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サキュバス応援団に負けない!

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「すごい、レックス様の長くて、硬くて、太い……」

「そんなの入れられてずぷずぷってされたら、アタシ絶対にいっちゃうよぉ……」

「レックス君。それでずんずんって突いて? レックス君のいっぱい感じさせて?」

「ただの木剣見ながらいやらしいこと言わないでくれる? 集中できないんだけど?」

 三人のサキュバスメイドがはぁはぁと色気のある呼吸をする。だが実のところなんてことはない。レックスが日課としている、庭で行われるただの剣術修行である。木剣が長くて硬くて太いのは当たり前である。

 いつもの色っぽい言葉だけならレックスは無視するのだが、今回は彼女達から注意をそらせないでいた。

 なぜなら今のサキュバスメイド達は、胸の形を狂暴なほどに表すキツめのタンクトップに、危険なほど短いミニスカートだったからである。
 そしてその両手には、それぞれのパーソナルカラーである桃色、水色、赤色のポンポン。

「ていうかさ、3人とも何その恰好。目に毒なんだけど、本当に集中できないんだけど。何? もしかして邪魔しに来てるの? こんな時にも誘惑してくるの?」

「異国から取り寄せました。『ちありーだー』なる格好だそうです。人を応援する時に着るものらしいです」

「いつもと違って、おへそとか脇とか見えてセクシーでしょ? ヴァネッサお姉ちゃんなんて胸の上半球見えているんだよ?」

「この格好で、がんばれがんばれーって応援してあげるね? 今日も鍛錬、頑張ろうね」

 ちなみに、3人とも性奴隷であることを表すものなのかサキュバス特有のものなのか、ピンクのハートを茨で囲った淫紋が下腹部に存在していた。

 しかも危ないローライズなスカートのため、その全貌がくっきりと見えている。チアリーダーのスタイルと併せて、完全に男を殺しに来ている格好である。

「完全にボクを邪魔しに来ているよね? ねぇ、やっぱり堕落させに来てるよね?」

「サキュバスに惑わされるようでは、立派な人にはなれませんよ? ほら、がんばれ♡ がんばれ♡ いけいけレックス様♡」

 アイヴィはその場でぴょんぴょんと飛び跳ね、両手のポンポンと大きめの胸をゆさゆさと揺らす。
 その声はノリノリだが、相変わらず顔は無表情である。

「ねえ、どうやったら無表情でそんな甘ったるい声出せるの? それもサキュバスのなせる技なの?」

「フレー! フレー! お・に・い・ちゃ・ん! 負けるな負けるなお兄ちゃん!」

「いやサフィア、完全にボクを負かそうとしてるよね? 見てないし負けてないが? くっきり見えるパンツに夢中になんてなってないが?」

 片足をリズムよく高く上げ、水色のポンポンを激しく振るサフィア。そのせいで彼女が履いている水色の紐パンツはレックスの視界にばっちりと映ることになっていた。

「あらっ、サフィアって体すっごく柔らかいのね。お姉ちゃん、そんなに足上がらないなぁ」

「ヴァネッサお姉ちゃんにも特有の武器があるでしょ? その大きなおしりとおっぱいとか、魔眼とか」

「うん、そうだね! じゃあ魔眼でレックス君を強制的に頑張らせて――」

「わー! ダメダメ! そこまでやっちゃ駄目だよヴァネッサお姉ちゃん!」

「駄目ですヴァネッサ姉さん。レックス様が自分で頑張らないと意味がありません」

 次はアイヴィとサフィアがヴァネッサの前に立ち、その魔眼を阻止しようとぴょんぴょん飛び跳ねる。
 おかげでレックスへ彼女達の桃のように柔らかそうな殿部でんぶという強烈な光景が襲いかかるのだが……。

「ふん! ふん! ふん! サキュバスなんかに絶対に負けない! 誘惑なんてされない!」

 もはやかしましい三姉妹は無視。レックスは一心不乱に木剣の素振りをしていた。その木剣を振り下ろす勢いは、同年代の少年達と比べて圧倒的に別物。
 いつもの修行と、サキュバスメイド達による体力向上を目指した行為の成果が、目に見える形となって表れていた。

「レックス様、完全に集中されてますね。この状態をいつでも引き出せれば、他の男の子達に絶対負けないと言ってもいいでしょう」

「おぉ~。でもこれだと、アタシ達がいたずら仕掛けても反応ないかもね」

「頑張るのは良いことだよ。私達は暖かくレックス君を見守ろ? そうだ、終わった後のお菓子とか用意しておこうよ」

 三人は顔を見合わせ、集中しているレックスを置いてチアリーダー姿のまま屋敷の中に戻っていく。
 三人がここからいなくなったことなど気づかずに、レックスはただ無我夢中で剣を振り続ける。

 しばらく時間が経った後、レックスは完全にへばっていた。木剣を芝生の上に置き、大の字で寝転がり放心。同年代の子供と比べて、凄まじい回数の素振りをしていたであろう。

 ぼーっと空を眺めていると、突然頬に冷たい感触。その冷たさに驚いて飛び起きたレックスの近くにいたのは、コップと紙袋を持ったサフィアだった。

「お疲れ様、お兄ちゃん。水とドーナッツ持ってきたよ? さ、飲んで食べてたっぷり休んでよ」

「ん、ありがとサフィア。なんだかんだいって気が利くじゃん」

「にひひひひっ、妹サキュバスはお兄ちゃんのこと何でもわかっちゃうのだ~」
 
 コップに入った水を飲み干した後、ドーナッツをゆっくりと味わう。外はサクサク、中はふんわりとした食感で、溶け出す糖分が疲れた体に染みわたる。一度食べればその美味しさに、一個、もう一個と手が伸びていく。
 だが、途中でドーナッツを食するのがピタリと止まった。

「サフィア……水かドーナッツに何か入れた?」

「にひひっ、気づいた? お母様特製の、び・や・く。修行はこれで終わりだと思った? お兄ちゃん、本番はこれからだよ?」

 水色と赤色のオッドアイが愉悦の色に染まる。ニヤリと笑みまで浮かべられ、ぞっとするほどの恐怖がレックスの体を突き抜けた。

「かっ、下半身がぁ……!? 服も、こすれるだけで体がピリピリして……!」

「ちなみにそれ、満足するまでぴゅっぴゅしないと治らないの。力入らないよね? 辛いよね? ムラムラしてくるよね~? 大丈夫、アタシがしっかりと責任取るから」

「お、お前~! このメスガキがぁ~!」

「次はアタシだけが腰の上でがんばれがんばれ~、お兄ちゃんがんばれ~って応援してあげるね? 今日はお姉ちゃんたちに悪いけど、お兄ちゃんはアタシのモノ。にひひひひっ、アタシのテクでたっぷり癒されようね~」

「ああ゛あ゛ぁ~」

 小柄な体が持っているとは思えない力でレックスはサフィアに引っ張られていく。サフィアが目指す場所は、可愛いものづくしな自分の部屋。

 その日、疲れ果てたレックスはサフィアに優しく撫でられながら眠りについたという。そして次に目覚めた時に語った。
「疲れ果ててないが? サフィアが甘えてくるから付き合ってやっただけだが?」と。
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