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第222話 『西中まつり』(9) at 1995/9/15
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「おい、ツッキー! ロコ! 二人とも、大丈夫――」
「もう一回言ってみなよ! さっきのセリフを! それとも代わりに言ってあげよっか!?」
目の前の相手に、掴みかからんばかりに歯をむき喰ってかかっているのはロコだった。
物凄い剣幕を浴びせられながらも、どこか余裕ぶった表情の女子たちに見覚えはなかったが、このまま放っておけばどちらかが怪我をするかもしれない。僕はとっさに中間地点めがけて割って入る。
「――!? どいて! そこどけってば、ケンタ!!」
「なにがあったのかさっぱりだけど! やめろ、ロコ!」
「何もしらないくせに……! 余計な、邪魔すんな、って、言ってん、の! とめんなっ!」
「が――っ!?」
つん――と鼻の奥に鋭い痛みが走った。
ロコの怒りに任せて振り回した右拳が、僕の鼻っ柱にまともにヒットする。けど、ロコだって当てるつもりはなかったはずだ。その証拠にむつりと一文字に引き結んだままの唇がわずかに開きかけたが――さらに強く引き結ぶと正面を睨みつけた。
「えっと……みんなの人気者の上之原さん……だったっけ? あんたにだって関係ないじゃん」
「この――っ、関係なくなんてないっ!」
会って話したことはなくても、この学校でロコを知らない奴なんていない。わざと逆撫でしているのだろう。抱きかかえた僕の腕がなければ、今頃ロコは二人に飛びかかっていたはずだ。
「あんたね! さっき自分が何を言ったのかホントにわかってんの!? あんなひどい――!」
「はぁ? こんなの、一年の頃からずっとだけど? ただの挨拶じゃん」
そこでロコは、はっ、とカラダをこわばらせ、恐る恐る水無月さんに尋ねてみる。
「……ねぇ、ツッキー? もしかして、今この子たちが言ったことって――」
「そ、そうです……よ? ロ、ロコちゃん……も、もういいですよ。だ、だってあたしは――」
「よくないっ!」
だん!
とイキオイよくロコが足を踏みしめ、集まっていた生徒たちは身を震わせた。
「『あれ? あんた、まだ生きてたんだ?』――それが、いつもの、ただの挨拶だって!?」
ぶるり――ロコの全身に電流のように怒りの感情が駆け抜け、思わず痺れたように僕の腕がゆるんだ。同時に、僕のココロにもその残酷で無慈悲で鋭利な槍のような言葉は、激しい衝撃を与えた。だが、ここでこの腕を放しでもしたら、きっと――僕は感情を捨てチカラを込める。
「うっざ……。こっちだって心配してるから言ってあげてんじゃん――『友だち』なんだし?」
「あんた……っ! そんなの、友だちなんかじゃない! あんたが使っていい言葉じゃない!」
「つーかさ……あんたこそ何様のつもり?」
散々激しい言葉を浴びせられて、かちん、と来たのだろう。それまでへらへら笑っていた二人の態度が、露骨に嫌な感じに変化する。足止めを喰らっているロコを嘲るように前に出た。
「さっきの体操部の発表、あれ、なんなの? 人気者だかなんだか知らないけれど、一人だけ振り付けミスってたじゃん? いーよねー、センセーに気に入られてると、下手でもいいって」
「――!? あ、あれは……っ!」
え――!?
それ、どういうことだ!?
「みんなに邪魔扱いされてて超ウケたしー。足も踏まれてたよねー。ははっ、マジでいい気味」
ぐ――とロコの喉が詰まった。
だが、なぜかロコは何も言い返そうとはしない。
「どーせ、そこの可哀想な『ブッキー』とも、自分の人気稼ぎのために友だちごっこしてあげてるんでしょ? はいはい、わかってるって。だって――あたしたちだってそうだったんだし」
「――っ!!」
次の瞬間――。
挑発的に顔を突き出していた一人のにやけた顔に、ロコの額が思いきり叩きこまれて――!
