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しおりを挟むその日は一日中、あの先生の事が頭から離れなかった。
恋…だろうか。
いや、それよりももっと強い。
運命の番だ。
運命の番の定理はよく分からないけれど、直感的に分かるのだとか。
運命の番か…。
俺にはまだ番がいない。
凪の母親はあの子がまだ2歳の時に出ていってしまった。
もともと俺は遊び人で、また遊び人であったΩのフェロモンに当てられて出来たのが凪だ。
俺は責任をもって真面目になり、そのΩと結婚もした。
しかし凪が2歳の頃、まだ遊びたいからと言われた離婚した。
親権は俺が希望し、相手はそれを受け入れた。というよりも押し付けていった。
凪は俺の大事な子だ、母親がいない分我慢させないようにしたい。
甘えさせてやりたい。
それなのに上手くいかない。
ずっと保育園や自分の母に預けていたからか、良くも悪くもあの子はしっかりした子に育って、我慢強い子になってしまった。
まだ5歳、まだまだ甘えていい歳なのにな…。
そうして仕事を終え、保育園に着いたのは7時すぎ。
またせな先生に会えるのを期待していたがいなかった。
2人で車に乗り込みスーパーへ寄る。
「凪、今日の夕飯は何がいい?」
「んー…ミートボールが食べたい」
「分かった、じゃあお肉買おうな」
カートを押し、人の少ない店内を歩いていると急に凪が走り出してしまった。
「せな先生!」
なに?!
っじゃなくて!
「凪…!まて…!」
慌てて追いかけていくと目の前には
飛びついたらしき凪を受け止める先生…
「あ…」
また目が合う。
「っす、すみません」
やっとの事で言葉を絞り出すと
先生も凪の頭を撫でながら
「いえ、大丈夫ですよ」
と笑ってくれる。
それにしても…
凪がこんなに懐いて甘えるなんて珍しい。
先生にべったりだ。
「…先生は家が近いんですか?」
「はい…ここから少し行ったところのマンションに」
「そうなんですか…」
こうしてひとつひとつ、話している時間が安らぐ。
「あの…いきなりなんですけれど…良ければLINE交換しませんか?…勿論、プライベートで」
出会って初日でこれは押しすぎと思った。
けれど、もっと繋がりが欲しかった。
でもやはり彼の立場は先生。
ダメだろうか…
ちらりと相手の様子を伺うと
「いいですよ、プライベートでなら…」
とLINEのQRコードを差し出してくれる。
それを読み取って…追加。
可愛い…金魚のアイコンだ。
そんな感じでこの日は別れて家へ帰った。
凪も名残惜しそうだったが、分かる。
俺も帰りたくなかったから。
やはり…運命の番…なのだろうか?…
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