ様」
コンドミニアムの扉の外から呼び鈴が鳴り、ルーシーの声が聞こえた。
私は手を洗って急ぎ足で扉を開けた。
「お手伝いに参りましたが宜しいでしょうか?」
「僕も手伝いますよ」
「助かるわルーシーもグエンさんも!お願いするわ」
ルーシーも身軽なパンツ姿になっており、船酔いしていたヨレヨレな姿から完全復活である。
「庭の方にバーベキューコンロをセットしてもらいたいのだけど、……あ、フロントに取りに行くの忘れてたわ」
「ああ、それなら僕が行ってきます。アレックさんにも手伝って貰いますね。僕らがセッティングしても構いませんか?」
「申し訳ないけどお願い出来る?
ついでにガーデンテーブルとガーデンチェアーもお肉や魚乗せたり取り皿乗せたり出来るように寄せてもらって、座って食べられるようにも配置してくれると助かるのだけれど」
「そんな事で良ければいくらでも使って下さい。むしろ運動しないと沢山食べられませんからね!
それじゃ行ってきます」
ルーシーの肩を軽くぽんぽん叩いて笑顔で出ていくグエンさんを見送り、
「いい旦那さん貰ったわねえルーシー」
とニヤニヤした。
「……そうですね。わたくしには勿体ない御方でございますわ」
素直に頷くルーシーは、無表情でせっせと紙製のお皿やコップの袋を開けて割り箸を用意していたが、少し耳が赤いので照れているのだろう。
可愛い奴め。
「ルーシー、先にイカの皮剥きお願い~」
「かしこまりました」
勝負に負けたとはいえ、今夜のバーベキューに使うには多すぎるほどのイカを釣り上げたので、船から上がってコンドミニアムに戻る前に、市場で買い物した時に使わない分を屋敷に送る手配は済ませた。
ダークやグエンさん、カイル達も結構バラエティーに富んだ魚を釣り上げたので、使うのを取り分けて残りも全部。送料はかかるけど、新鮮な魚介は大事。
子供たちも屋敷の人間に釣り自慢もしたいだろうし。
まあ朝市で買ったのも含めるとかなりの量だけど、屋敷でジュリアやサリーたちが冷凍庫にしまっておいてくれるだろう。
ルーシーにイカの皮剥きを任せて(刺身と塩辛用)、私はシロギスを3枚におろして中の骨も取っていく。
市場で買ってきた昆布の上に綺麗に並べていき、上からも昆布を乗せてラップ……まあ薄いビニール袋のような厚みだが……を巻いて冷蔵庫にしまう。昆布締めは1時間もあれば昆布のいいお味が染みるし身も引き締まって美味しい。
イサキも塩焼きにするのと刺身にするのとでそれぞれ分けて包丁を使っていると、ダークが顔を洗ったのかさっぱりした顔でキッチンに現れた。
まあさっぱりしなくても極上のイケメンであることは変わらないけども。
「リーシャすまん寝過ごした。何を手伝えばいい?」
下処理を手伝って欲しいのは山々だが、キッチンもそんなに広くはないのでダークが加わると手狭になる。
「そうねえ、こっちはいいんだけど、表のバーベキューのセッティング手伝ってあげて」
窓ガラスの向こう側でテーブルを移動しているグエンさんやアレックを見て、
「了解」
と出ていった。
さて。イカも糸造りにしたし、魚はマゴチもイサキも刺身と塩焼き用にした。シロギスも後で乗せればいいし、と。
まな板を洗って次は肉である。
魚は好きだが、バーベキューと言えば肉だ。
肉のないバーベキューなど有り得ないのだ。
市場で仕入れた牛肉と豚肉と鶏肉を取り出す。
皆さん大和民族な顔がお好きなようで、笑顔を振りまいて負けて貰った。
買い物の時には意外と土偶顔も役立つものよね。
適当な大きさに切って皿に盛り付ける。
我が家オリジナルの焼肉のたれも作る。
醤油やごま油、味噌やゴマなどの調味料を改めて買わねばならなかったが、調味料は余れば持ち帰って使えるので問題なしだ。どうせいる間に料理もするのだし。
無駄になってもいいやと材料を乗せる皿と刺身を乗せる皿は陶器の大きい皿を買った。
紙製の皿だと大量に使うし、見た目がよろしくないもんねえ。
刺身用のワサビを乗せる器も買った。
既にルーシーに大量に摺ってもらい山盛りだ。
ワサビの香りが鼻をくすぐりたまらない。
ああ早く刺身が食べたい。
キノコや長ネギも切って盛り付けて、と。
デザートに炭酸水を使ったフルーツポンチを作ったところで、そろそろ予定時間だった。
よっしゃー、食べるわよー!!
