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冒険者
試験
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「リョウ、武器は何にするか決めたのか?」
「んーと、彎曲のサーベルと短剣で受けようと思ってる」
「そうか、魔術は、支援系、攻撃系どちらも、問題ないし、体術も、脚力があるから、無理せず逃げれば良いからな」
「うん。出来れば勝ちたいけどねぇ」
今日は、リョウとクラリーちゃんの冒険者試験だ。
試験は適性検査同様、ギルドの特別室で行われる。が、こちらは立ち会い不可で保護者でも入ることはできない。
まぁ、部屋全体が測定器のような役割をしていて、試験者の魔力の量や質、感情の揺らぎなんてモノも分かるらしい。その測定値と各種技術力で合否が決まる。
どんなに優れていても、未成年の場合はGランクから、成人はFランクからになっている。
「まぁ、怪我しないように、頑張ってこいよ」
「うん」
最近の俺は、午前中はギルドにリョウを預け、近場の簡単な依頼をミンテと一緒に受けて。お昼頃に帰ってきて、達成報酬をもらい、リョウと合流。
市場で昼飯をテイクアウトし、モン族の訓練場へ。昼飯を食べ終える頃に、クラリーちゃん達が来るので、それから、試験対策の魔術や体術、剣術の訓練をして帰宅。という日々を送っていた。
今日は試験だといえ、見学出来ないので、何時も通り依頼を受ける事にした。
幸い、タリクさん一家が家族総出で様子を見に来たので、任せる事に…しかし、カトリーナさんまで、店を休んで来るとは…なんか、凄い良い笑顔で、クラリーちゃんに何か言い聞かせているし…
「じゃぁ、今日は、よろしくお願いします」
「はい。では後程、カトリーナの店で、待ってますね」
「はい、行ってきます」
「気をつけて行ってきてください」
皆に見送られ今日の依頼を受けに行く。
『今日も、薬草採取ですか?』
「だね。それと、個人的に欲しい素材があるから、モンディールの所に行くよ」
『モ、モンディール様の所ですか?』
ん?なんかミンテの反応がおかしいぞ?
「どうかした?」
『うう、昔、婆様が戦い挑んで負けたそうです…』
「えっと、ミンテのお祖母さんて、天狐だっけ?」
『そうです。戦い好きの婆様で、いろんな方々に挑んでいたそうで…というか、挑んでいるそうで…』
「いろんな方々って、皆、格上って事?」
『…はい。はっ、ミ、ミンテは、違いますよ。ミンテは、好戦的では、ありません』
「まぁ、それは、分かっているから」
挑んでいるって、今もか…。元気なお祖母さんだなぁ…
ギルドの掲示板で、モンディール山方面の依頼がいくつかあったのでそれを受け、モンディール山へ。
「おお、ちょうど良いところに来たな」
ミンテと一緒に、果実酒用のウグイスカズラとヤマグミを採取しながら、高原を歩いていると、人形のモンディールが空から降りてきた。
ミンテが尻尾を下げて、俺の足にしがみついてきた。
「炎孤の縁者だな。そう怖がらんでもよいぞ。あやつとは、喧嘩友達だ」
「炎孤?」
疑問を口にしながら、ミンテを抱き上げ、モンディールに挨拶させる。
「うん、ミンテか、良い名だ。炎孤はこやつのばあ様だ。幻想魔術が得意での、特に炎の演出が上手いのだ。連れの自由さに振り回されて、鬱憤ばらしに、ワシに喧嘩を売りに来るのだ」
『えっ?』
「それって、家庭でのストレス発散のために、神に喧嘩を売ってるてこと?」
「ん……まぁ、そうなるな。はっはっはっ」
ミンテのお祖母さんって、本当に、凄い天狐なんだなぁ……ん?もしかして、ウチのばあちゃんに、似てる?
