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第233話 『西中まつり』アフター(2) at 1995/9/15
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現在の時刻は、十七:〇〇。
あと一時間もすれば、本格的に夜がやって来る。
遠く西に目を向ければ、空と大地を分かつ丹沢山系に沈みゆく橙色の夕陽が見えるだろう。
「ふぅー……なんとか終わったな」
「だね」
僕ら『電算論理研究部』のメンバーは、少数精鋭の本領発揮というところで、五十嵐君考案の組み立て式壁板パネルを手際よく取り外し、廃棄するものは焼却炉まで男四人チカラを合わせて運んでおいた。明日の土曜日はお休みで連休になるが、片づけに出てくる部もあるようだ。
充実感と気だるさに、しばしまったりと窓辺で夕陽を眺めていた僕らの下に――。
「……よう。さっきは世話んなったな」
「おや、君たちも片づけ終わったんだね」
「あ……。ダッチにムロ……。早いな、もう来たのか」
ある意味、この二人がセットで並んでいる姿を見るのは珍しいことなのかもしれない。
「この後は、後夜祭が控えているからね。早めに報告した方がいいかと思ってさ」
「って、ムロ、そんなに急がなくても――」
「あぁん? 俺様が急かしたんだよ。悪ぃか?」
あいかわらずの喧嘩腰だが、いつも影のように寄り添っている吉川がいないだけマシだ。
「勝負は勝負だからな。先延ばししようが何をしようが、結果は変わらねえ。だったら、早めにわかっちまった方がきれいさっぱりすっきりするだろ? それにムロは学級委員なんだしよ」
「まあ、そういうことさ。『西中まつり』の実行委員は全クラスの学級委員が兼ねてるからね」
そう言いながら、室生はスラックスのポケットから折り畳まれていた紙を取り出した。
「――ここに、今日のすべての出し物に参加したお客さんの集計数が書かれてる。念のために言っておくけれど、これを書いたのは僕じゃない。不正をしたと思われるのは心外だからね」
それから開こうとして――一旦取り止めてこう付け加えた。
「もちろん、結果に納得できなければ、生徒会室で保管しているアンケート用紙を自分たちで再集計してくれてもいいよ。でも、さっきダッチが言ったとおりだ。結果は結果。変わらない」
「僕は信じるよ」
「まあ……ムロが言うんじゃ信じてやってもいいぜ。こいつならハナシは別だけどな!」
なんでそんなに僕へのヘイト値だけ異常に高いんだよ、こいつは……。
「じゃあ、読み上げるよ――」
ぴらり――。
「アンケート回収数が一番多かったのは……サッカー部だね。集客数は、九十人だ――」
「よっしゃ!!」
まあ、なんともあっけないもんだ。
ひとりガッツポーズを決める小山田を、僕と室生、そして『電算論理研究部』のメンバーが見つめている。まるで敵チームにゴールを決められたサポーターよろしくの構図だ。
が――。
「ただし、満足度が一番低かったのもサッカー部だった。いくつか読み上げてみようか――」
と室生が続けると、ぴたり、と動きを止めた小山田の顔色がたちまち悪くなる。
「『友だちに無理矢理連れてこられた』、『急かされてばかりで楽しめなかった』、『下級生が怒られていてかわいそうだった』、『真似っこのゲームで出来が悪かった』……なるほどね」
「お、おいっ! 勝負はあくまで『集客数』だろうが!」
「うん、そうだね。ダッチの言うとおりさ。けど……満足度一位がどこか、聞きたいかい?」
周囲の視線にさらされて、そう尋ねられたら小山田はもううなずかざるを得なくなる。
「来場のお客さんを一番満足させられたのは……『電算論理研究部』、ダントツの一位だよ」
あと一時間もすれば、本格的に夜がやって来る。
遠く西に目を向ければ、空と大地を分かつ丹沢山系に沈みゆく橙色の夕陽が見えるだろう。
「ふぅー……なんとか終わったな」
「だね」
僕ら『電算論理研究部』のメンバーは、少数精鋭の本領発揮というところで、五十嵐君考案の組み立て式壁板パネルを手際よく取り外し、廃棄するものは焼却炉まで男四人チカラを合わせて運んでおいた。明日の土曜日はお休みで連休になるが、片づけに出てくる部もあるようだ。
充実感と気だるさに、しばしまったりと窓辺で夕陽を眺めていた僕らの下に――。
「……よう。さっきは世話んなったな」
「おや、君たちも片づけ終わったんだね」
「あ……。ダッチにムロ……。早いな、もう来たのか」
ある意味、この二人がセットで並んでいる姿を見るのは珍しいことなのかもしれない。
「この後は、後夜祭が控えているからね。早めに報告した方がいいかと思ってさ」
「って、ムロ、そんなに急がなくても――」
「あぁん? 俺様が急かしたんだよ。悪ぃか?」
あいかわらずの喧嘩腰だが、いつも影のように寄り添っている吉川がいないだけマシだ。
「勝負は勝負だからな。先延ばししようが何をしようが、結果は変わらねえ。だったら、早めにわかっちまった方がきれいさっぱりすっきりするだろ? それにムロは学級委員なんだしよ」
「まあ、そういうことさ。『西中まつり』の実行委員は全クラスの学級委員が兼ねてるからね」
そう言いながら、室生はスラックスのポケットから折り畳まれていた紙を取り出した。
「――ここに、今日のすべての出し物に参加したお客さんの集計数が書かれてる。念のために言っておくけれど、これを書いたのは僕じゃない。不正をしたと思われるのは心外だからね」
それから開こうとして――一旦取り止めてこう付け加えた。
「もちろん、結果に納得できなければ、生徒会室で保管しているアンケート用紙を自分たちで再集計してくれてもいいよ。でも、さっきダッチが言ったとおりだ。結果は結果。変わらない」
「僕は信じるよ」
「まあ……ムロが言うんじゃ信じてやってもいいぜ。こいつならハナシは別だけどな!」
なんでそんなに僕へのヘイト値だけ異常に高いんだよ、こいつは……。
「じゃあ、読み上げるよ――」
ぴらり――。
「アンケート回収数が一番多かったのは……サッカー部だね。集客数は、九十人だ――」
「よっしゃ!!」
まあ、なんともあっけないもんだ。
ひとりガッツポーズを決める小山田を、僕と室生、そして『電算論理研究部』のメンバーが見つめている。まるで敵チームにゴールを決められたサポーターよろしくの構図だ。
が――。
「ただし、満足度が一番低かったのもサッカー部だった。いくつか読み上げてみようか――」
と室生が続けると、ぴたり、と動きを止めた小山田の顔色がたちまち悪くなる。
「『友だちに無理矢理連れてこられた』、『急かされてばかりで楽しめなかった』、『下級生が怒られていてかわいそうだった』、『真似っこのゲームで出来が悪かった』……なるほどね」
「お、おいっ! 勝負はあくまで『集客数』だろうが!」
「うん、そうだね。ダッチの言うとおりさ。けど……満足度一位がどこか、聞きたいかい?」
周囲の視線にさらされて、そう尋ねられたら小山田はもううなずかざるを得なくなる。
「来場のお客さんを一番満足させられたのは……『電算論理研究部』、ダントツの一位だよ」
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