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君が寝るまで歌うよ
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柊奏良の放ったミサイルは妹の至近距離で爆発し、戦闘続行が困難な程度のダメージを与えた。
「まぁ、いいわ。お姉様。そこの猿としばらくおままごとでも、してなさいな。その身体が保てる間だけ」
妹はお約束な感じのセリフを言って、撤退していった。
***
そして二人は、海岸沿いを南に向かって歩いていた。
「ねぇ、足が痛くなったりしてない?まぁまぁ、二人歩いたよ」
「大丈夫よ。そもそも痛覚は必要な時しか、ONしないから」
「ふぅん。何かあったら言ってよね、絶対だよ」
「そうする」
そろそろ、陽が傾いてきた。
「ここらで、今日はもうテント張ろっか」
「任せるわ」
柊奏良は慣れた感じでテントを張っていく。
「歩兵はテント張れる余裕があれば、その日は、万々歳なのさ。いつも口笛吹いたもんだよ」
「そうなのね」
紬は、寝る時は、専用コンテナ車の棺桶で点滴や血液浄化、記憶を妹達と共有する施術をするのが常だったが、それは言わない。
「設置完了!あ、お腹空かない?固形燃料でお湯を沸かして、レーションを温めよう」
「君の口に合うかな~?まぁ僕の口にも余り合わないけどね!不味いんだ、これ」
「そうなんだ。私が、固形物を摂取できることは知っていたけど、実際に、食べるって言うの?初めての経験、楽しみだわ」
「ふーん、食べるのが、初めてなんて不思議だねー。僕はとても食べるのが好きだよ。君もきっと好きになるさ」
奏良は温めたレーションのシチューをアルミの皿に入れ、紬に渡す。
「さぁ、少し熱いから気を付けてね。後、このパンに付けたりして、食べるんだよ」
「ふぅふぅしてあげようか?嘘、冗談だよ」
「ん?何が冗談」
紬は、シチューを一口、口の中に入れた。
「えと、味覚系の回路がスタートアップしたわ。もう一口食べてみよう」
「なるほど、これが食べるということね。多分、おいしいわ、このシチューというの」
「なんだか、とても安らぐわ。食べるという事は」
「そうだね、食べることは心の栄養にもなるんだよって、隊長が言ってた」と、奏良。
紬は普通の量食べ、奏良はたくさん食べて、レーション付属のインスタントコーヒーを二人飲んで、まったりしていた。
奏良が眠そうにしていると、
「私が今、子守歌、歌ってあげるから、奏良は私が寝る時に歌ってね」
と、紬はそういうと、とても澄んで美しい声で音量を凄く抑えて、歌いはじめた。
それは半ば、戦場伝説の『聴いて生き残った者はいないという』、戦場の歌姫の歌だった。
奏良は、しばらく夢心地で聴いて、ますます眠くなって、もうほとんど眠りそうになった。
「ごめん、もう眠くて我慢できないやや。テントに入ろうよ」
「そうね、省電力モードに代謝を切り替えるわ」
奏良はランタンをテントの中に入れ、火を暗くして、テントの上部に吊るした。
「さて、寝ようか。君が寝るまで、適当に歌歌ってるね」
「うん、ありがとう」
しばらく、紬は、静かに聴いていたようだった。
奏良が紬が寝たかなーと思った頃、紬は寝袋から手を出して、奏良の手を握りに来た。
「えっ!えっ!どうしたの?」
「こうしてたいの。支援コンピューターの出力が下がったからかしら?」
あくまで冷静な紬。
「嫌?」
「そんなこと全然ないよ。うん、君も心細い時もあるはずだもんね」
「心細い?どういう概念かしら?
それよりあなた心拍がとても高いわよ。大丈夫?」
「まぁ、いいわ。お姉様。そこの猿としばらくおままごとでも、してなさいな。その身体が保てる間だけ」
妹はお約束な感じのセリフを言って、撤退していった。
***
そして二人は、海岸沿いを南に向かって歩いていた。
「ねぇ、足が痛くなったりしてない?まぁまぁ、二人歩いたよ」
「大丈夫よ。そもそも痛覚は必要な時しか、ONしないから」
「ふぅん。何かあったら言ってよね、絶対だよ」
「そうする」
そろそろ、陽が傾いてきた。
「ここらで、今日はもうテント張ろっか」
「任せるわ」
柊奏良は慣れた感じでテントを張っていく。
「歩兵はテント張れる余裕があれば、その日は、万々歳なのさ。いつも口笛吹いたもんだよ」
「そうなのね」
紬は、寝る時は、専用コンテナ車の棺桶で点滴や血液浄化、記憶を妹達と共有する施術をするのが常だったが、それは言わない。
「設置完了!あ、お腹空かない?固形燃料でお湯を沸かして、レーションを温めよう」
「君の口に合うかな~?まぁ僕の口にも余り合わないけどね!不味いんだ、これ」
「そうなんだ。私が、固形物を摂取できることは知っていたけど、実際に、食べるって言うの?初めての経験、楽しみだわ」
「ふーん、食べるのが、初めてなんて不思議だねー。僕はとても食べるのが好きだよ。君もきっと好きになるさ」
奏良は温めたレーションのシチューをアルミの皿に入れ、紬に渡す。
「さぁ、少し熱いから気を付けてね。後、このパンに付けたりして、食べるんだよ」
「ふぅふぅしてあげようか?嘘、冗談だよ」
「ん?何が冗談」
紬は、シチューを一口、口の中に入れた。
「えと、味覚系の回路がスタートアップしたわ。もう一口食べてみよう」
「なるほど、これが食べるということね。多分、おいしいわ、このシチューというの」
「なんだか、とても安らぐわ。食べるという事は」
「そうだね、食べることは心の栄養にもなるんだよって、隊長が言ってた」と、奏良。
紬は普通の量食べ、奏良はたくさん食べて、レーション付属のインスタントコーヒーを二人飲んで、まったりしていた。
奏良が眠そうにしていると、
「私が今、子守歌、歌ってあげるから、奏良は私が寝る時に歌ってね」
と、紬はそういうと、とても澄んで美しい声で音量を凄く抑えて、歌いはじめた。
それは半ば、戦場伝説の『聴いて生き残った者はいないという』、戦場の歌姫の歌だった。
奏良は、しばらく夢心地で聴いて、ますます眠くなって、もうほとんど眠りそうになった。
「ごめん、もう眠くて我慢できないやや。テントに入ろうよ」
「そうね、省電力モードに代謝を切り替えるわ」
奏良はランタンをテントの中に入れ、火を暗くして、テントの上部に吊るした。
「さて、寝ようか。君が寝るまで、適当に歌歌ってるね」
「うん、ありがとう」
しばらく、紬は、静かに聴いていたようだった。
奏良が紬が寝たかなーと思った頃、紬は寝袋から手を出して、奏良の手を握りに来た。
「えっ!えっ!どうしたの?」
「こうしてたいの。支援コンピューターの出力が下がったからかしら?」
あくまで冷静な紬。
「嫌?」
「そんなこと全然ないよ。うん、君も心細い時もあるはずだもんね」
「心細い?どういう概念かしら?
それよりあなた心拍がとても高いわよ。大丈夫?」
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