『も、申し訳ありません』
ミンテが、震えながら頭を下げる。
「ん?ワシも、楽しみにしておるのだから、謝ることはない。お主もやるか?」
そう言って、モンディールがミンテの頭を撫でると、一瞬、毛が逆立ったが、直ぐに力が抜け身体がグニャリと柔らかくなる。
「ミンテ?」
「こやつ、目を回しよった。少々気弱ではないか?やはり、ワシが鍛えた方が良いのではないか?」
「いや、ミンテは斥候にしたいから、臆病で慎重過ぎるぐらいが丁度いい。モンディールに預けて、怖いもの知らずで、無茶ばかりする様になったら困る」
「おっさん言うなと、言っておろう。ふん、まぁ、安全確保のためになるのなら、このままでも良いか…取り敢えず、ワシからは、鬼火を授けよう。目眩ましによかろう」
俺の腕の中で気を失っているミンテに、モンディールが手をかざすと、ミンテが青白い炎で包まれる。
「…ありがとう」
「ククッ。ああ、お前に頼まれていたモノが、大方、揃うたぞ。ほら、ただ『烈震』は見あたらなんだぞ。もしかしたら、どこぞで、生まれ変わっておるやもしれぬ。大事ないか?」
「えー、地竜の生まれ変わりの時期だったのか…リョウの武器を地竜の鱗でと思っていたんだけど、どうしよう…」
「なるほどの…では、『岩漿』の鱗は、クラリーの武器。『烈風』のは、お前の武器だな。『渦潮』は…リョウでは、相性があまり良くないのう『渦潮』も、お前のか?」
「んー、ついで」
ゴチン
超高速で、後頭部をひっぱたかれた…
「イッテー。何すんだよ!モンディール」
「……お前なぁ。人類では、四大竜王の一柱の鱗を手にいれるのでさえ「三代がかり」と言われておるのに、「ついで」で四大竜王の鱗を集めさせるではないわ!」
「だって、三属性に適した者が集まったんだから、将来、四属性集まるかなぁと、思って…」
「三属性?まぁ、良い。童に囲まれ、少しは大人になったと皆で感心しておったのに…無駄にするではないぞ、各地で会うたらちゃんと礼を言うのだぞ」
「分かったよ。ありがとう」
「うむ。クラリーの装備も出来ておるから、バーンの所にも寄っていけ、合格祝いだ。またな」
モンディールは、最後の言葉を残して、サッサッとすがたを消してしまった。
「分かったよ。何が、またな、だよ」
どうせ皆で、監視をしているくせに…
「んーと、彎曲のサーベルと短剣で受けようと思ってる」
「そうか、魔術は、支援系、攻撃系どちらも、問題ないし、体術も、脚力があるから、無理せず逃げれば良いからな」
「うん。出来れば勝ちたいけどねぇ」
今日は、リョウとクラリーちゃんの冒険者試験だ。
試験は適性検査同様、ギルドの特別室で行われる。が、こちらは立ち会い不可で保護者でも入ることはできない。
まぁ、部屋全体が測定器のような役割をしていて、試験者の魔力の量や質、感情の揺らぎなんてモノも分かるらしい。その測定値と各種技術力で合否が決まる。
どんなに優れていても、未成年の場合はGランクから、成人はFランクからになっている。
「まぁ、怪我しないように、頑張ってこいよ」
「うん」
最近の俺は、午前中はギルドにリョウを預け、近場の簡単な依頼をミンテと一緒に受けて。お昼頃に帰ってきて、達成報酬をもらい、リョウと合流。
市場で昼飯をテイクアウトし、モン族の訓練場へ。昼飯を食べ終える頃に、クラリーちゃん達が来るので、それから、試験対策の魔術や体術、剣術の訓練をして帰宅。という日々を送っていた。
今日は試験だといえ、見学出来ないので、何時も通り依頼を受ける事にした。
幸い、タリクさん一家が家族総出で様子を見に来たので、任せる事に…しかし、カトリーナさんまで、店を休んで来るとは…なんか、凄い良い笑顔で、クラリーちゃんに何か言い聞かせているし…
「じゃぁ、今日は、よろしくお願いします」
「はい。では後程、カトリーナの店で、待ってますね」
「はい、行ってきます」
「気をつけて行ってきてください」
皆に見送られ今日の依頼を受けに行く。
『今日も、薬草採取ですか?』
「だね。それと、個人的に欲しい素材があるから、モンディールの所に行くよ」
『モ、モンディール様の所ですか?』
ん?なんかミンテの反応がおかしいぞ?
