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しおりを挟む早くも妊娠6ヶ月。
ずっと家にいたはずなのに、なんやかんやでやる事があり時の流れが早く感じる。
お腹も随分膨らんで、時々お腹を蹴って来るようになった。
本当なら性別が分かるのだが、少し見えにくい位置だったのでやっと今日の検診でわかったということだ。
潤也さん驚くかな…なんて思いながらタクシーを降りて家に入る。
お腹が目立ってくるようになると今まで以上に潤也さんがお腹を撫でたりするものだから面白い。
初めてお腹を蹴ったのを見た時の彼の喜びようは可愛かった。
楓斗君もお腹が出てきたらしく、違和感があると言っていた。
簡単なマタニティウェアをプレゼントしたら喜んでくれたようで良かった。
おくるみやベビーウェアは自分でも作ってみたいなと思い、作っているのだが、なかなか楽しい。
普通の大人の服を作るのとは違って小さく、可愛いのでとてもハマってしまった。
帽子もこんなに可愛い…。お人形みたいだ。
子ども部屋にする予定の部屋を掃除したりしながらカタログでベビーベッドなんかも見ているのだが、どしようか。
赤ちゃんの時は寝室で一緒に寝て、少し大きくなったら自分の部屋で寝かせればいい。
その事を考えて、彼と話し合わなくてはいけない。
楽しみだなぁ、なんて考えながら夕飯の用意にかかる。今日の夕飯はカレーと小松菜と卵の和物。
そろそろ帰ってくるだろうと温め直していると、丁度彼が帰ってきた。
「ただいま、検診どうだった」
「おなえりなさい。特に異常なしです、ご飯食べながら話しますね」
「あぁ、カバン置いてくる」
安心したように微笑んだ彼が早足で上着を置いて戻ってくると一緒に用意をしてくれる。
料理は苦手な彼だったが、早く帰る日が多くなった最近は料理をしてみたりとなかなか挑戦的だ。
「いただきます」
2人で向き合って食べ始める前に、今日のエコー写真を机に出す。
「男の子でした、元気ですよ」
「そうか…!女の子でも男の子でもどっちも嬉しいがありがとう。後でベビー用品選ぼう」
「はい。僕、洋服作ったんです。後で見てください」
「もちろん。本当にお前はすごいな…」
優しい彼につい甘えてしまう。
廣瀬さんも楓斗君が心配だろうに、潤也さんを早く返してくれる。それと同時に廣瀬さんも早く帰るそうだが…。
早く帰ってきてくれるのは嬉しいが、その分昼間に頑張ってくれているのだろう。
夕食を食べて、お風呂に入り寝室でのんびりする。
彼は日課のお腹なでなでをしつつ、一緒にカタログを見ながら話し合う。
その間にも元気に動く我が子を楽しみに思いながらもう1人、大きな赤ちゃんのように甘える彼の頭を撫でる。
はやく会いたいと思う反面、まだお腹にいて欲しいと思ってしまう。
まあ、お産が不安ということもあるが…。帝王切開で陣痛などの痛みはないとはいえやはり怖い。
「…潤也さんは子供になんて呼ばれたいですか」
「俺はパパと呼ばれたい」
即答だ。
「お前は?…ママが正しい気もするが…少し違うような」
「僕はママもいいと思いますよ。ママって呼ばれたいですし」
「そうだな。…でも大きくなったら親父とか言われるんだろうか」
そうなったら悲しい、と本気で悲しそうな彼を見て思わず笑ってしまう。
まだ生まれてないのに、と気持ちが明るくなる。そんな時、この人と結婚して良かったななんて思う。
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