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第三章 節約生活
六十七話
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「うわっと、ちょ、ファラム?」
俺の言葉に、キルさんとダリルくんが反応して、ファラムに視線を向けたら、ファラムが驚いて、姿を消した。それと、同時に後ろの髪を引っ張られ、ちょっと、ふらつきながら頭の後ろに手を回すと、小さいファラムが、ヒシッと抱きついてきた。
「ちょっと、二人とも目がヤバイよ。ファラムが、怖がってる」
「申し訳ありません。しかし、ダリルが干渉出来なかったのに、ファラムが出来るとは…」
「水と油なんだから、僕より相性良くないハズなのに…なんで?」
「そういえば、そうだ。ファラム、わかる?」
右手の親指にしがみついてるファラムは、ブンブンと音がしそうなほど、激しく首を左右にふる。
「石油使ってないんじゃないか?なんかあっただろ、天然素材だかなんだかの袋」
「あー、なんかあったね。植木鉢も、土に埋めれば分解してくれるとかいう、プラスチックみたいなの」
正兄と瑞樹が、何やらヒントをくれる。
「えっと、確か、ファラムが持ってきたのは、これだよな」
キッチンの引き出しから、今朝、レモンが入っていた袋を出してきて、ダリルくんに渡す。
「あっ、本当に、石油系ではないようです。これなら、僕も、干渉可能です。こういうものなら、普通に持って移動出来ますね」
「そういうことか、しかし、人間の創造力は凄いですね」
「うん、凄いね。僕達も造ることは好きだけど、ここまで、複雑ではないかならぁ…後は、アルフの能力だけど、アルフは、肉体に対して、干渉可能だと思う?」
「どうだろう。確かに、この中では、アルフが一番適応力があるが、物質に関してはお前が一番だろう」
「だよねー、僕が出来ないのに、アルフが出来るとは思えない。でも、瑞樹様が言うように、同化の術も肉体に作用するものだから…っ!」
キルさんとダリルくんが話していると、なにかに気づいて、ダリルくんが、瑞樹に走りより、膝をついて、瑞樹の身体を触り何かを確認し出した。
「瑞樹様!トルト王と同化してから、頭痛とか、身体に異変はありませんか?記憶障害とかもございませんか?」
「えっ、べっ、別になんともないけど?」
「本当に?」
「うん。特に変わったりもしてないと、思うよ」
「良かった~」
「いや、ダリル、安心はできないぞ。ももんぐさんが、交通事故の時、時間が経ってから出る症状の方が厄介だと仰っていたし、本にも、徐々に進行する病気が書かれていた。油断しない方がいい」
「ももんぐさん、本当ですか?」
『んぁ?』
正兄の晩酌に付き合っていたももんぐさんが、急に話をふられて戸惑っている。
『い、いや、ワシはよう知らんぞ。ただ、人間どもが、事故というものは、後から出る症状の方が厄介だと言っていたのじゃ。正也さんや、そうなのかい?』
「えっ、ああ、まぁ、そう言いますね。頭とか打った時、内出血とかしてると、時間が経ってから症状が出る場合があるから、一週間位は、注意して見てるように言われますね。それに、脳細胞は他の細胞と違って再生出来ないとも聞いてますし…でも…」
『でも、なんじゃ?』
「いえ、精霊達の力ではないとすると、瑞樹の身体に干渉したのは、トルト王って事になりますよね?今まで、トルト王の話を聞いてないけど、一度、トルト王と話をした方が良いのかなと思ったんですが、どう思います?」
『他国の妖怪は、ようわからんでなぁ…ワシの知り合いの猫又は、話が通じるが、他の奴等は、悪さをする者もおるでなぁ、お主らは、どう思う?』
「そうですねぇ、猫族は人間と仲の良い者達が多かったですが、中には、人間から迫害を受けたせいで、恨んでいる者達もいますから、余りおすすめは出来ません」
「黒猫だから迫害を受けた可能性があるか…」
『でも、アヤツ、尾があったぞ』
「「「?」」」
「ももんぐさん、それどういう意味です?」
『ん?知らんのか?この国じゃ、昔、尾があると妖力がつくと言って、仔猫のうちに尾を切っておったのじゃぞ。そんなこと、関係ないのにのう。痛い思いをしたから、さんざ、愚痴っておったぞ』
「そんな事してたんだ…」
「なんか、可愛そうだね」
「確かに。でも、狐なんかも、妖力が高い方がしっぽの数が多いと言うしな」
『ああ、九尾か、しかし、アヤツらは、歳を重ねるごとに妖力が貯まるから、尾が増えるだけじゃぞ。まぁ、溜まり具合で、早い遅いがあるがの』
「えっ、そうなんですか?九尾の狐は凄い妖術が使えるとかありましたけど?」
「そりゃぁ、中には勉強熱心な者がおるでな。そういう者は、妖術を学び…まぁ、覚えたら、使いたくなるのじゃろ、人間どもは、面白い反応をしてくれるからのう。人間だって、同じ環境で育っても、個性というものが出るでわないか、一匹だけ見て判断するのはどうかと思うぞ」
「そういうことなのか?」
正兄がなんか腑に落ちないという感じで、考えこんでしまった。
話が脱線したけど、人間が猫になるなんて異常事態があったんだから…
「後遺症か、ちょっと、心配だなぁ」
「うん、なんか、不安になってきた…トルト王に、話、聞いた方がよくない?」
「出来れば、聞きたいな」
「まぁ、私達がいるので、悪さをすることはないでしょうし、一度話をしてみますか?」
「そうだね。お願いできる?」
