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第388話 マイ・ファースト・パーティー(3) at 1995/12/23
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「じゃあ、みんなと過ごすステキなクリスマスに! かんぱーい!」
「「「「「かんぱーい!」」」」」
カタチの不揃いなテーブルをいくつもつなげ、その上に色とりどりのカラフルでとてもいい匂いを漂わせる料理がぎっしりと並べられていた。さすがに三人家族の水無月家にそんな大きなテーブルがあるわけもなく、笙パパがアトリエで使っているテーブルや、キャンピングテーブルを総動員した結果ぎりぎりなんとかなった、というカンジだ。多少の凸凹はご愛敬である。
と、豪華すぎる料理の品々を飛び越し領空侵犯して、ぶっきらぼうに手が突き出された。
「ほ、ほら、ケンタ! 紙皿、よこしなさいよ!」
「………………は?」
「ほら、早く! こっちの取ってあげるって言ってんの。あとでそっちのもよこしなさいよ?」
「……お前はオカンか。自分でやるからいいってば」
「そ、そうだよ! それに、そういうのはスミの仕事で、ロコちゃんのではないですからっ!」
「べっ! べっつに、そーゆーんじゃないから! ただ食べたかっただけだってば! もー!」
はー、なつかしーなー。
こんなやりとり。
とか言っている場合でもないので止めようとしたら、無慈悲にも僕の紙皿は取り上げられてしまった。純美子の手へ、ロコの手へ、と目まぐるしく所有権が移動している。僕のだけど。
おかげで僕だけお預け状態だ。肉汁したたるローストチキンも、ミニトマトとカマンベールチーズのカプレーゼも、皮付きのままカリカリに揚げられたポテトフライも、笙パパ手作りの生地で作ったという具だくさんのピッツァも、すべて、なにもかも、手に入らない。
それにしても、我が『電算論理研究部』女子部員たちのお料理スキルは格段に上がった気がする。たかだか中学生の女の子だぜ? それが笙パパのヘルプもあったとはいえ、ローストチキンなんてものまで作っちゃうんだぜ? すげぇ。しかも味も保証付きだ(まだ食べてない)。
「ほーら、ケンタ君! ス・ミ・が・! いっぱい取って上げたから! どんどん食べてね!」
「そこのカナッペ、あたしがのせた奴だから! あとでそっちのもよこしなさい!」
ぐちゃあぁあああ……。
もう少し、ブュッフェ形式のレストランとかで飾り付けとか配膳のスキルを身に着けた方がいいぞ、二人とも。ひと山ひと塊になっていて、もはやなんの料理なのか鑑定不能なんですけど。そもそもたかが直径18センチの皿に、すべての料理を載せようという発想が間違ってる。
とはいえ。
とっても期待している視線を感じながら、手を付けない、という選択肢なんてないわけで。
「もぐ……。あ、これ、おいしい! な、なんだろう、たぶん……ホワイトグラタンかな?」
「それ! スミが作った奴だよ! うふふ! うれしーなー!」
なるほど……。
ほのかにホワイトソース香るマカロニのおかげで助かったぜ。いい仕事してる。
「もぐ……。あ、これもおいしいなぁ! え、えと……オ、オムレツ……かな?」
「はぁ……やっぱりケンタごときに凝った料理はもったいなかったわね。それは、キッシュ!」
むう……。
キッシュくらい知ってらぁ! と言い返したいところだけれど、社会人になり、忘年会に参加するようになるまで食べたことなんてなかったっけ。毎年しゃれた店を選ぶんだよなー。
その後も、紙皿の上に盛られた山のひとつひとつにフォークを突き刺すたび、純美子かロコのどちらかが笑顔になって、もう一方がふてくされて頬をふくらませた。黒ひげ危機一髪か。
そんななつかしさすら覚える光景を目の当たりにして、佐倉君はうれしそうにこう言った。
「で、でも、意外だったなぁ。ロコちゃんがこっちのパーティーに来てくれるなんて」
「……もが。ほぉれ、ほういうひみほ、ふぁへれひゃん?」
「――! ど、どういうって……そ、そのぅ……へ、へんな意味じゃなくってぇ……」
だが、つい口に出してしまってから気づいたらしい。
急にしどろもどろになって僕を見た。