私はまだ寝ているダークを起こさないようにベッドを抜け出し、慌ててバーベキューの支度に取りかかった。
支度といっても野菜を切ったり肉を切ったりする程度なのだが、人数が多いので量がいる。
なかなかに忙しい。
「──リーシャ様、リーシャ様」
コンドミニアムの扉の外から呼び鈴が鳴り、ルーシーの声が聞こえた。
私は手を洗って急ぎ足で扉を開けた。
「お手伝いに参りましたが宜しいでしょうか?」
「僕も手伝いますよ」
「助かるわルーシーもグエンさんも!お願いするわ」
ルーシーも身軽なパンツ姿になっており、船酔いしていたヨレヨレな姿から完全復活である。
「庭の方にバーベキューコンロをセットしてもらいたいのだけど、……あ、フロントに取りに行くの忘れてたわ」
「ああ、それなら僕が行ってきます。アレックさんにも手伝って貰いますね。僕らがセッティングしても構いませんか?」
「申し訳ないけどお願い出来る?
ついでにガーデンテーブルとガーデンチェアーもお肉や魚乗せたり取り皿乗せたり出来るように寄せてもらって、座って食べられるようにも配置してくれると助かるのだけれど」
「そんな事で良ければいくらでも使って下さい。むしろ運動しないと沢山食べられませんからね!
それじゃ行ってきます」
ルーシーの肩を軽くぽんぽん叩いて笑顔で出ていくグエンさんを見送り、
「いい旦那さん貰ったわねえルーシー」
とニヤニヤした。
「……そうですね。わたくしには勿体ない御方でございますわ」
素直に頷くルーシーは、無表情でせっせと紙製のお皿やコップの袋を開けて割り箸を用意していたが、少し耳が赤いので照れているのだろう。
可愛い奴め。
「ルーシー、先にイカの皮剥きお願い~」
「かしこまりました」
勝負に負けたとはいえ、今夜のバーベキューに使うには多すぎるほどのイカを釣り上げたので、船から上がってコンドミニアムに戻る前に、市場で買い物した時に使わない分を屋敷に送る手配は済ませた。
ダークやグエンさん、カイル達も結構バラエティーに富んだ魚を釣り上げたので、使うのを取り分けて残りも全部。送料はかかるけど、新鮮な魚介は大事。
子供たちも屋敷の人間に釣り自慢もしたいだろうし。
まあ朝市で買ったのも含めるとかなりの量だけど、屋敷でジュリアやサリーたちが冷凍庫にしまっておいてくれるだろう。
ルーシーにイカの皮剥きを任せて(刺身と塩辛用)、私はシロギスを3枚におろして中の骨も取っていく。
市場で買ってきた昆布の上に綺麗に並べていき、上からも昆布を乗せてラップ……まあ薄いビニール袋のような厚みだが……を巻いて冷蔵庫にしまう。昆布締めは1時間もあれば昆布のいいお味が染みるし身も引き締まって美味しい。
イサキも塩焼きにするのと刺身にするのとでそれぞれ分けて包丁を使っていると、ダークが顔を洗ったのかさっぱりした顔でキッチンに現れた。
まあさっぱりしなくても極上のイケメンであることは変わらないけども。
「リーシャすまん寝過ごした。何を手伝えばいい?」
下処理を手伝って欲しいのは山々だが、キッチンもそんなに広くはないのでダークが加わると手狭になる。
「そうねえ、こっちはいいんだけど、表のバーベキューのセッティング手伝ってあげて」
窓ガラスの向こう側でテーブルを移動しているグエンさんやアレックを見て、
「了解」
と出ていった。
さて。イカも糸造りにしたし、魚はマゴチもイサキも刺身と塩焼き用にした。シロギスも後で乗せればいいし、と。
まな板を洗って次は肉である。
魚は好きだが、バーベキューと言えば肉だ。
肉のないバーベキューなど有り得ないのだ。
市場で仕入れた牛肉と豚肉と鶏肉を取り出す。
皆さん大和民族な顔がお好きなようで、笑顔を振りまいて負けて貰った。
買い物の時には意外と土偶顔も役立つものよね。
適当な大きさに切って皿に盛り付ける。
我が家オリジナルの焼肉のたれも作る。
醤油やごま油、味噌やゴマなどの調味料を改めて買わねばならなかったが、調味料は余れば持ち帰って使えるので問題なしだ。どうせいる間に料理もするのだし。
無駄になってもいいやと材料を乗せる皿と刺身を乗せる皿は陶器の大きい皿を買った。
紙製の皿だと大量に使うし、見た目がよろしくないもんねえ。
刺身用のワサビを乗せる器も買った。
既にルーシーに大量に摺ってもらい山盛りだ。
ワサビの香りが鼻をくすぐりたまらない。
ああ早く刺身が食べたい。
キノコや長ネギも切って盛り付けて、と。
デザートに炭酸水を使ったフルーツポンチを作ったところで、そろそろ予定時間だった。
よっしゃー、食べるわよー!!
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