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第253話 中二女子からの恋愛指南 at 1995/10/4
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「なんかさ……? 僕たち、だんだんバカップルとしてクラスのみんなに認知されつつない?」
「あらあら? 今頃気づいたんだー、モリケン! 超ウケる!」
「おぅいっ! 武闘派喧嘩ップルに笑われたくないんだが!?」
なんだか唐突にそんな気がしたのだ。はじめのうちこそ、ああ、また地味陰キャ男子がはしゃいじゃってうるせーなー! という空気感だったものが、まーたやってるよあの二人ホントお熱いことで! という半ばあきれつつも冷やかされ生暖かい目で見守られているフンイキに。
小馬鹿にしたような咲都子のセリフに噛みつくと、ケラケラ笑ってこう言われてしまった。
「ウチとじゃ年季が違うのよ、年季が。……まあでも? ホントにあんたたち二人が付き合ってるだなんて思ってる奴はいないんじゃない? 学校、教室限定の仲良し、っているじゃん?」
「なるほど、そういうことか」
ビジネスカップルというかファッションカップルというか、学校では仲が良さそうなのに、聞いてみると特段深い仲というわけでもない、ということは案外よくあることだ。気は合うのだろうし、互いに嫌いなわけではないけれど、かといって付き合っているのかというと違う。
しかし、『男女間の友情は成立するか?』という難問に対しいつも『ノー』と答える僕は、そんな『限定カップル』なんてどうせいつか付き合うじゃん時間の問題じゃん、と思うのだ。
と、妙に素直に納得した僕を見て、咲都子はおもしろがるような含み笑いをして言う。
「おや? おやおやおや? それはそれで寂しいとか悔しいとか言うと思ってたんだけど?」
「まあね。でも、オープンにして、スミちゃんが困るような事態になるのだけは嫌だからさ」
「はぁ? 困るわけないでしょ? むしろ、自分からガンガン惚気にいくタイプよ、スミは」
「………………そうだった」
本人には一切悪気がないのがまた怖い。純美子がどちらかというと控えめで引っ込み思案な性格だったことに感謝するよりない。
そこで、少し焦れたように咲都子はこう切り出した。
「と・こ・ろ・で。用件はそれだけ? 他になにか聞きたいことがあったんじゃないの?」
「……さすが咲都子、ハナシが早い。い、いや、実は、さ……」
「なによ、まどろっこしいわね? アレでしょ? もうじきスミの誕生日だから相談でしょ?」
「お、おう。そうです……」
そう。純美子の誕生日は、十月二十六日なのだ。
たかがそんなことで遠回しな、と言わんばかりに咲都子は呆れて首を左右に振った。
「フツーにデートしてプレゼントあげたらいいじゃない。なにも難しいことないじゃんか?」
「その『フツー』ってのが難しいんですけど……」
よく考えたら、咲都子は別にとりわけ陰キャでもなければ恋愛慣れしてないわけでもない。
それは、今まで何人とも付き合ったことがある、という意味ではなくて、恋や愛だといった感情を過剰に神聖視しすぎていない、という意味でだ。渋田はああ見えて言いたいことははっきりと言うタイプだし、変にうじうじせず、極めて単じゅ――じゃなかったストレートな奴だ。
四〇歳のおっさんが中学生に恋愛指南を受けるのもどうかと思うのだけれど、この際余計なプライドは残らず捨てよう。歯切れの悪い僕の返答に、咲都子は肩をすくめてこう付け加えた。
「あのねえ……。別に、変に凝ったり、無理して高い物プレゼントすることないでしょうが。無理して背伸びして恰好つけても、スミは勘がいいからすぐに気づくわよ? それにさ――?」
「……それに?」
「どうせ高い物買ってくれるんだったら、一緒に行って自分で好きなのを選ばせてもらった方が何倍もありがたいんだけど? 身に着ける物までセンスが一緒、だなんてありえないじゃん」
「うっ……」
これまで指摘されたイマイチな点を、一周目の『過去』ですべてやったんですがそれは。
