売れない作家の私が異世界転移した結果、隣にいたのは担当編集者でした!

苺 迷音

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18 白熱するじゃれ合い

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「虚偽の風説の流布わぁ~、刑法233条でぇ 名誉棄損と偽計業務妨害で罰せられるんですよぉ」

「はぁ!? 何言ってんの!? 女狸! その刑法とやらは何よ! どこの国の話よ! 馬鹿じゃないの!」

 今日も食堂の真ん中で、ツインテあざと女・クレアと桜庭が仲良く(?)じゃれ合っている。

「どこの国であろうと~、営業妨害と名誉棄損には間違いないですよねぇ?」

「いつわたくしが、営業妨害をしたって言うのよ!」

「これですよぉ~」

 そう言うと、桜庭はビシッと私がペンであちこち×を付けた、怪しいチラシをクレアに突き付けた。そう、ヴィンセントさんが『拾った』と言った、クレアがバラ撒いていたアレ。それをじっと見たクレア。

「……可愛い妹…… なにこの×印。ちょっと! 元の文字がほぼ無い上に、嘘ばかり書いてあるじゃないの!」

「ちゃんと訂正したんですよぉ~。でもぉ、こういうものをバラ撒くのはよくないですよね~」

「被害が出る前に、啓発活動するのは当然でしょ」

 プイっとクレアはそっぽを向き、腰に手をあてて「プンスコ」とでも言いそうなくらい、頬を膨らませた。こんな風に怒る? 拗ねる? 人いるんだなぁと、感心してしまう。

「それにしても、クレアさんって暇なんですねぇ~」

「はぁ!? なんですって!?」

「だってぇ~。こんな時間から食堂にきて、何も注文しないのに居座ってるし、チラシを作ってばら撒いてるしぃ~? 時間が余ってる証拠ですよねぇ」

 桜庭、煽るスタイルはよくないと思うぞ!

 見てみろ。クレアの顔がどんどん赤くなっていってるではないか。

「なっ! なっ! わたくしこれでも伯爵令嬢ですのよ!? 忙しいに決まってるでしょ! わざわざ庶民の生活を覗きに来て差し上げてるのですわ! それを言うなら、ヴィンセント様も同じってことになりますわよ!」

 クレアはなぜか、ツンとした仕草で人差し指をヴィンセントさんに向けた。  
 まぁ、そう言われても仕方ない。チャーチャを発見してからと言うもの、彼はほぼ毎日ルーメン亭に入り浸っている。  
 朝昼晩とチャーチャとセットで現れるその様子は、最早『常駐警備員』かと思うレベルだ。

「俺?」

「そうですわ! ヴィンセント様までも、性悪姉妹に誑かされるなんて……」

「いやぁ、俺は誑かされているわけじゃ……」

 ヴィンセントさんの言葉を桜庭が遮る。
 手を口に持って行き、クスクス笑いながら。

「でもぉ、クレアさんわぁ伯爵令嬢? ぽくないですよねぇ~。それに~、どちらかと言うと悪役(クスッ)」

「はああぁ!? いい加減になさい! 女狸!」

「私がぁ、可愛いからって嫉妬するのわぁ、よくないと思いますぅ」

 じゃれ合いの熱量が、ついに臨界点に達していく。
 ……そろそろ止めるべきか。

 そう思って一歩踏み出そうとしたその時。

 食堂の扉が、音を立てて開いた。

 そこには、妖精

 ……もとい、ノールさんが立っていた。
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