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56 甘い誘惑とクッキー
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厨房は、離宮の奥まった場所にあった。扉を潜った瞬間、濃密な甘い香りが、空気を満たした。
厨房の中心には、壮年の男――マルセルがいた。無言で包丁を振るう姿に、誰もが一言も挟めない。若い料理人たちは、二十代前半。野菜を切ったり、生地をこねたりしていた。
「失礼します」
ジュノが声をかけると、マルセルが、振り返った。その瞬間――マルセルの手が、止まる。若い料理人たちも、一斉に動きを止めた。
「姫様……!」
若い料理人の一人が、驚きの声を上げた。マルセルは、無言で深く頭を下げた。
「こんにちは。とても良い香りがしたので……見学してもいいですか?」
マルセルは、黙って頷いた。そして、オーブンを指差した。若い料理人が、あたふたしながらも説明をする。
「ちょうど、あの……クッキーを、焼いて、いたところ、です」
「クッキー……」
ジュノは、オーブンの中をじっと覗いた。その目は、好奇心に溢れている。そして暫くの後、顔を上げるととんでもないことを言いだした。
「私も、作ってみたいです。駄目でしょうか?」
ジュノのその言葉に、若い料理人たちが驚いたように顔を見合わせた。皇太女殿下が料理を? いいのだろうか? そんな顔。
マルセルは、黙ってジュノを見つめた。やがて――ゆっくりと頷いた。
「……本当ですか?」
ジュノの顔が、明るくなった。
「ありがとうございます!」
エレナが止める前に、許可されてしまった。エレナは必死に「やけどされませんように!」「手をお怪我なさいませんように!」「御髪に火がついたら大変でございます!」と、いくつも注意と小言を並べて行く。が、そんな声は既に、オーブンの前に居たジュノには届かなかった。
☆
マルセルは、寡黙ながらも丁寧に指導した。
言葉は少ないが、ジュノの手を取って、生地のこね方を教える。若い料理人たちは、その様子を見ながら、完全に動揺していた。ジュノの笑顔や仕草。全てが、彼らの心を揺さぶる。一人の若い料理人が、恐る恐るジュノに近づいた。
「姫様、こちらのボウルを使われた方が」
「いえ、姫様。こちらの粉の方が」
別の料理人も、競うように話しかける。マルセルは、二人を鋭い視線で睨んだ。若い料理人たちは、慌てて黙り込む。その連続。
その日から、ジュノは午後になると厨房に通うようになった。マルセルの指導の下、ジュノは料理を学んだ。マルセルは、相変わらず寡黙だった。だが、ジュノの真剣な姿勢に、彼は丁寧に教えた。
若い料理人たちは、ジュノが厨房に来るたびに、完全に動揺し続けている。包丁を持つ手が震え、食材を切る動作が、不自然なほど丁寧になる。
そして何より――ジュノの前で、料理技術を披露しようと競い合う。
「姫様、このソースの作り方は」
「いえ、姫様。こちらの調理法の方が」
マルセルは、その度に二人を睨んだ。だが、若い料理人たちは止まらなかった。そんな中、ジュノは、真剣な表情で生地をこねた。力の加減が難しい。生地が、ボウルから飛び出しそうになる。
「あ……」
ジュノが、慌てる。マルセルは、無言でジュノの手を支えた。そして、正しい力の加減を示す。
「ありがとうございます」
ジュノは、マルセルに微笑んだ。マルセルは、無言で頷いた。だがその頬は、わずかに赤く染まっていた。若い料理人たちは、その様子を見て、羨望の眼差しを向け呟く。
「いいなぁ」「俺も料理長になりてぇ」
☆
数時間後、ようやくクッキーが焼き上がった。が、形は歪み、表面は焦げている。一部は膨らみすぎて破裂していた。
ジュノは、じっとクッキーを見つめた。
「……失敗、でしょうか」
マルセルは、一枚手に取った。そして、一口食べてみる。しばらく咀嚼した後――マルセルは、小さく頷いた。それは、マルセルなりの「合格」のサインだった。
「本当ですか?」
ジュノの顔に、笑顔が広がった。ジュノも、一枚手に取り、そして一口食べてみる。
「……美味しい。ちょっと焦げてるけど、美味しいです」
若い料理人たちも、一枚ずつ食べてみた。
「姫様の真心が、込められています」
「これは、素晴らしいです」
口々に賛辞を述べる。ジュノは、嬉しそうに頷いた。
「これ、皆さんに配ってもいいですか?」
マルセルは、一瞬躊躇する顔を見せる。見た目はあれだが……目を瞑った後、ゆっくりと頷いた。ジュノは、小さな包みにクッキーを詰めた。そして皆にお礼を言うと、エレナと共に厨房を出た。
☆
