オラクル

kaoru

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第一章 碧玉

九話

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「でもねぇ。人どころか、家や畑ごと消すなんて、昔話にある神や悪魔の所業としか思えませんよ…先生が神託を授かったなんて言うんだから、神がやったことなんでしょうけど、幼い子供、独り残していくなんて酷すぎやしませんか?神は一体何を考えているんです?この子が隣の国に何しに行くんですか?」

 横にいるマーヤさんの言うことを聞いていると、だんだんと整理出来てきて、何が分からないのかハッキリとしてきた。それに、マーヤさんがワタシも知りたいことをどんどん先生に聞いてくれる。父さんと母さんの事も気になるけど、今は、二人を探す方が先なんだよね?でも、それには、神様がワタシに何をさせたいかハッキリしないと…
 ワタシは横で、そうだ!と言うように大きく頷いて先生に視線を向けている。

 先生もそれを見て、ワタシにも分かる言葉を選びながら教えてくれる。けど、少し分からない単語もある。

「そう言う言い方されると困ってしまいます。それに、私に神の考えは分かりませんしね。しかし、いろいろな神がいて、信じる者達も大勢いて、一部の宗派では、唯一の神として、一柱を崇めて、他の神は邪神としている者もいるようですが…私が知る限りでは、神とは傍観者であって、地上には、あまり干渉しないことになっているんですけどね」

 ボウカンシャ?カンショウ?

「じゃぁ、なんです?神が見ているだけで、人が消えるって言うんですか?今回は、家や畑までも、しかも、こんな幼い子に隣国まで旅をさせろって?正気の沙汰とは思えませんよ」

 ああ、見ているだけの人?神様?ということなのか…でも、今は、なにやら手を出して来てるから、マーヤさんがちょっと怒って先生を質問攻めにしているんだ。

「だよね。神の教えを説いてる私としてはそう言われると耳が痛いです。まぁ、だから私がフーを保護して旅をしろということなんでしょうけど…」

「え?先生が?ここは、どうするんです?」

 そうだった。タビというのを先生も一緒にしてくれるのは、ワタシは嬉しいけれど、ここの人達は困ってしまう。
 先生は、文武を教えるだけでなく、治療師としても働いているから。

「神託を受け、本山に伝書を飛ばしたので、直ぐに代わりの者が来ますよ、その者は、私より、治療師としての腕も良いので安心してください」

「はぁ…そういうことなら、ここは良いとして、フーちゃんに、先生しか付いていないのは、ちょっと、心配だねぇ。ここに来ている冒険者にでも護衛依頼を出した方がいいんじゃないんですか?」

「一応、剣術や魔術に関しても教えているのに…マーヤさんに余り信用されてないんですね。ショックです。でも、という言い方もおかしいですが、選ばれたのは、フーだけではないんですよ。その方が、魔術に関して凄い力を持っているそうなので、問題ないらしいです」

 あれ?そういえば、ククと名乗った獣が居ない、山を降りるときは、先生の後を付いてきたと思っていたけど…

「ホント何ですか?初めて会うんでしょ?信用できるんですか?」

「まぁ、そうなりますよね…でも、そこは、信じるしかないと言うことですかね。神託を…」
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