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まばゆい人(物理)とお爺さん
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騎士団長たちと山を下りて、現実世界では見た覚えもないような大きな王宮に入った私は、メイドさんのような女性たちからボディーチェックをされ、豪華な居間のような部屋に通される。お茶を出されるとしばらくナイトと放置された。
『なあなあ、ちょっと待たせ過ぎじゃねえの?』
ナイトは籠から出るとソファーで毛づくろいをしつつ文句を言う。
「いやほら、私たちの説明だってしてるんだろうし、対応考えてるんじゃないの? 何年かに一度ぐらいのペースらしいし、私たちみたいな迷い人は」
『そうかも知れねえけどさあ、退屈~』
床に下りてゴロン、ゴロンと絨毯に転がっているナイトを見ていると、ざわざわと人の気配がして、ノックの音とケヴィンの声がした。
「トウコ、入って良いだろうか?」
「はい、どうぞ」
扉が開いて入って来たのは騎士団長のケヴィンとかなり年配の長いヒゲをしたお年寄り、そしてちょっと毛髪にハンデがあるむっちりとしたおじさんである。
彼らは私の向かいのソファーに座ると、お茶を運んで来たメイドが下がってからおじさんが口を開いた。
「お主が迷い人か……? その黒猫も迷い人らしいが」
『だから人じゃねえってば』
お爺さんもおじさんも、文句を言っているナイトはニャーニャー言っているようにしか感じないのだろう。チラリと視線を向けただけで話を続けた。
「──そう、らしいです。私もナイトも来たばかりで良くは分からないのですが、少なくともこの国の人間、と猫ではないのは確かです」
「そうか……」
このおじさんとお爺さんは大臣とかなのだろうか?
ケヴィンがソファーに座ることなく後ろで控えているから偉い人なのは間違いなさそうだ。国の偉い人の前でジーンズとTシャツ姿とか失礼極まりないのではないかと思うが、何しろ着替えすら持っていない状態なので許して欲しい。それでも、偉い人のオーラに長時間当たってると緊張で気疲れするので早めに済ませたい。
「あの……それで、ケヴィンさんに伺ったのですが、迷い人を保護して下さると聞きました。お仕事とか、住む家とか、着替えなども用意して頂けるのでしょうか? 何しろ身一つで来ましたもので、何もない状態なのです」
むっちりおじさんが柔和な顔を見せて笑った。私の住んでいた町の文具屋のおじさんに雰囲気が似ていて少し親近感が湧いた。
「おお、そりゃ安心して任せなさい。トウコと言ったか、その黒猫もちゃんと衣食住は責任持つ。──ただ、少し協力はお願いしたいのだ」
「協力、と申しますと……?」
「うむ。その黒猫と会話が出来ると聞いたので、そこのベルハンという爺様は学者なんだが、そいつとの調査に協力して欲しい」
「──体を切ったり薬飲ませたりなど危険なことをしないのであれば」
「そんなことはせんよ。トウコが通訳としてその黒猫の意思を伝えてくれたりすれば良い。それと、トウコの仕事なのだが……私の息子の話し相手になってもらえまいか? 家庭教師でも乳母代わりでも名目は何でも良い。あの子は大分前から感情表現を全くしなくなってしまってな。普段も無表情で意思表示すら殆どしないのだ。今後国を治める立場にならなくてはいけないし、こんな状態では他国との付き合いもままならん。そう思い色々やっては見たが全く変化がないのだ。だが、迷い人であるそなたなら少しは変わるのではないかとそう思ってな」
「え? 私は弟もいませんし、子守りとかも経験ないですよ。いや無理ですって無理無理!」
子供の世話なんて何かあったら責任問題じゃないのよ。私は手をバタバタと振った。
「これ、陛下の御前で無礼であるぞ」
お爺さんがたしなめるように声を掛けた。
……陛下? もしやこのむっちりおじさんは……。
「──まさかこの国の王様、なのですか?」
