エレメント

第三章 節約生活

六十五話

 なんて、思いつつ、正兄に頼まれた梅酒とか、お菓子作り用の、桑の実や林檎、葡萄なんかを、アルコールに漬けたものは、あるんだけどね……って！

「あっ、正兄、それ以上はダメ！後は、ししとうにして」

「えー、風味だけで、辛くないじゃん」

「えー、じゃなくて、それは、グリーンカレーの為に頼んでおいたものなんだから、そんなに、食べないでよ」

「グリーンカレーか、しょうがないなぁー、明日は、カレーパーティーだな」

『グリーンカレー？』

『カレーは、香辛料を使って煮込んだものよね？』

『うん、程よい刺激で、美味しかったね』

『『『で、グリーンカレーって？』』』

 妖精さん達が、そろって首をかしげる。

「はは、そのままだよ。緑色したカレーで、酸味と辛味が絶妙な味わいで、旨いんだ」

『そうなのですか？』

『楽しみです』

『明日、食べれるのですね』

 今日の夕飯これからなのに…

「何が、楽しみなの？」

 さっぱりとした瑞樹が、リビングに入ってきたので、冷蔵庫から麦茶をだして、畳部屋の方のテーブルに運ぶ。パンが広げられてるので、リビングもダイニングの方も使えないので、今日は、畳部屋で、食事にする。
 アルフさんは、今日は帰らないと、瑞樹に連絡があったそうだ。

「今日は、ピザパーティーで、明日が、カレーパーティーになったんだ。光輝のグリーンカレーが、食べられる」

「やったぁー、光輝のグリーンカレー、俺好き」

「はいはい、じゃぁ、明日は、カレーでいいね」

「人数増えたら、品数が増えて、ホント、毎日、パーティーみたいで良いね」

「まぁね。みんなが、手伝ってくれるし、喜んでくれるから、作りがいあるしな」

「ああ、それわかる。俺も、みんな手伝ってくれるから、植物の世話するの、前より楽しく感じるもん。今日もさぁ、ダリルくんが、夜盗虫の卵が付いた葉を三枚も見つけてくれてさぁ」

「げっ、やめろよ。想像しちゃうだろ。食事中なんだから！」

「はは、ゴメン。でもさぁ、見逃して、悔しい思いしなくて良いから、テンション上がるよね」

「夜盗虫？」

「正兄ぃ～」

「あっ、じゃぁ、食事の後で…」

 まったく～
 夜盗虫には、悪いけど…孵化した後の、あのウジャウジャ、ウニウニ、ウネウネ……いや、想像したらいけない！

 食事に集中しよう。
 みんなで、頑張って作ったのだからね。

「ダリルくん、ちゃんと食べてる？何か、苦手なものあった？別のもの作ろうか？」

 畳部屋で丸いテーブルを囲むから、瑞樹の隣に行くものと思っていたら、キルさんとファラムの間に妖精さん達位の小ささで、ちょこんと座っている。
 それだと、届かないよね？と、思っていたら、ファラムが、器用に巻いたサラダピザを渡していた。

「大丈夫です。とても美味しいです」

 そう言って、笑ってくれたけど…

「ダリルくん、気にする事ないよ。瞬間移動とか、アニメとかで見て便利そうだと思ったけど、実際考えたら、かなり無理ありそうって、分かるからさ、俺としたら、畑仕事一緒に行ってくれるだけで、かなり嬉しいし」

「瑞樹様…」

 おっと、瑞樹良いこと言うなぁと、思っていたら、ダリルくんが、泣いて瑞樹にしがみついた。
 瑞樹も、よしよしって、頭撫でて慰めてるし、なんか微笑ましい感じになってる。
 うん、いい感じ。