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第152話 僕らの『がっしゅく!』三日目(2) at 1995/7/29
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「じゃあ、まずはおさらいからだ」
早三日目にして連携がスムーズになってきた女子チームの見事な腕前でこしらえられた、フレンチトーストにベーコンエッグ、そして熱々のコーヒーというしゃれた朝食に舌鼓を打ちつつ、僕は裏返しにしていたホワイトボードをひっくり返し、早速会議を再開させることにした。
「昨日、みんなが一生懸命アイディアを出してくれたおかげで、形になりそうなものが絞れてきたよね。ハカセの出してくれた『コンピューターの模型を組み立てることで仕組みを理解してもらう』、あれ、なかなかいいと思うんだ。どういうものなのか、親しみをもってもらえそうだよね」
まさか、最初に名前が上がると思っていなかったのか、五十嵐君は珍しく照れたように目をほんの少し丸くすると、かすかに頬を赤らめた。隣の水無月さんが嬉しそうに肩に触れている。
「あと、ツッキーが出してくれた『2進数と16進数で数字当てクイズを出す』、これも面白いと思う。プログラムを理解しているツッキーっぽいアイディアよね。普段見てる数字が、こんな風に書き換えられるのか、ってみんな面白がるんじゃないかな。うん、いいと思うよ!」
今度は攻守逆転だ。あわわ……と水無月さんは慌てまくって目の前でぶんぶん手を振る。たちまち小さくうずくまった水無月さんの頭を優しく五十嵐君が撫でているのが微笑ましい。
「そして、佐倉君! 『タイピングで敵を倒す』、これ、凄いよ! ずっと、上手になろうと練習してるもんね。だからこそ、こういうアイディアが浮かぶんだよ! パソコンのキー配列は特殊だ。それを知って、慣れて、楽しく上達してもらうってのは、もう売れるゲームだよね!」
来るだろうとは予想していたのだろうけれど、ひゃっ! と小さく悲鳴を上げた佐倉君は、僕の立て続けの絶賛に、真っ赤になった頬を押さえてくねくねと身をよじらせていた。女子か。
「……で、僕と副部長のシブチンのアイディアについてなんだけど、これはもうこの部がはじまる前から決まっててね。僕らは『相性診断をするゲーム』を発表したいと思っているんだ」
「それって……占いみたいな奴、ってこと?」
ロコが怪訝そうな顔付きで尋ねてきた。僕はうなずく。
「カンタンに言えばそうだよ、ロコ。……でもね? 僕らの『相性診断』は一味違うんだぜ?」
「どう違うのさ? タロット占いとか、星座占いとか、血液型占いみたいなのがあるじゃん?」
「ずばり、それのいいとこどり、ってとこなんだ、サトチン!」
「そーそー。しかも、僕らならではの工夫も施してある。僕らにしか作れない、僕ら流占いさ」
自信満々にこたえてから、僕と渋田はにっと笑みを交わした。逆に咲都子は、難しそうな顔付きで唇をとがらせ考え込んでいる。想像がつかない、そんな顔だ。まあ、無理もないだろう。
「で、でもね? でもだよ?」
そこで慌てたように口を開いたのは純美子だった。
「そんな凄いアイディア、四つの中からどれを文化祭の出し物にするつもりなの、ケンタ君?」
僕はしばし口をつぐみ、天井を見上げる。
いや、それは単なるポーズにすぎなかった。
「どれにするって? それはもちろん……この全部をやればいいんだよ!」
「ええっ!? ぜ、全部!? 本気なの、ケンタ君!?」
驚いたのは何も純美子だけじゃない。
アイディアを出したメンバーたちも仰天していた。
「さすがにそれは……! じゃあ、ゲームセンターみたいにするってこと、モリケン!?」
「それは違う、シブチン。バラバラにやるだけなら誰でもできる。でも、僕らっぽくない」
「すべてを一つに融合させる……ということなのでしょうか、古ノ森リーダー?」
「そ。融合というよりは……一本の筋道を作ってあげる、ってカンジかな?」
僕はそこで、純美子に意味ありげな視線を送る。
すると、じき表情にひらめきが宿り、ぱぁっと大輪の花がさきほころぶように笑顔になった。
「そっか、そういうことなんだ……! そういうことなんだよね、ケンタ君!!」