「どうかした?」
『うう、昔、婆様が戦い挑んで負けたそうです…』
「えっと、ミンテのお祖母さんて、天狐だっけ?」
『そうです。戦い好きの婆様で、いろんな方々に挑んでいたそうで…というか、挑んでいるそうで…』
「いろんな方々って、皆、格上って事?」
『…はい。はっ、ミ、ミンテは、違いますよ。ミンテは、好戦的では、ありません』
「まぁ、それは、分かっているから」
挑んでいるって、今もか…。元気なお祖母さんだなぁ…
ギルドの掲示板で、モンディール山方面の依頼がいくつかあったのでそれを受け、モンディール山へ。
「おお、ちょうど良いところに来たな」
ミンテと一緒に、果実酒用のウグイスカズラとヤマグミを採取しながら、高原を歩いていると、人形のモンディールが空から降りてきた。
ミンテが尻尾を下げて、俺の足にしがみついてきた。
「炎孤の縁者だな。そう怖がらんでもよいぞ。あやつとは、喧嘩友達だ」
「炎孤?」
疑問を口にしながら、ミンテを抱き上げ、モンディールに挨拶させる。
「うん、ミンテか、良い名だ。炎孤はこやつのばあ様だ。幻想魔術が得意での、特に炎の演出が上手いのだ。連れの自由さに振り回されて、鬱憤ばらしに、ワシに喧嘩を売りに来るのだ」
『えっ?』
「それって、家庭でのストレス発散のために、神に喧嘩を売ってるてこと?」
「ん……まぁ、そうなるな。はっはっはっ」
ミンテのお祖母さんって、本当に、凄い天狐なんだなぁ……ん?もしかして、ウチのばあちゃんに、似てる?
『も、申し訳ありません』
ミンテが、震えながら頭を下げる。
「ん?ワシも、楽しみにしておるのだから、謝ることはない。お主もやるか?」
そう言って、モンディールがミンテの頭を撫でると、一瞬、毛が逆立ったが、直ぐに力が抜け身体がグニャリと柔らかくなる。
「ミンテ?」
「こやつ、目を回しよった。少々気弱ではないか?やはり、ワシが鍛えた方が良いのではないか?」
「いや、ミンテは斥候にしたいから、臆病で慎重過ぎるぐらいが丁度いい。モンディールに預けて、怖いもの知らずで、無茶ばかりする様になったら困る」
「おっさん言うなと、言っておろう。ふん、まぁ、安全確保のためになるのなら、このままでも良いか…取り敢えず、ワシからは、鬼火を授けよう。目眩ましによかろう」
俺の腕の中で気を失っているミンテに、モンディールが手をかざすと、ミンテが青白い炎で包まれる。
「…ありがとう」
「ククッ。ああ、お前に頼まれていたモノが、大方、揃うたぞ。ほら、ただ『烈震』は見あたらなんだぞ。もしかしたら、どこぞで、生まれ変わっておるやもしれぬ。大事ないか?」
「えー、地竜の生まれ変わりの時期だったのか…リョウの武器を地竜の鱗でと思っていたんだけど、どうしよう…」
「なるほどの…では、『岩漿』の鱗は、クラリーの武器。『烈風』のは、お前の武器だな。『渦潮』は…リョウでは、相性があまり良くないのう『渦潮』も、お前のか?」
「んー、ついで」
ゴチン
超高速で、後頭部をひっぱたかれた…
「イッテー。何すんだよ!モンディール」
「……お前なぁ。人類では、四大竜王の一柱の鱗を手にいれるのでさえ「三代がかり」と言われておるのに、「ついで」で四大竜王の鱗を集めさせるではないわ!」
「だって、三属性に適した者が集まったんだから、将来、四属性集まるかなぁと、思って…」
「三属性?まぁ、良い。童に囲まれ、少しは大人になったと皆で感心しておったのに…無駄にするではないぞ、各地で会うたらちゃんと礼を言うのだぞ」
「分かったよ。ありがとう」
「うむ。クラリーの装備も出来ておるから、バーンの所にも寄っていけ、合格祝いだ。またな」
モンディールは、最後の言葉を残して、サッサッとすがたを消してしまった。
「分かったよ。何が、またな、だよ」
どうせ皆で、監視をしているくせに…
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