こっち見てよ旦那様

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〘番外編〙おしどり夫婦の廣瀬さん2

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「ただいま、楓斗。」

「おかえり。…おい、先にそっちかよ」

帰ってくるなりソファで座っていた俺のお腹にキスする楓斗にデコピンをお見舞する。

「可愛い嫁には無いのかねぇ…」

「何、嫉妬ー?…そっかそっか、可愛いなぁ」

希望通りキスしてくれたのはいいが、全くしつこい。
もし彼が口紅を塗っていたら俺の顔は赤くなっていただろう。

「ほら、もう充分だから…飯にするぞー」

「んじゃ、続きは後で」

るんるんと軽い足取りで着替えへ向かう彼の後ろ姿を見て苦笑してしまう。
普段はクールな有能秘書なのに、誰がこんな彼を想像できただろう。

最近、家にいるのもなかなか暇で、ストレッチをしたり透と話したり…家で出来る仕事をしたりとしていたが時間があるので料理を楽しいと思うようになった。
豆腐と鶏肉でヘルシーでふわふわなチキンナゲットとキャベツと卵の中華炒め。
今夜のメインだ。

こうした料理をSNSにあげても反響がくるし、復帰後の仕事の幅も増える。
子供のことや、深いプライベートのことを晒すつもりはさらさらないがふとしたことを乗せるのは楽しい。

「美味そう…。あと俺やるから、楓斗は座ってて。これ運べばいい?」

「そう。んじゃ、お願いね」

とりあえずその場は彼に任せて席につき食事の支度をする彼の後ろ姿を眺める。
まだ妊娠する前はこんなに早く帰ってくることは珍しかったのに、今ではほとんど早く帰ってきてくれる。

子供が産まれたら育休取るって言ってたけど、多分同時期に透の旦那も取るから会社は大変なことになるのではないか。
そこら辺は心配だけれども2人ともそこまで考え無しではないはずだ。

膨らんだお腹を触って思う。
ぷにぷにしていなくて、思っていたより固めだ。

「あ、検診で性別わかったよ」

「なんで早く言ってくれ無いの、どうだった?」

「男だって」

「そっかそっか、男の子か。嬉しいな、女の子でも楓斗に似てかわい子になってたと思うけど…男の子でも可愛いだろうな」

「んな事言って…お前似かもよ」

「それもそれでいいな。…な、どう思う?」

「そりゃ…お前似だったら見た目はいいだろ。…ていうか、見た目より中身だろ。」

「まぁな。でもどんな子だって俺と楓斗との愛の結晶に変わりないよ」

くさいセリフだ。
だが俺は嫌いじゃない。なんだそれ、と吹き出しつつチキンナゲットを1つつまみ食いした。

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