しかたなく僕は助け舟を出すことにする。
「あのさ……よかったのか、ロコ? ムロと一緒のクリスマスイブじゃなくって、さ――」
「「「「「かんぱーい!」」」」」
カタチの不揃いなテーブルをいくつもつなげ、その上に色とりどりのカラフルでとてもいい匂いを漂わせる料理がぎっしりと並べられていた。さすがに三人家族の水無月家にそんな大きなテーブルがあるわけもなく、笙パパがアトリエで使っているテーブルや、キャンピングテーブルを総動員した結果ぎりぎりなんとかなった、というカンジだ。多少の凸凹はご愛敬である。
と、豪華すぎる料理の品々を飛び越し領空侵犯して、ぶっきらぼうに手が突き出された。
「ほ、ほら、ケンタ! 紙皿、よこしなさいよ!」
「………………は?」
「ほら、早く! こっちの取ってあげるって言ってんの。あとでそっちのもよこしなさいよ?」
「……お前はオカンか。自分でやるからいいってば」
「そ、そうだよ! それに、そういうのはスミの仕事で、ロコちゃんのではないですからっ!」
「べっ! べっつに、そーゆーんじゃないから! ただ食べたかっただけだってば! もー!」
はー、なつかしーなー。
こんなやりとり。
とか言っている場合でもないので止めようとしたら、無慈悲にも僕の紙皿は取り上げられてしまった。純美子の手へ、ロコの手へ、と目まぐるしく所有権が移動している。僕のだけど。
おかげで僕だけお預け状態だ。肉汁したたるローストチキンも、ミニトマトとカマンベールチーズのカプレーゼも、皮付きのままカリカリに揚げられたポテトフライも、笙パパ手作りの生地で作ったという具だくさんのピッツァも、すべて、なにもかも、手に入らない。
それにしても、我が『電算論理研究部』女子部員たちのお料理スキルは格段に上がった気がする。たかだか中学生の女の子だぜ? それが笙パパのヘルプもあったとはいえ、ローストチキンなんてものまで作っちゃうんだぜ? すげぇ。しかも味も保証付きだ(まだ食べてない)。
「ほーら、ケンタ君! ス・ミ・が・! いっぱい取って上げたから! どんどん食べてね!」
「そこのカナッペ、あたしがのせた奴だから! あとでそっちのもよこしなさい!」
ぐちゃあぁあああ……。
もう少し、ブュッフェ形式のレストランとかで飾り付けとか配膳のスキルを身に着けた方がいいぞ、二人とも。ひと山ひと塊になっていて、もはやなんの料理なのか鑑定不能なんですけど。そもそもたかが直径18センチの皿に、すべての料理を載せようという発想が間違ってる。
とはいえ。
とっても期待している視線を感じながら、手を付けない、という選択肢なんてないわけで。
「もぐ……。あ、これ、おいしい! な、なんだろう、たぶん……ホワイトグラタンかな?」
「それ! スミが作った奴だよ! うふふ! うれしーなー!」
なるほど……。
ほのかにホワイトソース香るマカロニのおかげで助かったぜ。いい仕事してる。
「もぐ……。あ、これもおいしいなぁ! え、えと……オ、オムレツ……かな?」
「はぁ……やっぱりケンタごときに凝った料理はもったいなかったわね。それは、キッシュ!」
むう……。
キッシュくらい知ってらぁ! と言い返したいところだけれど、社会人になり、忘年会に参加するようになるまで食べたことなんてなかったっけ。毎年しゃれた店を選ぶんだよなー。
その後も、紙皿の上に盛られた山のひとつひとつにフォークを突き刺すたび、純美子かロコのどちらかが笑顔になって、もう一方がふてくされて頬をふくらませた。黒ひげ危機一髪か。
そんななつかしさすら覚える光景を目の当たりにして、佐倉君はうれしそうにこう言った。
「で、でも、意外だったなぁ。ロコちゃんがこっちのパーティーに来てくれるなんて」
「……もが。ほぉれ、ほういうひみほ、ふぁへれひゃん?」
「――! ど、どういうって……そ、そのぅ……へ、へんな意味じゃなくってぇ……」
だが、つい口に出してしまってから気づいたらしい。
急にしどろもどろになって僕を見た。
しかたなく僕は助け舟を出すことにする。
「あのさ……よかったのか、ロコ? ムロと一緒のクリスマスイブじゃなくって、さ――」
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