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第336話 球技大会・最終戦(10) at 1995/11/10
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(お、おい! 一体どういうつもりなんだよ、ダッチ!!)
(う、うるせぇ! もらえねぇモンはもらえねぇんだ! 黙って受け取れ!)
なんの因果か明らかに場違いな場所に立たされてしまい弱りまくった僕は、隣に立っている小山田のすまし顔に向けて、極力潜めた囁き声の最大音量でクレームを入れるがスルーされる。
(お情けのつもりだったらいらないぞ!? 僕は真剣に――!)
(なんで俺様がてめぇごときにお情けかけてやる必要があんだよ!? この――!)
ぴぃー! ――ごん、ごん。
『ああ、申し訳ない。どうもマイクの調子がおかしいようだ――な?』
さすがに見かねたのか、わざとらしくマイクをカブトムシの幼虫のごときぶっとい指で突いた梅田センセイが、朝礼台の上から僕と小山田をむっつりと睨みつけてきた。なので、黙る。
が、小山田はなおもこう続けた。
(おい――おい、ナプキン王子。てめぇサッカー部に入れよ)
(な――なんでそうなるんだよ!? 僕には向いてないって)
(最後のあのフェイント、俺様はあんなの見たことねぇ。指示出しも、ポジション取りもいい)
(あ、あんなの偶然だってば! たまたまだよ、たまたま!)
(たまたまだろうがなぁ――!?)
ぴぃー! ――ごん! ごん! ごん!
梅センもそろそろキレる寸前のようだ。
梅センの仏の顔には二回しかチャンスの表情がないらしい。
『調子が悪いようだから、競技ごとの表彰にする。男子サッカー最優秀チーム、二年十一組!』
とたんに、会場が破裂したかのようなイキオイで一斉に声援が湧きたった。もちろん、一番の盛り上がりを見せているのはウチのクラスだ。陽キャも陰キャも、イケメンもフツメンも、ギャルも地味子も、みんな手を取り合って大歓声を上げていた。
その中には――。
「お、おい、ダッチ! カエル……カエルが戻ってきてるよ! よかったぁ……元気そうだ!」
「あ? あ、ああ、いるみてぇだな」
「もっと喜べって……ホントは誰よりもうれしいくせにさ?」
「う、うるせぇっ! 余計なこというな!」
頭頂部まで真っ赤になった小山田はそう言って僕の頭を小脇に抱える。ヘッドロックの体勢で、いたた! いたた! と悲鳴を上げながらそっと盗み見ると――あははっ、よかったな。
『次に――受賞者の辞退および推薦によって、男子サッカー最優秀選手、古ノ森健太!』
てっきりブーイングのひとつでも飛ぶかと思っていたけれど、予想外に大きな歓声と響き渡る口笛、そして打ち鳴らされる拍手に、僕はうっかり照れてしまった。晴れ舞台に立たされるとどうしたらいいかさっぱりわからない。それこそが陰キャたるゆえんである。
小山田と僕は、深々と礼をしてそれぞれ梅田センセイから賞状を受け取る。
「へへっ。これで室生、俺様、てめぇで仲良く一勝ずつってわけだ。次こそ決着をつけるぞ!」
「うへぇ……まだやる気なのかよ……。ホント、勝負ごと好きだなぁ」
そうぶつくさ言いながらも二人して朝礼台を降りていく。でも以前とは違って、小山田との競い合いがちょっぴり嫌ではなくなっていたのが不思議だ。
『続いて――あとは順に発表しよう。まずは男子バスケットボール最優秀チーム、二年九組!』
お互い、子供じみたちょっかいを出し合っているところに梅田センセイの声が届く。
『そして、男子バスケットボール最優秀選手――二年十一組、室生秀一!』
その名を聴いた僕たちは、同時にぎょっとした表情を浮かべて後ろを振り返ったのだった。
(う、うるせぇ! もらえねぇモンはもらえねぇんだ! 黙って受け取れ!)
なんの因果か明らかに場違いな場所に立たされてしまい弱りまくった僕は、隣に立っている小山田のすまし顔に向けて、極力潜めた囁き声の最大音量でクレームを入れるがスルーされる。
(お情けのつもりだったらいらないぞ!? 僕は真剣に――!)
(なんで俺様がてめぇごときにお情けかけてやる必要があんだよ!? この――!)
ぴぃー! ――ごん、ごん。
『ああ、申し訳ない。どうもマイクの調子がおかしいようだ――な?』
さすがに見かねたのか、わざとらしくマイクをカブトムシの幼虫のごときぶっとい指で突いた梅田センセイが、朝礼台の上から僕と小山田をむっつりと睨みつけてきた。なので、黙る。
が、小山田はなおもこう続けた。
(おい――おい、ナプキン王子。てめぇサッカー部に入れよ)
(な――なんでそうなるんだよ!? 僕には向いてないって)
(最後のあのフェイント、俺様はあんなの見たことねぇ。指示出しも、ポジション取りもいい)
(あ、あんなの偶然だってば! たまたまだよ、たまたま!)
(たまたまだろうがなぁ――!?)
ぴぃー! ――ごん! ごん! ごん!
梅センもそろそろキレる寸前のようだ。
梅センの仏の顔には二回しかチャンスの表情がないらしい。
『調子が悪いようだから、競技ごとの表彰にする。男子サッカー最優秀チーム、二年十一組!』
とたんに、会場が破裂したかのようなイキオイで一斉に声援が湧きたった。もちろん、一番の盛り上がりを見せているのはウチのクラスだ。陽キャも陰キャも、イケメンもフツメンも、ギャルも地味子も、みんな手を取り合って大歓声を上げていた。
その中には――。
「お、おい、ダッチ! カエル……カエルが戻ってきてるよ! よかったぁ……元気そうだ!」
「あ? あ、ああ、いるみてぇだな」
「もっと喜べって……ホントは誰よりもうれしいくせにさ?」
「う、うるせぇっ! 余計なこというな!」
頭頂部まで真っ赤になった小山田はそう言って僕の頭を小脇に抱える。ヘッドロックの体勢で、いたた! いたた! と悲鳴を上げながらそっと盗み見ると――あははっ、よかったな。
『次に――受賞者の辞退および推薦によって、男子サッカー最優秀選手、古ノ森健太!』
てっきりブーイングのひとつでも飛ぶかと思っていたけれど、予想外に大きな歓声と響き渡る口笛、そして打ち鳴らされる拍手に、僕はうっかり照れてしまった。晴れ舞台に立たされるとどうしたらいいかさっぱりわからない。それこそが陰キャたるゆえんである。
小山田と僕は、深々と礼をしてそれぞれ梅田センセイから賞状を受け取る。
「へへっ。これで室生、俺様、てめぇで仲良く一勝ずつってわけだ。次こそ決着をつけるぞ!」
「うへぇ……まだやる気なのかよ……。ホント、勝負ごと好きだなぁ」
そうぶつくさ言いながらも二人して朝礼台を降りていく。でも以前とは違って、小山田との競い合いがちょっぴり嫌ではなくなっていたのが不思議だ。
『続いて――あとは順に発表しよう。まずは男子バスケットボール最優秀チーム、二年九組!』
お互い、子供じみたちょっかいを出し合っているところに梅田センセイの声が届く。
『そして、男子バスケットボール最優秀選手――二年十一組、室生秀一!』
その名を聴いた僕たちは、同時にぎょっとした表情を浮かべて後ろを振り返ったのだった。
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