「うむ、まあ二十年ほど国を治めておるな」
私は即座にソファーから床にするりと降りて土下座した。
「すみません! 知らないとは言え大変失礼な言動をしてしまいました!」
誰がいきなり村人Aにラスボス格をぶつけて来ると思うのよ。いやそもそも真っ先に名乗るのが礼儀じゃないのか。頭を下げつつも心の中では悪態をつきたい気持ちであった。
いや、だとすると、王様が息子って……。
「ちょっ、息子さんって王子様じゃないですか? 尚更無理です! 私の国では王族というのは存在しませんし、近い存在はいますけれど一生接することもないぐらい遠い御方なので、いつ失礼な言動を取るかも知れませんし、何が無礼になるのかすら分かりません。来て早々に侮辱罪とかで牢屋に行くのは困ります! ごくごく普通の、メイドとか事務手伝いとか、そういう仕事を紹介して下さい!」
本当に冗談じゃないぞ。
物語では王子や高位の貴族に対してラフに話しかけるなんてシーンがあったが、リアルにそれをしたら首ちょんぱ、軽くても牢屋行きではないか。なんだなんだ、あの世じゃなくて異世界だったと少しホッとしたさっきまでの自分の気持ちを返せ。
「これトウコ、落ち着きなさい。息子の話し相手はこちらからお願いするのだから、言動については気にするでない。むしろ、友人のような普通の話し方で頼みたい。周囲の人間が常にかしこまっておるからな。あやつも心を開きにくいであろう」
「……普通で、良いのですか?」
「ああ。気軽にやって欲しい。三年間だけで良い。それでジュリアンに何も変化がなければ、辞めてくれて良い。別の仕事だって紹介するし、退職金もはずむ。家も城下町の住みやすいところを探してやろう」
「……今のお話、証書にして下さいますか?」
私は顔を上げた。
これからナイトとこの世界で生きて行くのだし、お金はあればあるだけ困らないのだ。ケチと言われようと構わない。人生の大抵の困難はお金で乗り越えられるのである。
「おお、やってくれるか! うむ、もちろんちゃんと証書にするぞ」
その後しばらく待たされ、出来た証書を渡された。
会話は出来ても文字まではどうだろうかと思ったが、映画の字幕が入るような感じで、全く文字は違うのに日本語として認識出来て普通に読める。
内容を確認し、サインをする。これで侮辱罪、投獄のルートはなくなったぞ。よし。そう考えてふと思う。
(あ、それじゃこの国の本も読めるのよね……)
活字中毒とも言える私の読書好きだが、この国でも読書が出来ると思っただけで、まだ良く知らないこの国でも何とか生きて行けるのではないか、と感じた。
それにしても子供の世話かあ……男の子って乱暴な遊びとかしそうだけど、大丈夫かしら。
『なあなあ、ちょっと待たせ過ぎじゃねえの?』
ナイトは籠から出るとソファーで毛づくろいをしつつ文句を言う。
「いやほら、私たちの説明だってしてるんだろうし、対応考えてるんじゃないの? 何年かに一度ぐらいのペースらしいし、私たちみたいな迷い人は」
『そうかも知れねえけどさあ、退屈~』
床に下りてゴロン、ゴロンと絨毯に転がっているナイトを見ていると、ざわざわと人の気配がして、ノックの音とケヴィンの声がした。
「トウコ、入って良いだろうか?」
「はい、どうぞ」
扉が開いて入って来たのは騎士団長のケヴィンとかなり年配の長いヒゲをしたお年寄り、そしてちょっと毛髪にハンデがあるむっちりとしたおじさんである。
彼らは私の向かいのソファーに座ると、お茶を運んで来たメイドが下がってからおじさんが口を開いた。
「お主が迷い人か……? その黒猫も迷い人らしいが」
『だから人じゃねえってば』
お爺さんもおじさんも、文句を言っているナイトはニャーニャー言っているようにしか感じないのだろう。チラリと視線を向けただけで話を続けた。
「──そう、らしいです。私もナイトも来たばかりで良くは分からないのですが、少なくともこの国の人間、と猫ではないのは確かです」
「そうか……」
このおじさんとお爺さんは大臣とかなのだろうか?
