ラブ×リープ×ループ!

虚仮橋陣屋(こけばしじんや)

文字の大きさ
390 / 539

第388話 マイ・ファースト・パーティー(3) at 1995/12/23

しおりを挟む
「じゃあ、みんなと過ごすステキなクリスマスに! かんぱーい!」

「「「「「かんぱーい!」」」」」


 カタチの不揃いなテーブルをいくつもつなげ、その上に色とりどりのカラフルでとてもいい匂いを漂わせる料理がぎっしりと並べられていた。さすがに三人家族の水無月家にそんな大きなテーブルがあるわけもなく、笙パパがアトリエで使っているテーブルや、キャンピングテーブルを総動員した結果ぎりぎりなんとかなった、というカンジだ。多少の凸凹はご愛敬である。

 と、豪華すぎる料理の品々を飛び越し領空侵犯して、ぶっきらぼうに手が突き出された。


「ほ、ほら、ケンタ! 紙皿、よこしなさいよ!」

「………………は?」

「ほら、早く! こっちの取ってあげるって言ってんの。あとでそっちのもよこしなさいよ?」

「……お前はオカンか。自分でやるからいいってば」

「そ、そうだよ! それに、そういうのはスミの仕事で、ロコちゃんのではないですからっ!」

「べっ! べっつに、そーゆーんじゃないから! ただ食べたかっただけだってば! もー!」


 はー、なつかしーなー。
 こんなやりとり。

 とか言っている場合でもないので止めようとしたら、無慈悲にも僕の紙皿は取り上げられてしまった。純美子の手へ、ロコの手へ、と目まぐるしく所有権が移動している。僕のだけど。

 おかげで僕だけお預け状態だ。肉汁したたるローストチキンも、ミニトマトとカマンベールチーズのカプレーゼも、皮付きのままカリカリに揚げられたポテトフライも、笙パパ手作りの生地で作ったという具だくさんのピッツァも、すべて、なにもかも、手に入らない。

 それにしても、我が『電算論理研究部』女子部員たちのお料理スキルは格段に上がった気がする。たかだか中学生の女の子だぜ? それが笙パパのヘルプもあったとはいえ、ローストチキンなんてものまで作っちゃうんだぜ? すげぇ。しかも味も保証付きだ(まだ食べてない)。


「ほーら、ケンタ君! ス・ミ・が・! いっぱい取って上げたから! どんどん食べてね!」

「そこのカナッペ、あたしがのせた奴だから! あとでそっちのもよこしなさい!」


 ぐちゃあぁあああ……。

 もう少し、ブュッフェ形式のレストランとかで飾り付けとか配膳のスキルを身に着けた方がいいぞ、二人とも。ひと山ひと塊になっていて、もはやなんの料理なのか鑑定不能なんですけど。そもそもたかが直径18センチの皿に、すべての料理を載せようという発想が間違ってる。



 とはいえ。

 とっても期待している視線を感じながら、手を付けない、という選択肢なんてないわけで。



「もぐ……。あ、これ、おいしい! な、なんだろう、たぶん……ホワイトグラタンかな?」

「それ! スミが作った奴だよ! うふふ! うれしーなー!」


 なるほど……。
 ほのかにホワイトソース香るマカロニのおかげで助かったぜ。いい仕事してる。


「もぐ……。あ、これもおいしいなぁ! え、えと……オ、オムレツ……かな?」

「はぁ……やっぱりケンタごときに凝った料理はもったいなかったわね。それは、キッシュ!」


 むう……。

 キッシュくらい知ってらぁ! と言い返したいところだけれど、社会人になり、忘年会に参加するようになるまで食べたことなんてなかったっけ。毎年しゃれた店を選ぶんだよなー。


 その後も、紙皿の上に盛られた山のひとつひとつにフォークを突き刺すたび、純美子かロコのどちらかが笑顔になって、もう一方がふてくされて頬をふくらませた。黒ひげ危機一髪か。

 そんななつかしさすら覚える光景を目の当たりにして、佐倉君はうれしそうにこう言った。


「で、でも、意外だったなぁ。ロコちゃんがこっちのパーティーに来てくれるなんて」

「……もが。ほぉれそれほういうどういうひみほ意味よふぁへれかえでひゃんちゃん?」

「――! ど、どういうって……そ、そのぅ……へ、へんな意味じゃなくってぇ……」


 だが、つい口に出してしまってから気づいたらしい。
 急にしどろもどろになって僕を見た。

 しかたなく僕は助け舟を出すことにする。


「あのさ……よかったのか、ロコ? ムロと一緒のクリスマスイブじゃなくって、さ――」


しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】年収三百万円台のアラサー社畜と総資産三億円以上の仮想通貨「億り人」JKが湾岸タワーマンションで同棲したら