その日の夕方、ジュノは離宮の中庭にいた。
そこには、警護に当たっている十数人の騎士たちがいる。彼らは休憩を取りながら、談笑を交わし合っていた。
ジュノはゆっくりと、彼らに歩み寄る。
「皆さん」
ジュノが声をかけると、騎士たちが一斉に振り返った。
「姫様!」
騎士たちは直立不動になり、騎士の礼を取る。
「いつも、ありがとうございます」
ジュノは、丁寧に頭を下げた。
「粗末なものですが……食べていただけると嬉しいです」
ジュノが差し出した包みには、手作りのクッキーが入っていた。
騎士たちの間で、小さな歓声と驚愕の声が上がった。
「これは……」
「まさか、姫様が?」
「我々のために?」
一人目の騎士が、包みを開けた。焦げたクッキーが、顔を出す。
「おい……」
彼は、驚きの声を上げた。
「これが……姫様の手作り?」
最初の騎士が、クッキーを一口食べると、顔が一瞬にして緩んだ。焦げた部分が口内で溶け出し、妙な甘みが広がる。
「うわぁ……なんというか……個性的だが……」
彼の目が、潤む。
「幸せだ。死んでもいい」
彼の言葉を聞き逃さず、次の騎士が手を伸ばした。鍛え上げられた筋肉質の腕が、震えている。
「次は俺だ!……うぉっ!」
彼もまた口に運ぶと、鼻の下が明らかに伸びた。耳まで真っ赤に染まりながら咀嚼する姿は、まるで恋に落ちた少年のようだった。
次々と手を伸ばす精鋭中の精鋭たち。百戦錬磨の戦士たちが、手作りクッキーに理性を失っていく。
「姫様の真心がこもってる……」
「これは国宝級だ」
「食べるのがもったいないが……」
口々に賛辞を述べながら、ジュノの前で恍惚の表情を浮かべる騎士たち。ジュノは、その様子を見て、嬉しそうに微笑んだ。
「皆さん、喜んでくださって……」
ジュノの声には、純粋な幸福感が滲んでいる。
「作ってよかった」
その様子を隣でみていたエレナは、心の中で独り言ちた。
(あーあ、揃いも揃って、発情期みたいに……レオ様がご覧になられたら……私、知りませんからね……)
鼻の下を伸ばす騎士たちに、胡乱気な目を向けた。
☆
その光景を、遠くから見ていた者がいた。
エレナの危惧通り、レオだった。
彼は、執務室の窓から、中庭を見下ろしていた。騎士たちの、あまりに緩んだ顔と立ち姿を見て――眉がピクリと動いた。
(なぜあんなに笑い合っている? しかもなんだ? 奴らのだらしのない立ち方と顔は……)
レオの顔から、血の気が引いた。
「……まずい」
レオは窓から離れ、慌てて執務室を出た。
厨房の中心には、壮年の男――マルセルがいた。無言で包丁を振るう姿に、誰もが一言も挟めない。若い料理人たちは、二十代前半。野菜を切ったり、生地をこねたりしていた。
「失礼します」
ジュノが声をかけると、マルセルが、振り返った。その瞬間――マルセルの手が、止まる。若い料理人たちも、一斉に動きを止めた。
「姫様……!」
若い料理人の一人が、驚きの声を上げた。マルセルは、無言で深く頭を下げた。
「こんにちは。とても良い香りがしたので……見学してもいいですか?」
マルセルは、黙って頷いた。そして、オーブンを指差した。若い料理人が、あたふたしながらも説明をする。
「ちょうど、あの……クッキーを、焼いて、いたところ、です」
「クッキー……」
ジュノは、オーブンの中をじっと覗いた。その目は、好奇心に溢れている。そして暫くの後、顔を上げるととんでもないことを言いだした。
「私も、作ってみたいです。駄目でしょうか?」
ジュノのその言葉に、若い料理人たちが驚いたように顔を見合わせた。皇太女殿下が料理を? いいのだろうか? そんな顔。
マルセルは、黙ってジュノを見つめた。やがて――ゆっくりと頷いた。
「……本当ですか?」
ジュノの顔が、明るくなった。
「ありがとうございます!」
エレナが止める前に、許可されてしまった。エレナは必死に「やけどされませんように!」「手をお怪我なさいませんように!」「御髪に火がついたら大変でございます!」と、いくつも注意と小言を並べて行く。が、そんな声は既に、オーブンの前に居たジュノには届かなかった。
☆
マルセルは、寡黙ながらも丁寧に指導した。
言葉は少ないが、ジュノの手を取って、生地のこね方を教える。若い料理人たちは、その様子を見ながら、完全に動揺していた。ジュノの笑顔や仕草。全てが、彼らの心を揺さぶる。一人の若い料理人が、恐る恐るジュノに近づいた。
「姫様、こちらのボウルを使われた方が」
「いえ、姫様。こちらの粉の方が」
別の料理人も、競うように話しかける。マルセルは、二人を鋭い視線で睨んだ。若い料理人たちは、慌てて黙り込む。その連続。
