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しおりを挟む「凪、着いたぞ」
「はーい」
車から息子を降ろして手を繋ぎ、保育園の駐車場を歩く。
俺は三上 竜也、27歳の会社員。こう見えてもαだ。
少し緊張した面持ちで隣を歩くのは5歳になる息子の拓海。
今まで行っていた保育園は職場から遠く、人も多くて対応も不十分だったので保育園を変えることにした。
この保育園は少し遠回りにはなるが、職場への通り道で対応も園内の様子も良かった。
編入、という形で今日から登園なのだが…
どうやら拓海は緊張しているらしい。
それでも家では新しい保育園を楽しみにしていたのだ。
「おはようございます」
正面玄関を入ると、下駄箱の後ろから若い男の先生が出てきた
「おはようございます…!…えっと…三上拓海君かな」
「はい…今日からお世話になりま…」
先生と目が合う
その瞬間、言葉を飲み込んでしまった。
「あ…ッ…」
ビリ…と体が震え、何かに当てはまるように互いに見つめあった。
そして……Ωの香り
頭がくラリとする
「…パパ?」
凪の言葉で我に帰ってしまう。
「あ、ああ…。…えっと、よろしくお願いします。」
「はい…お預かりしますね。…凪君、よろしくね、せな先生です」
そう凪に目線を合わせ、名乗り靴をぬがせている先生をじっと見てしまう。
あらた先生っていうのか…確かに名札に可愛く「せな」と書いてある。
って、何を見ているんだ。
まずい、目が離せないぞ
しかし時計を見るとそろそろ行かなくてはならない時刻だ。
「すみません、仕事の時間で…また夕方に」
「ッはい…お仕事頑張って下さい」
にっこり笑ってくれる先生をみてつい此方も微笑んでしまう
何故だろう…無性に離れたくない。
それでも仕事に遅刻をする訳にはいかないのでその思いを振り切って車に戻った。
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