瀬々良木 清
ライト文芸
主人公・宮本剛は、都内で働くごく普通の営業系サラリーマン。いわゆる社畜。  タワーマンションの聖地・豊洲にあるオフィスへ通勤しながらも、自分の給料では絶対に買えない高級マンションたちを見上げながら、夢のない毎日を送っていた。  しかしある日、会社の近所で苦しそうにうずくまる女子高生・常磐理瀬と出会う。理瀬は女子高生ながら仮想通貨への投資で『億り人』となった天才少女だった。  剛の何百倍もの資産を持ち、しかし心はまだ未完成な女子高生である理瀬と、日に日に心が枯れてゆくと感じるアラサー社畜剛が織りなす、ちぐはぐなラブコメディ。

クラスメイトの王子様系女子をナンパから助けたら。

桜庭かなめ
恋愛
 高校2年生の白石洋平のクラスには、藤原千弦という女子生徒がいる。千弦は美人でスタイルが良く、凛々しく落ち着いた雰囲気もあるため「王子様」と言われて人気が高い。千弦とは教室で挨拶したり、バイト先で接客したりする程度の関わりだった。  とある日の放課後。バイトから帰る洋平は、駅前で男2人にナンパされている千弦を見つける。普段は落ち着いている千弦が脚を震わせていることに気付き、洋平は千弦をナンパから助けた。そのときに洋平に見せた笑顔は普段みんなに見せる美しいものではなく、とても可愛らしいものだった。  ナンパから助けたことをきっかけに、洋平は千弦との関わりが増えていく。  お礼にと放課後にアイスを食べたり、昼休みに一緒にお昼ご飯を食べたり、お互いの家に遊びに行ったり。クラスメイトの王子様系女子との温かくて甘い青春ラブコメディ!  ※特別編4が完結しました!(2026.2.22)  ※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、いいね、感想などお待ちしております。

お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?

すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。 お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」 その母は・・迎えにくることは無かった。 代わりに迎えに来た『父』と『兄』。 私の引き取り先は『本当の家』だった。 お父さん「鈴の家だよ?」 鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」 新しい家で始まる生活。 でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。 鈴「うぁ・・・・。」 兄「鈴!?」 倒れることが多くなっていく日々・・・。 そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。 『もう・・妹にみれない・・・。』 『お兄ちゃん・・・。』 「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」 「ーーーーっ!」 ※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。 ※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 ※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。 ※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

『専属メイド全員が重すぎる愛で迫ってくる!~大学生の僕、11人?の美女に24時間甘やかされ尽くす生活~』

まさき
青春
僕は、ちょっと普通じゃない日常を送ることになった――それは、専属メイドが全員僕のことを溺愛してくれる暮らしだ。 朝は髪を整えてくれるリナ、朝食で笑顔を見せてくれるミユ、どの瞬間も全力で僕を甘やかす。掃除、料理、悩み相談まで、僕のためだけに動くメイドたち。 「ご主人様の笑顔が見たいんです」 その一言で、僕の毎日はちょっとドキドキ、ちょっと幸せ。 全員が僕を独占したいと競い合う日常の中、僕はどうやってこの溺愛地獄(?)を生き抜けばいいのか――!? 甘々、至れり尽くせりの日常ラブコメ、開幕。 ​「作品への感想代わりの『いいね❤️』や『エール📣』、心よりお待ちしております。」 ​「【応援のお願い】『いいね❤️』や『エール📣』をいただけると、作者のモチベーションが爆上がりします!」 ​「最後までお読みいただきありがとうございます。温かい『いいね❤️』が更新の支えです。」

【完結】イケメンが邪魔して本命に告白できません

竹柏凪紗
青春
高校の入学式、芸能コースに通うアイドルでイケメンの如月風磨が普通科で目立たない最上碧衣の教室にやってきた。女子たちがキャーキャー騒ぐなか、風磨は碧衣の肩を抱き寄せ「お前、今日から俺の女な」と宣言する。その真意とウソつきたちによって複雑になっていく2人の結末とは──

処理中です...