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第335話 球技大会・最終戦(9) at 1995/11/10
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『みなさん、お疲れ様でした。これより「西中球技大会」の閉会式および表彰式を行います!』
長かった球技大会も、ようやくこれで終わりだ。
僕らは疲れ切ったカラダを引きずるようにして夕暮れの校庭に整列していた。朝礼台にはワイヤレスマイクを握る梅田センセイが立っている。もう片方の手に握るのは表彰状だ。
『これより、各競技の優勝クラスと最優秀選手を発表していきます! 呼ばれた者は前へ!』
そのタイミングで、僕の周囲にざわめきがさざ波のように起こった。
なにごとかと振り返ると――そこにいたのは意外にも小山田だった。
「……おい、モリ――ナプキン王子? てめぇに聞きたいことがある」
「こ、このタイミングで!? もうすぐ呼ばれるってのに……そ、それに、呼び名、戻ってない?」
「いいから聞け! そして答えろ!」
小山田は極力目立たないようにしているつもりなのか、珍しく声を潜めている。
「てめぇ……なんであの時、自分でシュート決めなかった? 俺様にパスしなくたって、てめぇなら決めることだってできたはずだろ!? どうして――なぜなんだよ!? あぁ!?」
「ちょ――し、静かにしてよ」
「いいから!」
小山田は今にも僕の胸倉を掴み上げそうなイキオイで答えを急かす。
しかたなく僕はこう答えた。
「はぁ……確かにダッチの言うとおり、僕はゴールできたかもしれない。でも……できなかったかもしれない。僕は、チームが、クラスが勝つためには、って考えて、最善の手を選んだんだ。それだけさ」
「は、はぁ!? てめぇ、ばっ――馬鹿か? 最優秀選手がかかってたんだぞ!?」
あまりに驚いたのか、一瞬甲高くなった叫び声をなんとか押し殺して、小山田は呆れたような顔でこう続ける。
「俺様が最優秀選手になっちまったらどうする気なんだ!? てめぇの負けに――!」
「……でも、僕らは勝てた。勝ったよね? ダッチ?」
そう、僕らは勝った。
サッカー最終戦に。
二年一組に。
そして――あのタツヒコに。
小山田はしばらく無言で僕を見つめていたが、やがて、呆れたように頭をぽりぽり掻くと、ふっ、と笑った。
「やっぱりてめぇは、偉そうだし、しょっちゅうムカつくし、得体が知れなくて気持ち悪ぃや」
そして元いた列の前の方へと戻っていく。
しかしその表情は、晴れやかですがすがしく映った。
『男子サッカー最優秀チームは、二年十一組! キャプテン、小山田! 前へ!』
「はい!」
湧き上がる歓声に負けじと、小山田は精一杯声を張り上げた。
クラスの誰もがココロからうれしそうな顔で声援を送っている。
その中には横山さんもいた。
『そして、男子サッカー最優秀選手は――小山田徹!』
しかし――小山田は、今度はこたえなかった。
目の前の地面をしばし見つめ、振り返って壇上の梅田センセイにこう告げた。
「俺様は――いや、自分には、それをもらう資格がありません。辞退します」
『………………何?』
「自分より、もっとふさわしいヤツがいるからです」
『ほう……。それは誰のことだ?』
「ウチのチームの司令塔、古ノ森――古ノ森健太です!」
――え!?
突然何言い出してんだ、小山田は!?
「古ノ森がいなければ、きっと勝てなかった……。そう、俺が、俺たちが勝てたのは、古ノ森がいてくれたからなんです!」
長かった球技大会も、ようやくこれで終わりだ。
僕らは疲れ切ったカラダを引きずるようにして夕暮れの校庭に整列していた。朝礼台にはワイヤレスマイクを握る梅田センセイが立っている。もう片方の手に握るのは表彰状だ。
『これより、各競技の優勝クラスと最優秀選手を発表していきます! 呼ばれた者は前へ!』
そのタイミングで、僕の周囲にざわめきがさざ波のように起こった。
なにごとかと振り返ると――そこにいたのは意外にも小山田だった。
「……おい、モリ――ナプキン王子? てめぇに聞きたいことがある」
「こ、このタイミングで!? もうすぐ呼ばれるってのに……そ、それに、呼び名、戻ってない?」
「いいから聞け! そして答えろ!」
小山田は極力目立たないようにしているつもりなのか、珍しく声を潜めている。
「てめぇ……なんであの時、自分でシュート決めなかった? 俺様にパスしなくたって、てめぇなら決めることだってできたはずだろ!? どうして――なぜなんだよ!? あぁ!?」
「ちょ――し、静かにしてよ」
「いいから!」
小山田は今にも僕の胸倉を掴み上げそうなイキオイで答えを急かす。
しかたなく僕はこう答えた。
「はぁ……確かにダッチの言うとおり、僕はゴールできたかもしれない。でも……できなかったかもしれない。僕は、チームが、クラスが勝つためには、って考えて、最善の手を選んだんだ。それだけさ」
「は、はぁ!? てめぇ、ばっ――馬鹿か? 最優秀選手がかかってたんだぞ!?」
あまりに驚いたのか、一瞬甲高くなった叫び声をなんとか押し殺して、小山田は呆れたような顔でこう続ける。
「俺様が最優秀選手になっちまったらどうする気なんだ!? てめぇの負けに――!」
「……でも、僕らは勝てた。勝ったよね? ダッチ?」
そう、僕らは勝った。
サッカー最終戦に。
二年一組に。
そして――あのタツヒコに。
小山田はしばらく無言で僕を見つめていたが、やがて、呆れたように頭をぽりぽり掻くと、ふっ、と笑った。
「やっぱりてめぇは、偉そうだし、しょっちゅうムカつくし、得体が知れなくて気持ち悪ぃや」
そして元いた列の前の方へと戻っていく。
しかしその表情は、晴れやかですがすがしく映った。
『男子サッカー最優秀チームは、二年十一組! キャプテン、小山田! 前へ!』
「はい!」
湧き上がる歓声に負けじと、小山田は精一杯声を張り上げた。
クラスの誰もがココロからうれしそうな顔で声援を送っている。
その中には横山さんもいた。
『そして、男子サッカー最優秀選手は――小山田徹!』
しかし――小山田は、今度はこたえなかった。
目の前の地面をしばし見つめ、振り返って壇上の梅田センセイにこう告げた。
「俺様は――いや、自分には、それをもらう資格がありません。辞退します」
『………………何?』
「自分より、もっとふさわしいヤツがいるからです」
『ほう……。それは誰のことだ?』
「ウチのチームの司令塔、古ノ森――古ノ森健太です!」
――え!?
突然何言い出してんだ、小山田は!?
「古ノ森がいなければ、きっと勝てなかった……。そう、俺が、俺たちが勝てたのは、古ノ森がいてくれたからなんです!」
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