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第118話 絶対無敵の『ヒーロー』(2) at 1995/7/14
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じゃぶじゃぶ。
『よいしょ。よいしょ』
『ううう……どうしよう……帰れないよぅ……』
じゃぶじゃぶ。
『うーん、ここじゃないのかなー? ねー、ケンター! どのへんだと思う?』
『わかんないよ……! いつ落としたのかもわかんないし……ううう……!』
『こ・ら・っ・ケ・ン・タ・!』
ばしゃばしゃ! と水音を立てて近づいてきたロコは、溢れ出る涙でべちょべちょの僕の顔を両手で掴まえると、目と鼻の先、もう息がかかるほどの距離から眉を吊り上げて睨みつけた。
『あんた、男の子でしょ! いつまでもめそめそしないのっ!』
『だってぇ……』
『大丈夫だって! このロコ様に任せなさいっ!』
思い出すのも恥ずかしい。でも、この時のロコほど頼もしくてカッコいい奴はいなかった。にかっと眩い笑顔を浮かべたロコは、力強く、どん、と自分の胸を叩いて声を張り上げる。
『このロコ様が一緒にいる限り、ケンタの物語はいつもハッピーエンドなんだからねっ!』
そう――。
僕にとってロコは、ピンチの時には駆けつけてくれる絶対無敵の『ヒーロー』だったのだ。
『――だってさ……ケンタはロコの大事な〇〇〇なんだもん!』
……あれ? なんでだろう?
最後の最後で記憶が霞んで思い出せない。
あの時ロコは、僕のことをなんて言ったんだっけ。
――べちぃん!
「そんなことより、だよ!?」
「痛あっ! 痛いってば、ロコ! 僕の背中だからって、気安くバシバシ叩くなって!」
ああ、もう!
あと少しで思い出せそうな気がしてたところだったのに!
そっちと違ってこっちは、数年前の出来事じゃなくって三〇年近く前の記憶なんだからな!
痛む背中をさすりながら、むっつりと顔をしかめて睨みつける僕にロコはもう一度尋ねた。
「いーからいーから。そんなことよりケンタのハナシでしょ。何をこそこそ相談してたのよ?」
「う……。ロ、ロコには関係ないだろ?」
「か、関係なくないでしょ、馬鹿ケンタっ!? ……そうだ! あの時もあたし言ったよね? 『このロコ様がいる限り、ケンタの物語はいつもハッピーエンドなんだ!』って。覚えてる?」
「そ、そうだったっけ? そ、そうかも」
一番肝心な、ロコの最後のセリフがいまだに思い出せない僕は、つい曖昧な返答をしてしまった。
「はぁー……。ま、いいけど? で、なんなのさ? 正直に話した方が楽になれるかもよー!」
大袈裟に溜息をついたかと思うと、ロコはいきなり僕の頭を引っ掴み、小脇に抱えて締め上げた。いわゆるプロレス技のヘッドロックという奴だ。近くを歩いていた人がぎょっとする。
「ほーら! うりうりうりー! こーら、ケンタ! 正直に白状しなさい!」
「い、いだだだだだ!! や、やめ……ろって……ば……!!」
あ、あの……!
む、胸が当たってる……んですががが!
健康診断の時の、鈴白センセイからのアドバイスどおりちゃんとしたブラ買ったんだな、とか言ってられる余裕なんてない。っていうか、それは言っちゃったら絶対ダメな奴。超禁句。
「わ、わかった! 降参! ギブ! ちゃんと話す……からっ! 今すぐ放せえええええ!」
「ふんっ! 最初っからそーやって素直になってれば痛い目みなくて済んだのにねー。で?」
「はあはあ……。くっ……そ……。じ、実は……だな――?」
『よいしょ。よいしょ』
『ううう……どうしよう……帰れないよぅ……』
じゃぶじゃぶ。
『うーん、ここじゃないのかなー? ねー、ケンター! どのへんだと思う?』
『わかんないよ……! いつ落としたのかもわかんないし……ううう……!』
『こ・ら・っ・ケ・ン・タ・!』
ばしゃばしゃ! と水音を立てて近づいてきたロコは、溢れ出る涙でべちょべちょの僕の顔を両手で掴まえると、目と鼻の先、もう息がかかるほどの距離から眉を吊り上げて睨みつけた。
『あんた、男の子でしょ! いつまでもめそめそしないのっ!』
『だってぇ……』
『大丈夫だって! このロコ様に任せなさいっ!』
思い出すのも恥ずかしい。でも、この時のロコほど頼もしくてカッコいい奴はいなかった。にかっと眩い笑顔を浮かべたロコは、力強く、どん、と自分の胸を叩いて声を張り上げる。
『このロコ様が一緒にいる限り、ケンタの物語はいつもハッピーエンドなんだからねっ!』
そう――。
僕にとってロコは、ピンチの時には駆けつけてくれる絶対無敵の『ヒーロー』だったのだ。
『――だってさ……ケンタはロコの大事な〇〇〇なんだもん!』
……あれ? なんでだろう?
最後の最後で記憶が霞んで思い出せない。
あの時ロコは、僕のことをなんて言ったんだっけ。
――べちぃん!
「そんなことより、だよ!?」
「痛あっ! 痛いってば、ロコ! 僕の背中だからって、気安くバシバシ叩くなって!」
ああ、もう!
あと少しで思い出せそうな気がしてたところだったのに!
そっちと違ってこっちは、数年前の出来事じゃなくって三〇年近く前の記憶なんだからな!
痛む背中をさすりながら、むっつりと顔をしかめて睨みつける僕にロコはもう一度尋ねた。
「いーからいーから。そんなことよりケンタのハナシでしょ。何をこそこそ相談してたのよ?」
「う……。ロ、ロコには関係ないだろ?」
「か、関係なくないでしょ、馬鹿ケンタっ!? ……そうだ! あの時もあたし言ったよね? 『このロコ様がいる限り、ケンタの物語はいつもハッピーエンドなんだ!』って。覚えてる?」
「そ、そうだったっけ? そ、そうかも」
一番肝心な、ロコの最後のセリフがいまだに思い出せない僕は、つい曖昧な返答をしてしまった。
「はぁー……。ま、いいけど? で、なんなのさ? 正直に話した方が楽になれるかもよー!」
大袈裟に溜息をついたかと思うと、ロコはいきなり僕の頭を引っ掴み、小脇に抱えて締め上げた。いわゆるプロレス技のヘッドロックという奴だ。近くを歩いていた人がぎょっとする。
「ほーら! うりうりうりー! こーら、ケンタ! 正直に白状しなさい!」
「い、いだだだだだ!! や、やめ……ろって……ば……!!」
あ、あの……!
む、胸が当たってる……んですががが!
健康診断の時の、鈴白センセイからのアドバイスどおりちゃんとしたブラ買ったんだな、とか言ってられる余裕なんてない。っていうか、それは言っちゃったら絶対ダメな奴。超禁句。
「わ、わかった! 降参! ギブ! ちゃんと話す……からっ! 今すぐ放せえええええ!」
「ふんっ! 最初っからそーやって素直になってれば痛い目みなくて済んだのにねー。で?」
「はあはあ……。くっ……そ……。じ、実は……だな――?」
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