「はい、でも、アルフが封印したので、アルフの帰りを待たないと…」
あっ、そうでした。
俺の言葉に、キルさんとダリルくんが反応して、ファラムに視線を向けたら、ファラムが驚いて、姿を消した。それと、同時に後ろの髪を引っ張られ、ちょっと、ふらつきながら頭の後ろに手を回すと、小さいファラムが、ヒシッと抱きついてきた。
「ちょっと、二人とも目がヤバイよ。ファラムが、怖がってる」
「申し訳ありません。しかし、ダリルが干渉出来なかったのに、ファラムが出来るとは…」
「水と油なんだから、僕より相性良くないハズなのに…なんで?」
「そういえば、そうだ。ファラム、わかる?」
右手の親指にしがみついてるファラムは、ブンブンと音がしそうなほど、激しく首を左右にふる。
「石油使ってないんじゃないか?なんかあっただろ、天然素材だかなんだかの袋」
「あー、なんかあったね。植木鉢も、土に埋めれば分解してくれるとかいう、プラスチックみたいなの」
正兄と瑞樹が、何やらヒントをくれる。
「えっと、確か、ファラムが持ってきたのは、これだよな」
キッチンの引き出しから、今朝、レモンが入っていた袋を出してきて、ダリルくんに渡す。
「あっ、本当に、石油系ではないようです。これなら、僕も、干渉可能です。こういうものなら、普通に持って移動出来ますね」
「そういうことか、しかし、人間の創造力は凄いですね」
「うん、凄いね。僕達も造ることは好きだけど、ここまで、複雑ではないかならぁ…後は、アルフの能力だけど、アルフは、肉体に対して、干渉可能だと思う?」
「どうだろう。確かに、この中では、アルフが一番適応力があるが、物質に関してはお前が一番だろう」
「だよねー、僕が出来ないのに、アルフが出来るとは思えない。でも、瑞樹様が言うように、同化の術も肉体に作用するものだから…っ!」
キルさんとダリルくんが話していると、なにかに気づいて、ダリルくんが、瑞樹に走りより、膝をついて、瑞樹の身体を触り何かを確認し出した。
「瑞樹様!トルト王と同化してから、頭痛とか、身体に異変はありませんか?記憶障害とかもございませんか?」
「えっ、べっ、別になんともないけど?」
「本当に?」
「うん。特に変わったりもしてないと、思うよ」
「良かった~」
「いや、ダリル、安心はできないぞ。ももんぐさんが、交通事故の時、時間が経ってから出る症状の方が厄介だと仰っていたし、本にも、徐々に進行する病気が書かれていた。油断しない方がいい」
「ももんぐさん、本当ですか?」
『んぁ?』
正兄の晩酌に付き合っていたももんぐさんが、急に話をふられて戸惑っている。
『い、いや、ワシはよう知らんぞ。ただ、人間どもが、事故というものは、後から出る症状の方が厄介だと言っていたのじゃ。正也さんや、そうなのかい?』
「えっ、ああ、まぁ、そう言いますね。頭とか打った時、内出血とかしてると、時間が経ってから症状が出る場合があるから、一週間位は、注意して見てるように言われますね。それに、脳細胞は他の細胞と違って再生出来ないとも聞いてますし…でも…」
『でも、なんじゃ?』
「いえ、精霊達の力ではないとすると、瑞樹の身体に干渉したのは、トルト王って事になりますよね?今まで、トルト王の話を聞いてないけど、一度、トルト王と話をした方が良いのかなと思ったんですが、どう思います?」
『他国の妖怪は、ようわからんでなぁ…ワシの知り合いの猫又は、話が通じるが、他の奴等は、悪さをする者もおるでなぁ、お主らは、どう思う?』
「そうですねぇ、猫族は人間と仲の良い者達が多かったですが、中には、人間から迫害を受けたせいで、恨んでいる者達もいますから、余りおすすめは出来ません」
「黒猫だから迫害を受けた可能性があるか…」
『でも、アヤツ、尾があったぞ』
「「「?」」」
「ももんぐさん、それどういう意味です?」
『ん?知らんのか?この国じゃ、昔、尾があると妖力がつくと言って、仔猫のうちに尾を切っておったのじゃぞ。そんなこと、関係ないのにのう。痛い思いをしたから、さんざ、愚痴っておったぞ』
「そんな事してたんだ…」
「なんか、可愛そうだね」
「確かに。でも、狐なんかも、妖力が高い方がしっぽの数が多いと言うしな」
『ああ、九尾か、しかし、アヤツらは、歳を重ねるごとに妖力が貯まるから、尾が増えるだけじゃぞ。まぁ、溜まり具合で、早い遅いがあるがの』
「えっ、そうなんですか?九尾の狐は凄い妖術が使えるとかありましたけど?」
「そりゃぁ、中には勉強熱心な者がおるでな。そういう者は、妖術を学び…まぁ、覚えたら、使いたくなるのじゃろ、人間どもは、面白い反応をしてくれるからのう。人間だって、同じ環境で育っても、個性というものが出るでわないか、一匹だけ見て判断するのはどうかと思うぞ」
「そういうことなのか?」
正兄がなんか腑に落ちないという感じで、考えこんでしまった。
話が脱線したけど、人間が猫になるなんて異常事態があったんだから…
「後遺症か、ちょっと、心配だなぁ」
「うん、なんか、不安になってきた…トルト王に、話、聞いた方がよくない?」
「出来れば、聞きたいな」
「まぁ、私達がいるので、悪さをすることはないでしょうし、一度話をしてみますか?」
「そうだね。お願いできる?」
「はい、でも、アルフが封印したので、アルフの帰りを待たないと…」
あっ、そうでした。
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