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ちょっぴりウソつきな男友達くん
P101
しおりを挟む「……なんで会ったの?」
あれこれ考えている。
そうしている間にも。
一輝くんの話は続いている。
一輝くんの声のトーン。
それは。
怒っている。
というより。
悲しそう。
そんな感じに聞こえた。
「まさか結菜ちゃんの方から会いたいって言ったの?」
「違うよっ。
拓生くんが相談したいことがあるって。
だから、その話を聞くためにっ」
なんとか出た、声が。
だけど。
なかなか声が出なかった。
その反動からだろうか。
勢い良く声が出過ぎ。
思ったよりも大きくなってしまった。
声のボリュームが。
「そんなの休憩時間じゃダメだったの?」
焦るように大声を出した私。
それに対して一輝くんは不気味なくらいに静かな声を出している。
だけど。
一輝くんの静かな声。
混ざっている、その中には。
私が言った言葉に納得がいっていない。
そんな気持ちが。
「うん、そうみたい。
学校では話せないことだって言ってたから」
いっていない、納得が。
そんな様子の一輝くん。
だけど。
納得してもらいたい、どうにか。
そう願いを込め。
返答する、一輝くんの言葉に。
「まさかだけど、
家に行ったわけじゃないよね?」
納得してもらいたい、一輝くんに。
そう願っていた。
だけど。
その願いは叶うことはなく。
それどころか。
とんでもない質問。
されてしまった、一輝くんに。
「どうなの? 結菜ちゃん。
市条先輩の家に行ったの?」
困った。
そんな質問。
一輝くんにされて。
正直なところ。
一番触れてほしくない。
一輝くんには。
そう思っているからだろう。
うろたえてしまっている、かなり。
そして。
声は再び出せなくなってしまっている。
一体どうすればいいのか。
パニック状態、頭の中が。
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