三か月で別れた原因、結局そこなのかなぁ。
うーん……。
「ま、せいぜいがんばんなさいよ、部長さん」
「………………う、うっす。勉強になったッス」
「あらあら? 今頃気づいたんだー、モリケン! 超ウケる!」
「おぅいっ! 武闘派喧嘩ップルに笑われたくないんだが!?」
なんだか唐突にそんな気がしたのだ。はじめのうちこそ、ああ、また地味陰キャ男子がはしゃいじゃってうるせーなー! という空気感だったものが、まーたやってるよあの二人ホントお熱いことで! という半ばあきれつつも冷やかされ生暖かい目で見守られているフンイキに。
小馬鹿にしたような咲都子のセリフに噛みつくと、ケラケラ笑ってこう言われてしまった。
「ウチとじゃ年季が違うのよ、年季が。……まあでも? ホントにあんたたち二人が付き合ってるだなんて思ってる奴はいないんじゃない? 学校、教室限定の仲良し、っているじゃん?」
「なるほど、そういうことか」
ビジネスカップルというかファッションカップルというか、学校では仲が良さそうなのに、聞いてみると特段深い仲というわけでもない、ということは案外よくあることだ。気は合うのだろうし、互いに嫌いなわけではないけれど、かといって付き合っているのかというと違う。
しかし、『男女間の友情は成立するか?』という難問に対しいつも『ノー』と答える僕は、そんな『限定カップル』なんてどうせいつか付き合うじゃん時間の問題じゃん、と思うのだ。
と、妙に素直に納得した僕を見て、咲都子はおもしろがるような含み笑いをして言う。
「おや? おやおやおや? それはそれで寂しいとか悔しいとか言うと思ってたんだけど?」
「まあね。でも、オープンにして、スミちゃんが困るような事態になるのだけは嫌だからさ」
「はぁ? 困るわけないでしょ? むしろ、自分からガンガン惚気にいくタイプよ、スミは」
「………………そうだった」
本人には一切悪気がないのがまた怖い。純美子がどちらかというと控えめで引っ込み思案な性格だったことに感謝するよりない。
そこで、少し焦れたように咲都子はこう切り出した。
「と・こ・ろ・で。用件はそれだけ? 他になにか聞きたいことがあったんじゃないの?」
「……さすが咲都子、ハナシが早い。い、いや、実は、さ……」
「なによ、まどろっこしいわね? アレでしょ? もうじきスミの誕生日だから相談でしょ?」
「お、おう。そうです……」
そう。純美子の誕生日は、十月二十六日なのだ。
たかがそんなことで遠回しな、と言わんばかりに咲都子は呆れて首を左右に振った。
「フツーにデートしてプレゼントあげたらいいじゃない。なにも難しいことないじゃんか?」
「その『フツー』ってのが難しいんですけど……」
よく考えたら、咲都子は別にとりわけ陰キャでもなければ恋愛慣れしてないわけでもない。
それは、今まで何人とも付き合ったことがある、という意味ではなくて、恋や愛だといった感情を過剰に神聖視しすぎていない、という意味でだ。渋田はああ見えて言いたいことははっきりと言うタイプだし、変にうじうじせず、極めて単じゅ――じゃなかったストレートな奴だ。
四〇歳のおっさんが中学生に恋愛指南を受けるのもどうかと思うのだけれど、この際余計なプライドは残らず捨てよう。歯切れの悪い僕の返答に、咲都子は肩をすくめてこう付け加えた。
「あのねえ……。別に、変に凝ったり、無理して高い物プレゼントすることないでしょうが。無理して背伸びして恰好つけても、スミは勘がいいからすぐに気づくわよ? それにさ――?」
「……それに?」
「どうせ高い物買ってくれるんだったら、一緒に行って自分で好きなのを選ばせてもらった方が何倍もありがたいんだけど? 身に着ける物までセンスが一緒、だなんてありえないじゃん」
「うっ……」
これまで指摘されたイマイチな点を、一周目の『過去』ですべてやったんですがそれは。
三か月で別れた原因、結局そこなのかなぁ。
うーん……。
「ま、せいぜいがんばんなさいよ、部長さん」
「………………う、うっす。勉強になったッス」
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