その日から、ジュノは午後になると厨房に通うようになった。マルセルの指導の下、ジュノは料理を学んだ。マルセルは、相変わらず寡黙だった。だが、ジュノの真剣な姿勢に、彼は丁寧に教えた。
若い料理人たちは、ジュノが厨房に来るたびに、完全に動揺し続けている。包丁を持つ手が震え、食材を切る動作が、不自然なほど丁寧になる。
そして何より――ジュノの前で、料理技術を披露しようと競い合う。
「姫様、このソースの作り方は」
「いえ、姫様。こちらの調理法の方が」
マルセルは、その度に二人を睨んだ。だが、若い料理人たちは止まらなかった。そんな中、ジュノは、真剣な表情で生地をこねた。力の加減が難しい。生地が、ボウルから飛び出しそうになる。
「あ……」
ジュノが、慌てる。マルセルは、無言でジュノの手を支えた。そして、正しい力の加減を示す。
「ありがとうございます」
ジュノは、マルセルに微笑んだ。マルセルは、無言で頷いた。だがその頬は、わずかに赤く染まっていた。若い料理人たちは、その様子を見て、羨望の眼差しを向け呟く。
「いいなぁ」「俺も料理長になりてぇ」
☆
数時間後、ようやくクッキーが焼き上がった。が、形は歪み、表面は焦げている。一部は膨らみすぎて破裂していた。
ジュノは、じっとクッキーを見つめた。
「……失敗、でしょうか」
マルセルは、一枚手に取った。そして、一口食べてみる。しばらく咀嚼した後――マルセルは、小さく頷いた。それは、マルセルなりの「合格」のサインだった。
「本当ですか?」
ジュノの顔に、笑顔が広がった。ジュノも、一枚手に取り、そして一口食べてみる。
「……美味しい。ちょっと焦げてるけど、美味しいです」
若い料理人たちも、一枚ずつ食べてみた。
「姫様の真心が、込められています」
「これは、素晴らしいです」
口々に賛辞を述べる。ジュノは、嬉しそうに頷いた。
「これ、皆さんに配ってもいいですか?」
マルセルは、一瞬躊躇する顔を見せる。見た目はあれだが……目を瞑った後、ゆっくりと頷いた。ジュノは、小さな包みにクッキーを詰めた。そして皆にお礼を言うと、エレナと共に厨房を出た。
☆
その日の夕方、ジュノは離宮の中庭にいた。
そこには、警護に当たっている十数人の騎士たちがいる。彼らは休憩を取りながら、談笑を交わし合っていた。
ジュノはゆっくりと、彼らに歩み寄る。
「皆さん」
ジュノが声をかけると、騎士たちが一斉に振り返った。
「姫様!」
騎士たちは直立不動になり、騎士の礼を取る。
「いつも、ありがとうございます」
ジュノは、丁寧に頭を下げた。
「粗末なものですが……食べていただけると嬉しいです」
ジュノが差し出した包みには、手作りのクッキーが入っていた。
騎士たちの間で、小さな歓声と驚愕の声が上がった。
「これは……」
「まさか、姫様が?」
「我々のために?」
一人目の騎士が、包みを開けた。焦げたクッキーが、顔を出す。
「おい……」
彼は、驚きの声を上げた。
「これが……姫様の手作り?」
最初の騎士が、クッキーを一口食べると、顔が一瞬にして緩んだ。焦げた部分が口内で溶け出し、妙な甘みが広がる。
「うわぁ……なんというか……個性的だが……」
彼の目が、潤む。
「幸せだ。死んでもいい」
彼の言葉を聞き逃さず、次の騎士が手を伸ばした。鍛え上げられた筋肉質の腕が、震えている。
「次は俺だ!……うぉっ!」
彼もまた口に運ぶと、鼻の下が明らかに伸びた。耳まで真っ赤に染まりながら咀嚼する姿は、まるで恋に落ちた少年のようだった。
次々と手を伸ばす精鋭中の精鋭たち。百戦錬磨の戦士たちが、手作りクッキーに理性を失っていく。
「姫様の真心がこもってる……」
「これは国宝級だ」
「食べるのがもったいないが……」
口々に賛辞を述べながら、ジュノの前で恍惚の表情を浮かべる騎士たち。ジュノは、その様子を見て、嬉しそうに微笑んだ。
「皆さん、喜んでくださって……」
ジュノの声には、純粋な幸福感が滲んでいる。
「作ってよかった」
その様子を隣でみていたエレナは、心の中で独り言ちた。
(あーあ、揃いも揃って、発情期みたいに……レオ様がご覧になられたら……私、知りませんからね……)
鼻の下を伸ばす騎士たちに、胡乱気な目を向けた。
☆
その光景を、遠くから見ていた者がいた。
エレナの危惧通り、レオだった。
彼は、執務室の窓から、中庭を見下ろしていた。騎士たちの、あまりに緩んだ顔と立ち姿を見て――眉がピクリと動いた。
(なぜあんなに笑い合っている? しかもなんだ? 奴らのだらしのない立ち方と顔は……)
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