ラブ×リープ×ループ!

虚仮橋陣屋(こけばしじんや)

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第441話 十五の夜(2) at 1996/2/1

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「はぁ……はぁ……ロ、ロコが……悪いんだから……な……!」

「ふっ……はっ……もう……やめてよ……お願いだから……!」


 弾む息。ロコの陶磁器のように白い肌から噴き出した汗が、ガラス細工の粒のように、つつ、となめらかな背筋を転げて伝っていった。でも、僕はもう一切手加減することはないだろう。





 なぜならば――。





「うひひひひひひひひひ! や、やめて! 笑い死んじゃうから! 腹筋痛いからぁあああ!」

「やめて! って頼んだのに、やめなかったロコが悪いんだからな! これは正当な復讐だ!」


 ……なにやってんだ、僕たち。


 あまりにしつこくロコが僕をくすぐりはじめたものだから、ついムキになってやり返す。実はロコは、くすぐられるの全般に弱い。弱さで言ったら雑魚ざこクラスの弱さである。四畳半のやたらピンクピンクした部屋で、びったんびったんロコは暴れて僕の手から逃れようとしていた。


「ひ、ひぃっ……もう……もうしませんからぁ……うひっ……うひひひひひ……ひんっ……!」

「わ、わかったらこれにりて、二度とやるんじゃないぞ? またやったらコレだからなっ!」

「は……はぁい……んっ……」


 すっかり汗だくで白い肌をほんのり染めるロコを見て、あ、コレやりすぎたわ、と突然冷静さを取り戻した僕。もうくすぐり止めたのに、ショートパンツから伸びるロコの足はかすかに震えていた。ぴったりとしたニットもしっとりしているというか、妙になまめかしく見える。


「こ、こほん……。えっと……なんのハナシしてたんだっけ?」


 寝転がったままのロコはこたえずに、少しぼうっとした目つきで天井を見つめていた。


「……お、おい、ロコ?」

「え? あ……うん」

「なんのハナシしてたんだっけ、って聞いたんだけど?」

「………………もう、? スミと」

「………………はぁあ!? シシシシた、ってななな何をだよ!?」

「そんなの……決まってるじゃん」



 おいおいおいおい!
 イキナリ何言いはじめてんだコイツ!?



 極度のパニック状態に陥った僕が口をパクパク開いたり閉じたりしているのを、ちらり、と流し目で見てから、ロコは、ごろり、と僕に背を向けるように寝返りをうった。そして小さく。










「……


 そう吐息混じりにつぶやいた。










「………………っ」


 どうこたえたらいいのか迷うばかりの僕の目に、ロコのあまりに無防備な寝姿が映っている。スリムだけれど、ショートパンツに包まれたお尻ははちきれそうで、その下にあるパンツの線がくっきりと浮き出ていた。その時、もぞり、とロコがもどかしそうに太ももをすりあわせる。


 い――いかんいかんいかん!
 コイツはまだ中学二年生なんだぞ!?

 あ――そういえば、中身は同い年の四〇歳なのか……じゃねえだろ!


 僕の葛藤、その間わずかコンマ5秒。
 たまらず僕は――ぴしり!――両手で自分の頬を思いきりひっぱたいた。


「――っ」


 背を向けたままのロコは、突然大きな音がして驚いたのかわずかに身じろぎしたが、それでも振り返らなかった。そのままの体勢で長い溜息をつき、そばにあったハートマークを散りばめたクッションに顔をうずめるようにして、囁くようにつぶやいた。



「………………いくじなし」


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