「さすが、スミちゃん! きっとわかってくれると思った! あの方法でいこうと思うんだ!」
早三日目にして連携がスムーズになってきた女子チームの見事な腕前でこしらえられた、フレンチトーストにベーコンエッグ、そして熱々のコーヒーというしゃれた朝食に舌鼓を打ちつつ、僕は裏返しにしていたホワイトボードをひっくり返し、早速会議を再開させることにした。
「昨日、みんなが一生懸命アイディアを出してくれたおかげで、形になりそうなものが絞れてきたよね。ハカセの出してくれた『コンピューターの模型を組み立てることで仕組みを理解してもらう』、あれ、なかなかいいと思うんだ。どういうものなのか、親しみをもってもらえそうだよね」
まさか、最初に名前が上がると思っていなかったのか、五十嵐君は珍しく照れたように目をほんの少し丸くすると、かすかに頬を赤らめた。隣の水無月さんが嬉しそうに肩に触れている。
「あと、ツッキーが出してくれた『2進数と16進数で数字当てクイズを出す』、これも面白いと思う。プログラムを理解しているツッキーっぽいアイディアよね。普段見てる数字が、こんな風に書き換えられるのか、ってみんな面白がるんじゃないかな。うん、いいと思うよ!」
今度は攻守逆転だ。あわわ……と水無月さんは慌てまくって目の前でぶんぶん手を振る。たちまち小さくうずくまった水無月さんの頭を優しく五十嵐君が撫でているのが微笑ましい。
「そして、佐倉君! 『タイピングで敵を倒す』、これ、凄いよ! ずっと、上手になろうと練習してるもんね。だからこそ、こういうアイディアが浮かぶんだよ! パソコンのキー配列は特殊だ。それを知って、慣れて、楽しく上達してもらうってのは、もう売れるゲームだよね!」
来るだろうとは予想していたのだろうけれど、ひゃっ! と小さく悲鳴を上げた佐倉君は、僕の立て続けの絶賛に、真っ赤になった頬を押さえてくねくねと身をよじらせていた。女子か。
「……で、僕と副部長のシブチンのアイディアについてなんだけど、これはもうこの部がはじまる前から決まっててね。僕らは『相性診断をするゲーム』を発表したいと思っているんだ」
「それって……占いみたいな奴、ってこと?」
ロコが怪訝そうな顔付きで尋ねてきた。僕はうなずく。
「カンタンに言えばそうだよ、ロコ。……でもね? 僕らの『相性診断』は一味違うんだぜ?」
「どう違うのさ? タロット占いとか、星座占いとか、血液型占いみたいなのがあるじゃん?」
「ずばり、それのいいとこどり、ってとこなんだ、サトチン!」
「そーそー。しかも、僕らならではの工夫も施してある。僕らにしか作れない、僕ら流占いさ」
自信満々にこたえてから、僕と渋田はにっと笑みを交わした。逆に咲都子は、難しそうな顔付きで唇をとがらせ考え込んでいる。想像がつかない、そんな顔だ。まあ、無理もないだろう。
「で、でもね? でもだよ?」
そこで慌てたように口を開いたのは純美子だった。
「そんな凄いアイディア、四つの中からどれを文化祭の出し物にするつもりなの、ケンタ君?」
僕はしばし口をつぐみ、天井を見上げる。
いや、それは単なるポーズにすぎなかった。
「どれにするって? それはもちろん……この全部をやればいいんだよ!」
「ええっ!? ぜ、全部!? 本気なの、ケンタ君!?」
驚いたのは何も純美子だけじゃない。
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「さすがにそれは……! じゃあ、ゲームセンターみたいにするってこと、モリケン!?」
「それは違う、シブチン。バラバラにやるだけなら誰でもできる。でも、僕らっぽくない」
「すべてを一つに融合させる……ということなのでしょうか、古ノ森リーダー?」
「そ。融合というよりは……一本の筋道を作ってあげる、ってカンジかな?」
僕はそこで、純美子に意味ありげな視線を送る。
すると、じき表情にひらめきが宿り、ぱぁっと大輪の花がさきほころぶように笑顔になった。
「そっか、そういうことなんだ……! そういうことなんだよね、ケンタ君!!」
「さすが、スミちゃん! きっとわかってくれると思った! あの方法でいこうと思うんだ!」
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