ケヴィンがソファーに座ることなく後ろで控えているから偉い人なのは間違いなさそうだ。国の偉い人の前でジーンズとTシャツ姿とか失礼極まりないのではないかと思うが、何しろ着替えすら持っていない状態なので許して欲しい。それでも、偉い人のオーラに長時間当たってると緊張で気疲れするので早めに済ませたい。
「あの……それで、ケヴィンさんに伺ったのですが、迷い人を保護して下さると聞きました。お仕事とか、住む家とか、着替えなども用意して頂けるのでしょうか? 何しろ身一つで来ましたもので、何もない状態なのです」
むっちりおじさんが柔和な顔を見せて笑った。私の住んでいた町の文具屋のおじさんに雰囲気が似ていて少し親近感が湧いた。
「おお、そりゃ安心して任せなさい。トウコと言ったか、その黒猫もちゃんと衣食住は責任持つ。──ただ、少し協力はお願いしたいのだ」
「協力、と申しますと……?」
「うむ。その黒猫と会話が出来ると聞いたので、そこのベルハンという爺様は学者なんだが、そいつとの調査に協力して欲しい」
「──体を切ったり薬飲ませたりなど危険なことをしないのであれば」
「そんなことはせんよ。トウコが通訳としてその黒猫の意思を伝えてくれたりすれば良い。それと、トウコの仕事なのだが……私の息子の話し相手になってもらえまいか? 家庭教師でも乳母代わりでも名目は何でも良い。あの子は大分前から感情表現を全くしなくなってしまってな。普段も無表情で意思表示すら殆どしないのだ。今後国を治める立場にならなくてはいけないし、こんな状態では他国との付き合いもままならん。そう思い色々やっては見たが全く変化がないのだ。だが、迷い人であるそなたなら少しは変わるのではないかとそう思ってな」
「え? 私は弟もいませんし、子守りとかも経験ないですよ。いや無理ですって無理無理!」
子供の世話なんて何かあったら責任問題じゃないのよ。私は手をバタバタと振った。
「これ、陛下の御前で無礼であるぞ」
お爺さんがたしなめるように声を掛けた。
……陛下? もしやこのむっちりおじさんは……。
「──まさかこの国の王様、なのですか?」
「うむ、まあ二十年ほど国を治めておるな」
私は即座にソファーから床にするりと降りて土下座した。
「すみません! 知らないとは言え大変失礼な言動をしてしまいました!」
誰がいきなり村人Aにラスボス格をぶつけて来ると思うのよ。いやそもそも真っ先に名乗るのが礼儀じゃないのか。頭を下げつつも心の中では悪態をつきたい気持ちであった。
いや、だとすると、王様が息子って……。
「ちょっ、息子さんって王子様じゃないですか? 尚更無理です! 私の国では王族というのは存在しませんし、近い存在はいますけれど一生接することもないぐらい遠い御方なので、いつ失礼な言動を取るかも知れませんし、何が無礼になるのかすら分かりません。来て早々に侮辱罪とかで牢屋に行くのは困ります! ごくごく普通の、メイドとか事務手伝いとか、そういう仕事を紹介して下さい!」
本当に冗談じゃないぞ。
物語では王子や高位の貴族に対してラフに話しかけるなんてシーンがあったが、リアルにそれをしたら首ちょんぱ、軽くても牢屋行きではないか。なんだなんだ、あの世じゃなくて異世界だったと少しホッとしたさっきまでの自分の気持ちを返せ。
「これトウコ、落ち着きなさい。息子の話し相手はこちらからお願いするのだから、言動については気にするでない。むしろ、友人のような普通の話し方で頼みたい。周囲の人間が常にかしこまっておるからな。あやつも心を開きにくいであろう」
「……普通で、良いのですか?」
「ああ。気軽にやって欲しい。三年間だけで良い。それでジュリアンに何も変化がなければ、辞めてくれて良い。別の仕事だって紹介するし、退職金もはずむ。家も城下町の住みやすいところを探してやろう」
「……今のお話、証書にして下さいますか?」
私は顔を上げた。
これからナイトとこの世界で生きて行くのだし、お金はあればあるだけ困らないのだ。ケチと言われようと構わない。人生の大抵の困難はお金で乗り越えられるのである。
「おお、やってくれるか! うむ、もちろんちゃんと証書にするぞ」
その後しばらく待たされ、出来た証書を渡された。
会話は出来ても文字まではどうだろうかと思ったが、映画の字幕が入るような感じで、全く文字は違うのに日本語として認識出来て普通に読める。
内容を確認し、サインをする。これで侮辱罪、投獄のルートはなくなったぞ。よし。そう考えてふと思う。
(あ、それじゃこの国の本も読めるのよね……)
活字中毒とも言える私の読書好きだが、この国でも読書が出来ると思っただけで、まだ良く知らないこの国でも何とか生きて行けるのではないか、と感じた。
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