異世界人拾っちゃいました…

kaoru

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冒険の始まり

得手不得手

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 リョウ達が冒険者になって、十日が過ぎた。
一日置きに依頼を受け、薬草や動物、魔獣の事を教えている。
 依頼を受けた次の日は、薬草の煎じ方や皮のなめし方、武器や防具の手入れの仕方を教えたり、ポーションや保存食作りだ。

 今日は、モンディール山にカコウバトを捕まえに行く。
 火山の頂上付近の岩場に住み。体長六十センチ前後まで育ち、子供時は黒っぽい茶色のふわふわした毛で覆われているが、巣だつ頃には、全体的には緋色で尾の先と羽の先が橙色の綺麗な羽に覆われた姿になる。
 肉も卵も味が良いので人気の食材だし、特徴的なのは、その羽で、なんと熱吸収効果があり、これからの暑い時期に人気の素材なのだが、鼠と違い繁殖力があまりないので、年間の捕獲数が決められている鳥だ。
 
 今日の依頼も、一羽だけ。

「えーと、暑さに強いから、氷とかの攻撃に弱いかと思っていたけど、違うんだね。寒くなったら、熱を放出するんだ」

「そうです。熱を吸収し体内に貯めれるのではないかと言われています。それを魔術とするかどうかで中央は揉めているようですよ」

「て、事は、魔獣ではないの?」

「そうだ。霊獣である火の鳥の血を受け継いでいるのだが、かなり薄まっていて、熱操作としてスキルに出ないと聞いている」

「おお、火の鳥キター!」

 どうやらニホンでは、火の鳥も人気があるらしい。俺とクラリーちゃんの説明で、リョウのテンションが上がった。

「でも、住みかも火口付近の岩場で、弓矢も届かないんだよねぇ?魔法もダメなら、どうやって捕まえるの?出来れば生け捕りなんでしょ、罠でも仕掛けるの?」

 熱耐性とか持っていれば、巣の近くまでいけるので、俺達は普通に攻撃できるし、ミンテがいるから卵を取ることも可能だが、希少動物なので、不必要な刺激を与えてはいけないことになっている。そこで、考え出された方法は…

「カコウバトは釣れるんだよ」

「釣る?どういうこと?」

「離れたこういう場所で、こういう水晶の欠片に、火の精霊の魔力を集める。この場合は、大きさは関係なく透明度が高ければいいというか、小さい方が楽だ。そして、一定量を超えると…」

  ぼっ

「と、中心が青で外に向けて赤色になっていく紫っぽい小さい炎が生まれる。これを、火鼠の毛を編み上げた糸につけ真上に、おもいっきり投げる!」

「ちょっ、えー、どこま…あっ」

 投げ上げた炎が森の木々の高さを越えたところで、一羽の鳥が現れパクンっと炎に食いついた。

「別名 火食鳥ひくいどり魔力暴走した昆虫や小動物が好物なんだ」

 糸に魔力を通し首に巻きつかせ引っ張るとバランスを崩し高度が下がったところで、木の上で待機していたココとミンテに合図して網を被せる。
 落ちて来たところを素早く掴んで、嘴と頭にかけて特殊なカバーをはめて、風切り羽を切ってしまう。
 危なげなく降りてきたミンテに鳥籠を出してもらい中に入れれば捕獲完了。

「はやっ、もう終わり?僕達なにもしてなよ」

「そう、頻繁に出る依頼ではないし、取り敢えず見せておきたかっただけだから、今回は、これでいいんだよ」

「そうか、えーと、じゃぁ、この顔にかけたカバーはどういう意味があるの?」

「これは、仲間を呼ばせない対策だな。よく通る声の上に、目で見ている情景も信号化して伝えるんだ」

「うわっ、頭いいんだねー」

 リョウの素直な反応にホッコリしてると、ミンテが何かに反応し毛を逆立てた。それを見て、俺も、探索魔法と言っても俺の場合は、近くの精霊達にお願いしているモノで、その範囲を広げ…うわっ、こ、これは…

「なんか、沢山?なんでしょうか?」

 クラリーちゃんも、察知したらしいが、思い当たるモノがないのか首を傾げてる。
 森の中、まだ、姿も音も聞こえない程離れているが…

「くっ、これは…ヤバイ。逃げるぞ」

 俺は、籠を抱えて走り出す。
 リョウ達もついては来たが、危機感はない。

「なんで逃げるの?」

「討伐しては駄目なのですか?」

「討伐って…」

 自分の感情は置いといて、冷静に、冷静に考えれば、討伐というか、捕獲しておいた方がいいモノではあるが…しかも、状況からいけば、かなりの報酬が得られるはず…しかし…

「リョウ、お前、昆虫とか、蜘蛛とか、平気か?」

「え?好きって訳じゃ無いけど、嫌いでもないよ」

「クラリーちゃん達は?』

「私も、特に何も感じません。ココの様に抱きつきたいとは思いませんが」

『少し厄介なところもありますが、ワタシも平気ですよ』

『うう、ミンテは、ちょっと苦手なの、気持ち悪い…』

 ミンテは、俺と同じか…

 皆の意見を聞いて足を止め、奴が来る方へと体を向ける。

「じゃぁ、三人でやってみるか?」

「僕は、やってもいいけど、何が来るの?」

「ミスリルスパイダーだ。体長一メートル。しかも、卵を背負っていて孵化しかかっている」

「それは、どういうことですか?」

「ミスリルスパイダーは、雄の背に卵を産み付けるんだ。そして、孵化直前に直ぐに餌を与えられるように、狩りに出る」

「ワタシ達が、獲物だと目をつけられたんですね」

「そう、そして、一度に産み付ける卵の数は、五百から六百個」

「はぁ?それって、ヤバくない?早く攻撃した方が楽なんじゃないの?」

「下手に攻撃すると、散らばるだろうが「蜘蛛の子を散らす」って言葉を知らないのか?」

「聞いたことあるけど…」

「いいか、こういう時は、余裕を持って相手を待ち伏せし、目視出来たら直ぐに障壁で動きを止める」

 百メートル程離れた所に現れたミスリルスパイダーを障壁で囲み閉じ込める。

「えー、ちょっと、離れすぎてない?」

「障壁で封じるのは良いですが、攻撃も出来ませんよ?」

「少しずつ障壁を解除し、攻撃するんだが、三方向に別れ、頭と足を同時に攻撃するのが一番効率が良いそうだ。そして、出来れば最後の足と頭を同時に落とすのが理想的だと聞いたぞ」

「足一本残しておいてって事?」

「それでもいいし、何らかの方法で全部一度にでもいいらしい。それから、関節以外は、刃物も魔法も弾かれるそうだから、狙いは正確にな」

「ええと、それなら、関節に合わせて障壁解除して、障壁に沿って魔法で、一気に切り落とせば良いんじゃないの?」

 そんな、簡単に…

「…できるか?」


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