「もう一回言ってみなよ! さっきのセリフを! それとも代わりに言ってあげよっか!?」
目の前の相手に、掴みかからんばかりに歯をむき喰ってかかっているのはロコだった。
物凄い剣幕を浴びせられながらも、どこか余裕ぶった表情の女子たちに見覚えはなかったが、このまま放っておけばどちらかが怪我をするかもしれない。僕はとっさに中間地点めがけて割って入る。
「――!? どいて! そこどけってば、ケンタ!!」
「なにがあったのかさっぱりだけど! やめろ、ロコ!」
「何もしらないくせに……! 余計な、邪魔すんな、って、言ってん、の! とめんなっ!」
「が――っ!?」
つん――と鼻の奥に鋭い痛みが走った。
ロコの怒りに任せて振り回した右拳が、僕の鼻っ柱にまともにヒットする。けど、ロコだって当てるつもりはなかったはずだ。その証拠にむつりと一文字に引き結んだままの唇がわずかに開きかけたが――さらに強く引き結ぶと正面を睨みつけた。
「えっと……みんなの人気者の上之原さん……だったっけ? あんたにだって関係ないじゃん」
「この――っ、関係なくなんてないっ!」
会って話したことはなくても、この学校でロコを知らない奴なんていない。わざと逆撫でしているのだろう。抱きかかえた僕の腕がなければ、今頃ロコは二人に飛びかかっていたはずだ。
「あんたね! さっき自分が何を言ったのかホントにわかってんの!? あんなひどい――!」
「はぁ? こんなの、一年の頃からずっとだけど? ただの挨拶じゃん」
そこでロコは、はっ、とカラダをこわばらせ、恐る恐る水無月さんに尋ねてみる。
「……ねぇ、ツッキー? もしかして、今この子たちが言ったことって――」
「そ、そうです……よ? ロ、ロコちゃん……も、もういいですよ。だ、だってあたしは――」
「よくないっ!」
だん!
とイキオイよくロコが足を踏みしめ、集まっていた生徒たちは身を震わせた。
「『あれ? あんた、まだ生きてたんだ?』――それが、いつもの、ただの挨拶だって!?」
ぶるり――ロコの全身に電流のように怒りの感情が駆け抜け、思わず痺れたように僕の腕がゆるんだ。同時に、僕のココロにもその残酷で無慈悲で鋭利な槍のような言葉は、激しい衝撃を与えた。だが、ここでこの腕を放しでもしたら、きっと――僕は感情を捨てチカラを込める。
「うっざ……。こっちだって心配してるから言ってあげてんじゃん――『友だち』なんだし?」
「あんた……っ! そんなの、友だちなんかじゃない! あんたが使っていい言葉じゃない!」
「つーかさ……あんたこそ何様のつもり?」
散々激しい言葉を浴びせられて、かちん、と来たのだろう。それまでへらへら笑っていた二人の態度が、露骨に嫌な感じに変化する。足止めを喰らっているロコを嘲るように前に出た。
「さっきの体操部の発表、あれ、なんなの? 人気者だかなんだか知らないけれど、一人だけ振り付けミスってたじゃん? いーよねー、センセーに気に入られてると、下手でもいいって」
「――!? あ、あれは……っ!」
え――!?
それ、どういうことだ!?
「みんなに邪魔扱いされてて超ウケたしー。足も踏まれてたよねー。ははっ、マジでいい気味」
ぐ――とロコの喉が詰まった。
だが、なぜかロコは何も言い返そうとはしない。
「どーせ、そこの可哀想な『ブッキー』とも、自分の人気稼ぎのために友だちごっこしてあげてるんでしょ? はいはい、わかってるって。だって――あたしたちだってそうだったんだし」
「――っ!!」
次の瞬間――。
挑発的に顔を突き出していた一人のにやけた顔に、ロコの額が思いきり叩きこまれて――!
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