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しおりを挟む「…いけるんじゃないか」
透と俺にはハンバーグ、マッシュポテト、野菜スープ。
ハンバーグは別で湧専用のものを作って、ポテトとスープは分けて味を薄くしてやわかくした。
「湧、透…ママ起こしてくれるか」
「まま?」
「とんとん、ってしてごらん」
遊んでいた湧に声をかけると一目散にソファで寝ている彼の元へ向かう。
起こさないよう言っていたから我慢していたのだろうか。
本当に透が大好きだなぁ、なんて感慨しているととんとんどころかバシバシし始めたので慌てて止めに行く。
「優しく、優しくだぞ」
「湧…?…なんで…っやばい!ご飯」
透のヤバい久しぶりに聞いたな。
時計を見て慌てて起き上がった彼を落ち着かせる。
「透、大丈夫だ。…ご飯出来てるから」
「そうなんですか?…すみません、寝ちゃってて。洗濯物も…」
「いいんだ、最近ずっと手伝えなかったし…いつもありがとうな」
「まま!まんま!」
「今日はパパが作ったんだって、楽しみだね」
「ほら、冷めないうちに食べよう」
透と湧を抱きしめ3人でダイニングへついて食べ始める。
透と交代で湧にご飯を食べさせる。時間も手もかかるけれど俺はこの時間が好きだ。
「すごく美味しいです」
「そ、そうか?…ハンバーグの素使ったからな失敗しない」
「そうじゃないです。潤也さんが作ったから美味しいです」
天使の笑顔…。
俺はもう報われた。
「湧、美味しいね」
「おいちぃね」
フォークを握って透の真似をする湧もハンバーグを食べてくれた。
「片付けますね」
「ありがとう。…じゃあ湧、風呂いれてくるな」
「はい、行ってらっしゃい」
片付けを彼にお願いして、食べ終わって時間が経った湧を風呂に入れる。
「ほら、バンザーイ」
「じゃーい」
お気に入りの船のおもちゃを持った湧が嬉々として風呂へ向かう。
幼児特有のぽんぽんのお腹が愛しい。
服の裾や袖をまくって湧を洗ったり、湯船に浸からせて遊ぶのはなかなか疲れるがなかなか楽しくもある。
「まま?」
「ママはお片付け。…よし、そろそろ出るか」
「ん!」
体を拭くのを嫌がる湧を拭いて、寝支度を済ませることには疲れたのかウトウトしている。
抱き上げてそのまま子ども部屋のベットへ下ろすと直ぐに寝てしまった。
たくさん動く分、直ぐに寝るようになった。
昔はあんなに泣いていたのに。
大きくなったなぁ、と感傷に浸りつつ彼の元へ戻る。
「寝かしつけありがとうございます。…お風呂、入ります?」
「あぁ。…一緒に入ろうか」
「そうですね、久しぶりに」
久しぶりの2人でのお風呂に喜びを隠せない。
2人でゆっくり湯船に浸かる間も、ずっとこの胸に透を収めていると安心する。
「定位置ですね」
「当たり前だ」
クスクス笑う彼を抱きしめて濡れた髪にキスを落とす。
「…そういえば」
「どうした」
「そろそろ発情期が戻ってくるかもしれません」
なんと。
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